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右足の痛み、インクの染みから(フリーダ・カーロの日記#17)
右足の痛み
1940 年後半から 1950 年の始まりにかけて、フリーダは右足の血行不良による痛みに悩まされ、1953 年にはとうとう壊疽で右足を切断するに至りました。日記の後半には足と翼をモチーフにした絵が多くなっていきます。
107ページの走る動物たちのインクの染みは、次のページで、北極のペンギンと足跡に変わっています。ペンギンと一緒に描かれた裸足は、氷による凍てつくような痛みを表現しているかのようです。
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オホサウロから裸足へ
110ページで、フリーダはインクの染みから大昔に滅びた生物をつくりだし、「オホサウロ」と名づけました。オホ【Ojo】は「目」の単数形、サウロ【Sauro】は英語の「サウルス」。由来の一つに「恐竜」という意味があります。つまり、伝説の恐竜一つ目のオホサウロを描いているのです。
一方、次のページに滲み出た同形のインクの染みは、幻想的な生と死の世界を表しているかのようです。染みの中で縮こまる女性はフリーダでしょうか?お腹には胎児が宿っています。その次のページになると、インクの染みは、ここでは右足の描写になります。足の痛みは、数ページ前では、凍てつく氷に足を置いたような痛みを描いていましたが、ここでは炎に焼けつく激しい痛みを表現しているかのようです。炎に燃やされているのは、花びらのようであり、鳥のようにも見えます。だとすれば美や希望の象徴は炎に包まれ、幻想的な世界の中で、フリーダは痛みと絶望を描いているのかもしれません。