ジェンダー、分からん
タイトルの通りです。
すごくセンシティブな事柄だし、誰かを傷付けるつもりはないのだけれども、私の勉強不足故に用語の使い方のミスとかで不快な思いをさせてしまったらごめんね。先に謝っておくわ。「この用語は差別的な意味合いを含むから、言葉を変えた方が良い」とかあれば全然指摘して欲しい。
私の性自認は今のところ、女だ。身体も女だし、心も女。そこに差異は無い。男性が恋愛対象だし、容姿について言及される時も基本的には「可愛い」と言われたい。全然、「はぁん、千葉雄大かっこいい〜♡」とか思うし、男性からも女性からも「可愛いね」って褒められたら嬉しい。所謂、ストレートってやつになるのかな。
けど自分の中に"男性"が存在するのも間違いない。小さな”ゆみ男”が住んでいると言うか。笑
なんて言えば伝わるんでしょうね。
今まで、「私は100%純度の高い、まごうことなき女だ!」と自分を認識していたのだけれども、最近になって、そうでもないかもと思い始めて。
思えば、幼稚園〜小学校に通っていた頃は、男の子と遊んでいる方が楽しかった。室内で同性とお絵描きやおままごとをするより、外で異性と鬼ごっこしたり戦隊ごっこして遊んでいる方がよっぽど自分らしいと思えたんだ。少女漫画に全く興味が無くて、毎週月曜日に父が買ってくる少年ジャンプが楽しみで仕方なかったし、幸い両親も「もっと女の子らしくしなさい!」という、口うるさい女性らしさ押し付けマンではなかったので、髪型だけはロングだったけど趣味嗜好は少年らしいと言える幼少期を過ごした。
服装も黒やカーキといった色を好んだ。私はひとりっ子なので兄からのお下がりという訳ではなく、母と買い物に出かけて「どれが良い?」と選ばせてもらった服達が、黒やカーキばかりと言うことだ。勿論、スカートよりも圧倒的にパンツスタイルの方が多かったし、話が少し逸れるがリクルートスーツもパンツだ。それはね、単純にスーツスカートが似合わなかったんだよね。フレアスカートも、タイトスカートも。自分で言うのもどうかと思うが、人より脚が長めで体型もスラっとしている方なので、一般的なレディースのスーツスカートだと野暮ったく見えるのよ、私。膝丈のスカートが本当に似合わないの。顔もキツめなので、パンツスタイルのスーツの方がしっくりきた。母も付き添いで一緒に買いに来ていたのだが、「あんたはこっち(パンツ)だわ」とお墨付きを頂いたので間違いない。また随分と話が逸れましたね。
中学生の頃に、ディズニーアニメ「ふしぎの国のアリス」を観てから、嗜好が一変しました。ピンク、花柄、フリルetc…今までの反動かと思うくらい、女の子らしいものが好きになった。高校に上がった頃には加速して、ロリータ服にも手を出し始める始末。愛読誌はKERAという典型的なやつをやってました。さすがに地元の田舎じゃゴリゴリのロリータ服は浮くので、LIZ LISAくらいに留めていましたが。
そんな調子で20代前半まで生きてきて、「さすがに20代後半も、こんなブリブリな服を着てる訳にはいかんだろう」と、服装だけは綺麗めにシフトチェンジしましたが、やっぱり部屋はピンクやアリスまみれ。人目に付かないところくらいは好きなものにさせてよ、ねぇ。
勿論、その間に何人かの男性とお付き合いをして、セックスもして、満たされたり満たされなかったり。普通に"女"としての人生を歩んできたつもり。
でも最近になって、「ちょっと違うかも」と思い始めた。私、100%"女"じゃない。いや、心も身体も女なのよ?けど、心の中を分析したら70%の女性と、30%の男性が自分の中に居るっぽい。それは気分だったり、一緒に居る人間だったりで変わるの。元々男性脳の自覚はあったし、手の指ね、私さ、人差し指より薬指の方が7㎜くらい長いんですよ。(子宮のなかで胎児が男性ホルモンの一種であるテストステロンに長くさらされると、薬指が人差し指より長くなるという研究結果があるそうだ、つまり男性は薬指が人差し指より長くなる傾向にあり、女性はその逆)
昔から男の子っぽい趣味だったし、まあ、男っぽい"女"なんだろうなぁと自分自身の事を認識していたのですが、そうではない、意識的にというか、性格的にというか、とりあえず中身が"男"になる時がある。
好きな異性の前では100%女なの。一人称は「私」だし、可愛いと思われたいし、そう思ってもらえるように振る舞うし、スカートも履きます。これがまあ、世間一般的に言われる「普通」ってやつなんでしょうね。普通ってなんだよとは思いますけどね。普通って、ただの多数派なだけじゃんね、少数派にも人権はあるんですけどもー??
でも、1人っきりだったり、同性と一緒に居る時や、恋愛感情を全く抱いていない異性の前だと、たまに男が出てくる時がある。それは「あぁ、今の僕すごく攻撃的になっているな」とか、同性の行動を見て「可愛いなぁ」って思うときに自覚する。一人称も「僕」になるし、カッコ良いと思われたい。
でも同性の事を「可愛いなぁ」と思う瞬間もあるけど、それは恋愛感情じゃなくて、犬猫を見て「可愛いなぁ」と思う感覚に近い。同性の友人とキスした事もあるけど、別になんとも思わなかった。だから別に恋愛対象として女の子を見ている訳ではないの。僕さ、昔っから渡辺麻友がめちゃくちゃ好きなんだけど、だからと言って付き合いたいとかではないのよ、こんなに可愛らしい生物をずっと眺めていたい、女の時のゆみちゃんに活かせるものがあれば盗みたいしって感じで、麻友の写真集とか見てるのね。飽くまでも同性へ向ける眼差しは敬愛なの。心が男寄りで一人称が「僕」の時でも、ちゃんと千葉雄大が異性として恋愛対象として好き。だって僕、100%完全に男な訳でもないから。ここら辺がややこしくて理解し難いですよね〜。自分でも未だによく分かっていないもの。
だからLGBTQ+のカテゴライズ的には「クエスチョニング」になるんだと思います。まぁほぼストレートなんだけどさ、でも自分の事を間違いなく100%”女”とは言い切れない、だって自分の中に小さいけど"男"が居るから。
つい最近までは全然気付かなかったんですよね。きっかけは、現在検察庁に入りたくて勉強中なんだけどさ、勝手なイメージね、やっぱりああいうところって男社会そうじゃない。だから、「女だからってなめられたくない、男になんか負けるかよ」という気持ちが転じて「あぁ、この負けん気、今気持ちが完全に男だ」ってなったの。まだ入庁してないし、公務員試験にすら受かっていないのにね。
あとはそうですね、私は全く男として意識していなかった男性に"女"として見られていて、彼らのクソみてぇな性欲をぶつけられた時に「この人に女として見られたくない、無理だ、気持ちわりぃ」と思った時とか。私は普通に友人として遊んでいたつもりが、向こうはゴリゴリに私の事を抱くつもりだった瞬間って事ね。ちゃんと「お前とセックスするとか死んでも無理だから」と言って、あらゆるSNSをブロックしました。それが3人くらい居たのかな?さすがに3人目で「あぁ、好きな男以外からは女として見られたくねぇ、でも気は合うから"男同士"の友人としてだったら付き合っていたいのになぁ」と思ってさ。
だから、一緒にいる人間や、気分にもよるけど、70%の女性と30%の男性が自分の中には居るっぽい。
しかもさ、自分、男顔なんすよ。目だけは縦に大きくてまつ毛長くて女っぽいから、ミディアムヘアの髪型とかも加味して、普段の顔の印象は女性なんだけどさ。こないだショートウィッグ被って、ちょっと眉毛太めに描いたら、それはそれはもう平均点以上の男の顔面が出来てしまってね。マジでこの顔で身長178㎝の自分が居たら、速攻で逆プロポーズしてるもんね。これ、なんの話?
何が言いたいのかわからなくなってきてしまった…。反省。
まあ基本的にはストレートだけど、ちょっとだけ中身に"男"が居るし、外見も男女どちらにも寄せられるので、ある意味「ズルさ」を手に入れたというか。今日着る服を選ぶ感覚で、今日の性別を選べるようになった。同性と遊ぶ時も「今日は身長ちっちゃい○○ちゃんと遊ぶから、男っぽい服装と髪型とメイクで、ときめかせてやんぞオラ!」みたいな。背が小さい子じゃないと格好つかないのよね、僕が身長160㎝しかないからさ。笑
逆に好きな男性とデートなら、それはそれはもう、可愛らしいメイクをして、スカート履いて、ヘアオイル塗布して髪の毛も巻いちゃって、「ときめかせちゃうぞ♡」って感じ。性別の使い分けが出来るので、周りの人間からの理解が得られれば、すごく楽しい。
でもまあ、今後の一人称は基本的に「僕」にしていきたいですね。フォーマルな場や、初対面の人にはちゃんと「私」って言うからさぁ。気の置けない友人や、両親にはもう結構前から既に「僕」って言ってますしね。やっぱり自分の中に居る"男"は無視出来ない。心の中の彼を無視したら、形容し難いのだけれども、「ゆみ」が丸ごと死ぬ気がするんだ。
「強く生きていかなくては」という鼓舞の意味合いもあるけど、自分を「僕」と呼んだ方が、なんだかしっくりくる。
なので「やーい、ボクっ子!」なんて揶揄しないでね、こちとら本気だからさ。
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ジェンダー論ついでに、オススメの漫画を紹介させてください。
僕の好きな漫画に「幽麗塔」と言う漫画があります。「医龍」の乃木坂太郎先生が描いた全9巻の漫画です。
ミステリ(&微ホラー)で話は勿論面白いし、全9巻というまぁ大人なら割と気軽に揃えられる感じ、そして乃木坂先生はやっぱり絵がお綺麗。サラッと読めちゃうのに気が付くと勇気を貰えるので、僕のバイブル的な漫画になっています。
てかこれ、2011年の12号からビッグコミックスペリオールで連載が開始されたそうなんですけど、じゃあ構想はいつからあったのでしょう?まだ10年前なんて、「ジェンダー」って言葉もそんなに一般的には広まっていなかった気がする。その時代にこんな話が描けるの、素直にすげぇ。
乃木坂太郎先生、良いっすよね。最近web広告でよく見かける「夏目アラタの結婚」も乃木坂先生です。そちらもめちゃくちゃ面白いので、是非。
元々は海外の「灰色の女(A Woman in Grey)」という話を、黒岩涙香が日本語に翻訳し「幽霊塔」として出版して、それをえらく気に入った江戸川乱歩が翻案し同じく「幽霊塔」というタイトルで出版したのね。それが現代でさらに乃木坂先生によって「幽"麗"塔」として出版されているんですよ。もうこの時点でロマンに溢れている。ここら辺はただの豆知識なので読み流してくださいね。
さて、ウィキからコピペしたあらすじをば。
「百数十年もの間動かなかった時計塔が、2年前の夜、ただ一度だけ動いたことがある。昭和27年6月23日午後11時53分。藤宮たつが養女・麗子に惨殺された夜のことである。」
舞台は昭和29年、神戸から始まる。文学やカストリ雑誌を好む天野太一は、国民学校高等科のマドンナ花園恵と再会し、彼女がいじめっ子であったお金持ち三村の婚約者となったことを知る。下宿先の部屋代にも事欠く境遇の天野は、謎めいた美青年・沢村鉄雄(テツオ)の「一緒にお金持ちになろうよ」という誘いに乗ることを決める。テツオとともに時計塔に隠された秘密に迫ろうとする天野だったが、莫大な財産を巡って、様々な事件に巻き込まれていく。
はい、もう超良いですね、ロマン〜!!
頼む!とりあえず1話だけでいいから読んで欲しい!今は電子書籍で試し読みとか出来るでしょう!?
話の主軸としましては、時計塔に眠る莫大な財宝を巡って、様々な人間の思惑が入り混じり、西へ東へ奔走する物語なのですが、サブタイトルというか後半むしろこっちがメインなんですけど、セクシュアルマイノリティについて描かれています。これが本当に良い。主人公の沢村鉄雄(=藤宮麗子)のトランスジェンダーと、刑事の山科のホモセクシュアリティ(山科は男なので彼の場合はゲイ)が特に際立って描かれているかな。他にも、丸部も性癖歪んでいるし、性的倒錯者ばっかりなんだけどさ。
勿論、読んでもらうのが1番良いのだけれども、頼むから僕がすごく好きなシーンだけ紹介させて欲しい。
本当は著作権的に漫画のコマも載せちゃいけないんだろうけど、今回だけは許してくれないかな。ダメかな?笑
怒られたら素直に消すね、でも絵を見て欲しいんだよな〜。
物語は終盤、いざ様々なトラップが仕掛けられている時計塔の中に入り、文字通り"命懸け"で財宝を探している場面です。丸部道九郎(検事で資産家、幽霊塔の所有者)が宝探しゲームと銘打って2人1組で行動する事をルールに、次々と参加者たちが幽霊塔に足を踏み入れ、命を落としていきます。
丸部道九郎のペアはテツオ(=藤宮麗子)、これは紆余曲折あってテツオが自ら志願するのだけど。天野太一も含め、主要人物達も続々と中に入っていきます。
幽霊塔の探索中、丸部はキレ者なので2年前の藤宮たつが時計の針に磔にされて殺された事件の推理をテツオ(麗子)に語ります。「お前は直接手を下していない、でも殺したのはお前だ」と。読んでない方々は「なんのこっちゃ?」って話よね。
藤宮たつを磔にしたのは麗子も知らないただの強盗の仕業、だけど、たつが磔にされているのを見たのにも関わらず、麗子は"何もしなかった"。そこに殺意はあっただろうと指摘された時の表情が、はい、これ!!
とても良いですねぇ、笑っているのに目は死んでいるし、笑い声のフォントも怖いです。
まあ正確には、その推理を聞かされた後、テツオ(麗子)が丸部に「なぜ、義母(藤宮たつ)が僕を養女にしたのか知ってる…?」と尋ねるんです。丸部は「いいや」と答えます。「猿だよ。前に飼ってた猿が、死んだからだよ」とテツオ(麗子)。その後の高笑いの1コマなんですけどね。
テツオ(麗子)の告白が続きます。7巻の後半辺りなんですけども。
藤宮たつは、飼っていた猿が死んで、代わりになる愛玩動物として孤児院から麗子(テツオ)を引き取ります。美しい"少女"として、麗子は愛されて育ちますがこの頃から既に麗子の心は”男”で、女性らしく振舞わない麗子と、たつは次第に衝突する事が増えていく。ある日、幽霊塔の謎を解かないかとたつに誘われ、持ち前の聡明さで謎を解く麗子。自身の冒険好きな少年らしさが「ようやく認められた!」と喜んでいる束の間、たつは血の気が引いた顔で幽霊塔から去ろうとします。ふと足元を見れば奇妙な出っ張りのある床、何かしらのスイッチに違いない。ここが危険な場所だと察知した麗子は、咄嗟にか弱い少女のふりをして泣き叫びます。「いやああああ!あたし怖いわ!お義母さん助けてえええ!」と。"女の子"としての麗子なら、義母は僕を見捨てないかもしれない。たつの良心ではなく、美しい少女人形への未練に、賭けたんだ。
↑これが顔半分見えないけど、検事で資産家、麗子の実の父である丸部道九郎
義母は僕の事を病気だと思っていたんだよ、年々男になる病気。それを恥じた義母は僕を殺そうとした、幽霊塔の罠にかけて。僕が何も知らずにトラップに引っかかるのを待っていたんだよ。だから僕も、磔にされている義母を見て、止められる時計の針を止めずに、ちょっとだけ待ってやろうと思ったんだよ…。
はい、気持ちが完全にテツオになってしまった。
昭和初期が舞台だから現代とは世相や価値観も全然違うし、一概には言えないけれどもさ。身体は女でも心は男であるという人間に、女らしさを求める教育は、当事者から見れば虐待と言えるのではないかと。マイノリティというだけで虐げられる、つらかったよね。お前に何が分かるんだって話だけどさ。
再三申し上げますが、幽麗塔はとてもオススメの漫画です。なにかしらでマイノリティになっていてつらい想いをされている方には響くと思いますので、是非とも。
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幸い、最近は少しだけセクシュアルマイノリティに寛容になりつつある日本で、僕は今、自分でもよく分かっていないこの身体とこの心で強く強く生きていこうと決めた。どこまで生きていけるかな、この物語はハッピーエンドでありますように。