イギリス国内の旅: #4 世界遺産Bath (バース)The Bath Abby (バース修道院)
TeamRoomのサリーランズからバース修道院(世界遺産)まで徒歩で2分程度で到着。入場料£6払って中に入ると、「わぁ~なんて明るいんだろう!」そして、美しいチャペル合唱団の歌声が聞こえてきた。
その美しい歌声を少しシェアします。(ビデオカメラのピントが合ってない箇所もあります)
バース修道院の歴史
サクソン朝676年にベネディクト派修道院として設立され、757年聖ペテロ修道院の修道士に土地が譲渡される。時代はノルマン朝1090年にジョンがバース司教となり、ノルマンディ大聖堂を建設する。チューダー朝1499年ノルマンディ大聖堂の旧跡に司教王が現在の修道院を建設する。1539年にヘンリー8世のよってイギリス社会は根底から覆された。当時カトリック教会が勢力を占めていたイギリス。カトリックは離婚を許さず、離婚して再婚したかったヘンリー8世は策略をねて、「イギリス国教会」を立ちあげたのだ。国教会になったことで、バース修道院が廃墟同然となった。このような危機など様々な困難を乗り越えた複雑な過去を持つ修道院なのだ。
このヘンリー8世の宗教的な事件をもっと知りたい方は、BBCドラマ「The Wolf Hall」がとてもお勧め!話がとても面白く、俳優さんたちの英語がとても綺麗で、聞きやすく、チューダー朝のファッションも楽しめる。
The Bath Abbyの中の明るさ
中に入ると、他の大聖堂や教会に比べて、屋内の明るさを感じるのではないだろうか。
その明るさの理由の一つは、「使われている石は、Bath Stoneと呼ばれる暖かい蜂蜜色の石灰石」コッツウォルズ地方の石と同じ石灰岩。陽の光に照らされ黄金色に輝いている。
二つ目の理由は、「壁の80%がステンドグラス」で太陽の光を中に呼び込みとても明るくしている。
扇方の天井は圧巻
更なる見どころはパーペンディキュラー様式(Perpendicular style)の扇形の天井。これは、イギリス式後期ゴシック様式(14世紀後半から 15世紀)の特徴的な扇形ヴォールトが使われている。
イギリスゴシック建築は、フランス・ゴシック様式の影響を受けつつも、アングロ・サクソン様式以来の伝統を保ちながら、3段階にわたってイギリス独特の建築を発展させた。
この修道院の扇形ヴォールトは、国内で最も精細な扇形ヴォールトの例としてされて、床から垂直に柱が伸び、華やか開いた繊細なアーチ状の曲線がとても魅力的。石の花が咲くように柱が天井で交錯する姿は圧巻。
「東端のヴォールトは16世紀初期に遡り、建築家Vertue兄弟(ロバート・ウイリアム)によって建てられた。しかし、この天井はこの修道院が再建築された17世紀まで完成しなかった。そのために、本堂を覆う東端と西端のヴォールトに少し違いを見ることができる」
↑この違いを見るのは、次回また訪れる時の宿題としよう。
修道院の壁の記念碑と奴隷制の歴史
バース修道院にある1482体の記念碑は、「労働者階級」から「裕福な実業家」まで含めた階級を超えた社会を表している。それには、18世紀の著名人たちも含まれている。修道院の壁には635体の記念碑、そして、修道院の床に847体の記念碑がある。
ここで、興味深いと思ったのが、奴隷貿易で富を得た著名人の記念碑の横に、修道院の現在の立場を表明していた。
Racism and slavery has no place in our society or the church. The Abby is committed to looking at its own historic connections with slavery in its monuments and to working with partners to bring about justice and equality and to…
我々の社会や教会は「人種差別や奴隷制度」を認めていません。この修道院は、この記念碑にある奴隷制度との歴史的関係に目を向け、正義と平等をもたらす活動をし続けています。
これを立場表明を読んで、2020年ブリストルで起こった「17世紀に奴隷貿易で富を得たEdward Colstonの銅像を取り壊した」事件を思い出した。この銅像が建てられた当時は、Edward Colston氏は英雄だったのだろうが、時が経った今では「悪人」と評されたのだ。
素晴らしい歴史的建造物は「富」なくしてはうまれなかったであろう。その富を生み出すために、多くの人たちが搾取され、搾取した者が世の中を動かし称えられていた。現在まで残るその美しい歴史的建造物建築の背後にいた「搾取された多くの人々の存在」を忘れてはいけないと思った。