![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/142385044/rectangle_large_type_2_bee407db40bc16991a7bcade38ecb31e.jpeg?width=1200)
ビバ・ラ・ビダ(Viva la Vida)は、生命万歳と人生万歳のどっち?(フリーダ・カーロの日記#20)
スペイン語の 「Vida (ビダ)は、英語のLife(ライフ)。ビバ・ラ・ビダ(Viva la Vida)は、「生命万歳」と訳すのか。それとも「人生万歳」と訳すのか…。いつも考え込んでしまいます。
個人的な感触では、最近は「人生万歳」というフレーズをよく目にします。数年前は「生命万歳」と訳されている書籍が多かったように思います。
西西辞書で、生命のビダ(Vida)と人生のビダ(Vida)を調べてみました。
「生命」のビダ(Vida)
Fuerza o actividad interna sustancial, mediante la que obra el ser que la posee.
ー 実質的な内部の力またはその活動で、それを介して、それを所有する存在が働く。
「人生」のビダ(Vida)
Espacio de tiempo que transcurre desde el nacimiento de un animal o un vegetal hasta su muerte.
- 動植物が誕生してから死ぬまでの期間。
1951年以降、フリーダ・カーロは自画像ではなく果物や植物を多く描くようになっていきます。テーマは主に「生命」。病状の悪化により絵のタッチも以前のような緻密さを欠いていきます。
そして死の8日前、スイカの絵を絶筆として、この世を去りました。瑞々しいスイカに刻まれたフレーズは「ビバ・ラ・ビダ」。まさに生命賛歌ともいうべき作品。そして、人生を振り返り生き抜いた軌跡への賛辞。
確か、イギリスのコールドプレイは、フリーダ・カーロにインスピレーションを受けて創作した「ビバ・ラ・ビダ」を歌っています。日本語のタイトルは「美しき生命」。
![](https://assets.st-note.com/img/1717073655813-aa39QXtvka.jpg)
一方で、メキシコの友人2人に尋ねてみたところ、「ビバ・ラ・ビダ」は、人生を生きる「ビベ・ラ・ビダ(Vive la vida)」 を根底に、生きてきた人生を祝う「人生万歳」と解釈していると話してくれました。
ただ…
生まれてから死ぬまでの長い道のりに、フリーダが祝いの言葉を込めて「人生万歳」とすることに、どうしてもしっくりこないのです。心身ともに、彼女の計り知れない痛みとの闘いの連続を思うと違和感を感じてしまう。
今回、メキシコ再訪で、フリーダ・カーロ美術館に寄り、『フリーダ・カーロの日記』の和訳本を寄贈しました。迎えてくれた国際部のアドリアナ・トウゴウさんにこの問いを投げかけてみると、解釈は個人によって様々であるという前提で、彼女思うビバ・ラ・ビダは、「人生の瞬間瞬間を生きて (Vive cada momento de su vida)」とのことでした。
なるほど、「今日が人生最後だと思って、その瞬間瞬間を精一杯生きて」と解釈すると、フリーダの言葉としてしっくりきます。そして思うに、生と死は隣り合わせという死生観のメキシコでは、”人生”という言葉に”死”がすでに含まれているのかもしれません。
ビダ(Vida)という言葉を、無理矢理日本語のワードに和訳して封じ込めるのは無理があったのかも…。
ビバ・ラ・ビダ
ー 限られた命なのだから、人生を全うすべく精一杯生きてー