[TeaTime #20]イギリスの家と猫
皆さんは「Cat Flap」を聞いたことがありますか?
イギリスの家で犬や猫を飼っている家庭が多い。約13年前、今の家に引越した日に、1階のリビングに居た時、突然キッチンの方からリビングの方に1匹に猫がやってきたのだ!私たちは猫を飼っていない。家の1階のドアや窓も開けていなかった。「どうして、この猫ちゃんは今ここにいるの?」ととても驚いた。
イギリス人の夫はキッチンの方に行って、「あぁ~Cat Flapの鍵が開いている」と。「Cat Flapって??」何のことを言っているのだろうと思いながら、キッチンへと。すると、夫は裏口のドアを指さした。
「何、この半円のドアは?」と何のことだかわからず聞いたら、「これは猫が自由に外に出たり、中に入ったりできるドアだよ」と夫は教えてくれた。「前の住人さんが、猫が好きで、この猫を自由にこの家に入れていたんだろうね」と。つまり、この猫は「この家のお客様」。新入りの私たちに挨拶にでも来たのだろう。とても人懐っこくて、私の足の周りに絡まってきたのを覚えている。
誰がこのCat Flapを考えた?
なんと、アイザック・ニュートンらしい!ニュートンは17世紀の科学者。
「ニュートンは猫が思考の妨げにならないよう、猫が自分のケンブリッジの部屋を自由に行き来できるように、部屋のドアに穴をあけた。」
でも、「ニュートンが最初ではない」という別の所説も。
「いつ「猫のドア」が発明されたかを正確に辿るのは難しい。でも、ニュートンの時代より前であることはわかる。それは、14世紀後半チョーサー著「カンタベリー物語」の中に「猫のドア」は書かれているからだ。」
チョーサーは14世紀の詩人。
エクセター大聖堂で面白い猫についての発見
先日バース修道院に行き、そこの建築に触れ、別のゴシック建築の大聖堂と比較してみようと、エクセター大聖堂を訪れた。
バース修道院のお話はここから↓
エクセター大聖堂の天井を見たら、バース修道院の天井のデザインと異なっていた。どうしてかなぁ~?と思い、辺りを見ていたら、修道院のボランティアの方と目があった。その方はニコッと笑い、私の方に近づいてきた。
「すみませんが、質問が一つあります。」と私が声をかけると、「いいですよ。」と。「先日バース修道院に行き、扇状の天井を見ました」と言いながら、その写真を見せた。「でも、エクセター大聖堂のこの天井とデザインが違います。どうしてですか?」と尋ねると、「エクセターの天井の方が、バースのものより時代が少し前なのですよ」
そんな会話をしていると、英人の男性がそのボランティアの方に「すみません、あそこにある天文時計について教えてください」と。「私もその話を聞きたい!」と思い、その男性と一緒にボランティアの方の話に耳を傾けた。
ちなみに、「この天文時計の文字盤は1484年に作られた。1760 年に小さな分針用の文字盤が加えられたイギリスで最古の天文時計の一つ」らしい。
ボランティアの方が「時計の下にある古い木製のドアがありますね。あのドアの中にはこの時計の機械があります。」
「なるほど、この時計の機械を点検したりするために、内部に入るためのドアなんだぁ」と思いながら聞いていると、ボランティアの方は更に続けられた。
「では、この扉下部を見てください。小さい穴がありますね。これはCat Flapです。」
たしかに、小さいドアがある。Cat Flap?
「当時は羊などの動物の脂でこの時計の機械を動かしていました。その脂に引き付けられたネズミがこの機械を故障させたり。その為、司教の猫がネズミを追いやることができるように開けられたものです。」
その話をボランティアの方から聞いた途端、私ともう一人の英人男性はお互い顔を見て、フッと笑って、「とても興味深い話ですね!」と言い合った。
ボランティアの方が「誰かが、猫とネズミのぬいぐるみを穴に置いていますね」と。私は笑いながら、「これはBritish jokeですね」とウインクをした。
たかだか数分の出来事だったが、その日を素晴らしいワクワクする1日に出来た人との出会いだった。そして、自宅のCat Flapと大聖堂のCat Flapが繋がった。