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くまモンに学ぶ仕事の流儀(1)熊本県の危機感、それがすべて

第1章 誕生まで
その1 熊本県の危機感 それがすべて

くまモン誕生のきっかけは、2011年の九州新幹線の全線開業計画です。
福岡県の博多駅から熊本県の新八代駅間が開通することで、本州から鹿児島までを貫く九州新幹線が完成することになるのですが、


熊本県はこのことを「危機」と感じました。
九州の中でも人気の高い福岡と鹿児島が結ばれることで、間に挟まれた熊本県は「通過点」にされてしまうと考えたのです。

一般的に、自分の県の交通アクセスが良くなることは追い風です。
だからこそ競うようにして全国の都道府県は新幹線の誘致をしてきたわけだし、私が現在住んでいる県でも、リニアモーターカーが開通したら...という皮算用をよく聞きます。
熊本県についても、新幹線によって九州全体にやってくる観光客が増えれば、必然的に熊本にやってくる観光客も増えるだろうし、福岡で止まっていた観光客が熊本まで足を伸ばすことも期待できます。マイナス要素よりはプラス要素が多いと思うのですが、それでも熊本県は、自分たちの立ち位置を客観的に評価し、このままでは知名度に勝る福岡や鹿児島にますます差をつけられる、最悪は観光客数の減少さえあり得る、と考えたのでしょう。

この危機意識の共有こそが、くまモンという奇跡のきっかけでもあり、同時に、すべてであると言っても過言ではありません。

ここから熊本県は、PRプロジェクト「熊本サプライズ」をスタート。
チャンスだから頑張りましょう!と動くのと
危機だからなんとかしなければ!と動くのとでは気迫が違います。
そうしてくまモンの誕生、現在へと続く快進撃に繋がるのですが、そこは次回。

▶︎本日のポイント
電車や飛行機が来れば街は活気づく、と考えるのは時代遅れ。
行政と言えど客観的な自己分析とマーケティングで冷静な判断を。
リニアモーターカーに期待をかけるあんなところや
悲願の新幹線を手にいれたあんなところの行政の皆さん、大丈夫ですか。

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