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家族が意識不明で入院した時しなければならないこと~倒れた弟は遠方で一人暮らし、独身、会社員~

それはある日突然に

2021年11月8日23時過ぎ、突然、携帯電話が鳴った。救急病院の医師からで、弟が意識不明で自宅から搬送され、集中治療室にいるという。弟は49歳、独身、一人暮らしの会社員だ。子供もなく、父は既に他界し、母は認知症で特別養護老人ホームに入所しており、姉の私に連絡が来たのだ。

いくつかの処置について直ちに電話口で承諾が欲しいこと、明日には病院に来て入院手続き等をして欲しい、と落ち着いた口調で医師から告げられた。こんな時、「はい」以外の何が言えるだろう?

次の日の午後には新幹線で病院に向かい、弟の病状は予断を許さないと説明を受けた。搬送された病院は急性期医療を行っているため、容態が落ち着いたら転院になるという。二か月後、弟は意識が戻り、脳幹脳炎と診断を受けた。10か月後の現在は身体障害者手帳1級を取得し、転院先の病院でリハビリ治療を続けている。

弟が倒れて以来、私が全ての手続きを行ってきた。すべきことは沢山あるが、知識もなく、何をどんな順番で行えばいいのか誰も教えてくれない。何もかもが手探りでいちいち調べなければならず、どこに相談したらいいのかもわからない。仕事中に倒れたなら労災だが、それも当てはまらない。

弟が生死の境にあることに慌ててしまっているし、医師からは次から次へと承諾書にサインを求められる。入院費は高額になるに違いないが、数年に一度会う程度の弟の金銭事情など、見当もつかない。生命保険は解約し、がん保険だけ加入していたため、弟の病状では保険金は下りず、49歳では介護保険も使えない。

私自身、住宅ローンもあり、大学生の子供がいて教育費もかかり、自分の老後資金ですら不安なのに、代わりに支払える金銭的余裕などない。さらにタイミングが悪いことに、退職しフリーへ転向した途端のコロナ禍だ。仕事をキャンセルし、遠方のため泊りで駆けつけなければならない経済的、社会的な不安もある。果たして入院費は払えるのか、この先どうしたらいいのだろうと心配ばかりが募っていった。

諸手続きが遅れればそれだけ支出は増え、まさに時間との闘いなのだ。一つひとつ手探りで処理をしていきながら、せめて「いつ、何を、どうすべきなのか」がわかる手引きが欲しいと痛切に思った。それがあれば、どんなに精神的、時間的、経済的負担が軽減されただろう。

私の経験が少しでも、今、途方に暮れている誰かの助けになればと願っている。

以下の順で公開していく予定です。
第一章 優先順やることリスト
第二章 入院費用はいくら
第三章 手続き編
 
①一人で抱え込まずとにかく相談・書類を保管
 
②限度額適用認定取得、口座確認、生保手続き、会社挨拶、戸籍謄本取得
    
③傷病手当金
 
④高額療養費


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