第39回 朝食ちゃんと摂ってる?
2024年9月23日
健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。
毎日外来で患者さんに栄養のことを熱くお話してしまいます。
体も心も細胞も毎日の食事からできている、食事を適当にしてはどんなに効果な薬を飲んでも治るものも治らない、と考えているからです。
自分の体ではなんとなくわかりにくいと思いますので食事に敏感な子供で例えます。
例えば朝ギリギリまで起きれず朝食を食べずに学校へ行き、家に帰ってからお菓子やカップラーメンばかり食べてよる遅くまで起きている子供と、毎日決まった時間に起きて朝食を食べ、夜はお肉やお魚をしっかり食べてよく眠れる子供。
明らかに顔つきから体力、意欲、記憶力、集中力、精神の安定さが違ってきます。
先日、最近疲れやすいのに夜眠れないという40代女性が受診され、いろいろお話しを聞いてみると朝食抜き、昼うどん、夜カップラーメン、間食毎日という方がいらっしゃいました。
まさかと思って一緒についてきた10歳の女の子の食生活を聞くと昼の給食以外、母親の食事とほぼ同じでした。女の子に「朝起きづらくて、学校で疲れない?お昼ご飯の後眠くない?」と聞くと「そうです」と。母親はそのようなことを聞いたことがないらしく隣でびっくりされていました。
自分が良くても、子供の体は敏感なのだということをお話しし、親子とも食生活を改善してもらいました。
2週間後、女の子は「疲れなくなったし、朝も起きれるようになった」と笑顔で話してくれました。もしかするとこの子はこのまま行くと自律神経が乱れて朝起きれず不登校になっていたかもしれません。
子供の体に起きていることは大人の体にも起きています。
大人はコーヒーを飲んだり昼寝を少ししたりしてなんとか乗り切っていると考えてもいいと思います。
朝食を抜いて、昼と夜しか食べないという方もよくいらっしゃいます。
かくいう私も栄養の勉強をするまでそうでした。
昼と夜はそれなりに食事内容に気をつけていたのですが、どうしてもやめられなかったのは夕方の間食です。
16時ごろになると急に疲労感と甘いものが食べたくてソワソワしてくるのです。
何度コンビニスイーツに走ったことか…
でも調べていくうちに原因がわかったのです。
人間は肝臓にグリコーゲンというエネルギーに変える物質を蓄えていて、食事が体の中に入ってこないとグリコーゲンを分解してブドウ糖を放出してエネルギーを産生していますが、人間の生理的反応で16時ごろにグリコーゲンが枯渇します。
いわゆるエネルギー切れで集中力もなくなってきます。
朝食を食べないと肝臓のグリコーゲンが枯渇し、夕方にはエネルギーが不足して早急に甘いものを欲するのはこのためだったのです。
この現象を知ってからは朝の習慣を改め、朝食を食べるようにしました。
小麦はなるべく摂らないようにしているので、朝からパンは食べません。
血糖を24時間測定する器械を腕につけていろいろな食材を試してみましたが、朝から豆腐などのタンパク質を取るのが良さそうでした。
朝タンパク質を摂ると1日の血糖が安定すると言われているのですが、実際そのような結果となりました。内容は、魚や豆腐、納豆など日本の和朝食がやはり良さそうです。
朝食を食べると体温も上がって頭と体にスイッチが入り、午前中の大切な時間を集中して過ごすことができます。午後の血糖も安定するので疲れも感じにくく、間食(甘いもの)も必要としません。
逆に朝食を抜いて、血糖が低いまま急にカツ丼などの昼食を食べると血糖が急激に上がりそのあとは急激に下がるので眠気や疲れが出てきます。
自分の経験を踏まえて外来では患者さんに朝食を摂るよう指導するようになりました。朝食の内容もパン以外で、なるべくタンパク質を、できたら和食でと伝えています。
皆様も朝食を食べていない方がいらっしゃったら、朝少量でも朝食を食べることをお勧めします。