第13回 グルテンフリー・カゼインフリー
2024年3月29日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
今回は最近ではよく目にするようになった「グルテンフリー」「カゼインフリー」についてです。
雑誌やネットにも最近よく掲載されていますが、そもそもグルテン、カゼインとは何でしょうか?
グルテンは、小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」というタンパク質がこねることで絡み合って「グルテン」に変化します。
パスタ、ピザ、パン、うどん、ラーメン、私たちが普段から口にしている食品にはほとんどグルテンが含まれています。グルテンは粘り気と弾力を生み出し、パスタやうどんのもちもちした食感や、パンのふわっとした食感はグルテンからくるものです。子供も大好きですし、私たち大人も何の疑問もなく子供の頃から食べ続けている方がほとんどです。
そんな生活に密着しているグルテンですが、グルテンアレルギーや、グルテンの摂取により「リーキーガット」になっている方もたくさんいらっしゃいます。厄介なのが、小麦は遅延型アレルギーであることが多いので、頭痛、腹痛、倦怠感、肌荒れ、不眠、肥満、うつ病などの症状の原因がまさか小麦だと思わないことです。病院に行って、症状を抑えるお薬を処方されて、毎日をやり過ごしている方がとても多いのです。
カゼインは牛乳に含まれるタンパク質です。
牛乳を飲むとすぐお腹を壊してしまう、という方以外は小学校の給食や家庭でも牛乳を飲まれてきました。カゼインは、グルテンと同様、消化に難しい粘りが強いタンパク質で未消化のまま腸管に送られるので腸に負担をかけ、遅延型アレルギーを引き起こす代表格です。
牛乳を飲んで下痢になるのは「乳糖不耐症」といい、牛乳を分解するラクターゼという酵素を体内で作れず、牛乳が腸管にたまり浸透圧をかけて水分を腸管内に引き出します。その結果、お腹が張ったり蠕動運動を促すため下痢になります。
便秘の方が毎朝ヨーグルトを食べて快便、という方はもしかすると乳糖不耐症があるかもしれません。
ちなみに牛乳だけ飲んでも身長はのびません。骨を成長させるのはタンパク質、骨を強くするのがカルシウムだからです。また、骨を作るにはカルシウムとマグネシウム両方必要ですが、牛乳にはマグネシウムが含まれていないので牛乳単体では骨を強くする効果はないということになります。
グルテンフリーの考え方はテニスのジョコビッチ選手が本を出版されてから世に広まりました。
ジョコビッチ選手は小麦を抜くことで体調が劇的に改善し、テニスの成績が上がったというものです。この本を読んだ方からの問い合わせは今でも多いですし、ご自分でグルテンについて調べて体調管理を希望される方も増えています。そのような方には、遅延型アレルギー検査で小麦、グルテンを調べることができます。その際、ほとんどの方に大きく異常値として出るのが小麦(グルテン)、牛乳(カゼイン)、卵(特に卵白)です。
小麦も牛乳も卵も、私たちは普段の生活で普通に食べていますよね。
いつも日常的に食べている、というのが遅延型アレルギーを発症させやすくなりますし、普段知らず知らずのうちに合わない食品を食べて体に炎症を起こしていることになります。
遅延型アレルギー検査でどの食品も異常値が出るという方はリーキーガットも疑います。
自分の体のデトックスとして小麦、牛乳、卵(特に卵白)を2~3週間避ける生活をしてみてください。体が軽く、頭がスッキリ、体のむくみも取れて体重も落ちやすくなります。
体がスッキリした頃に、たとえば小麦をたくさん食べると調子が悪くなるのを自覚されると思います。目がチカチカする、頭がぼーっとする、体が痒くなる、眠くなる、など感じることが多いです。
ぜひこのデトックス法を実践されてみて、自分の体が心地よいと感じる生活を送ってくださいね。