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ほんとうに、フリーダ・カーロの肉声?


だいぶ前のことなのですが、備忘録を兼ねて。。。

2019年7月、メキシコ国立図書館が、フリーダ・カーロの肉声だとするテープを発表しました。断定はしていませんが、フリーダの声であろうとのこと。(リベラの親戚は、フリーダだと言っていますが、トロツキーの孫は疑問だとコメントしているようです。)

これは1953又は1954年の録音で、ラジオ番組でフリーダ・カーロが、ディエゴ・リベラに捧げたエッセイ「ディエゴの肖像」を朗読したテスト用の録音だとのこと。スタジオではなく、外で録音(ポータブルレコーダー)されたもののようです。

この肉声が発表された時、メキシコではちょっとした大騒ぎになっていました。想像と全然違う、お姫様のような声、などなど。録音を前提にした朗読に近いもので、それゆえに普段の声ではないかもしれませんが、すごく神秘的で美しい声です。

フリーダ・カーロの肉声

ざっとですが、以下訳してみました。

(フリーダ):ディエゴの坐骨並みの頭に生えている黒髪は、細く繊細で空気中に浮いているよう。彼は優しい顔と悲しい瞳を持つ、大きな、とてつもなく大きな子どもです。まるでヒキガエルのように膨らんだ黒い、知的で大きな瞳は、腫れて突き出たまぶたの奥の眼孔から外れてしまっているように、ほとんど区切りがありません。

その瞳は宇宙や群衆を描く画家のために特別につくられたかのように、はるかに広い視野を網羅するために機能しています。皮肉めいた優しい微笑み、彼の心象の花は、音を奏でる口、厚い唇から消えることはめったにありません。

彼の裸を見ると、後ろ足で立っているカエルの子がすぐに思い浮かぶでしょう。窮屈そうな幼い肩は、細やかな絵を描く小さな素晴らしい手へつづいています。アンテナのように宇宙全体とコミュニケーションをとる、繊細な柔らかい手です。そんな手がたくさんの絵を描き、疲れ知らずで働くなんて驚くべきことです。

(アナウンサー):この話は、こんな感動的なしめくくりで終えています。

(フリーダ):その姿は、祖母や古くからの隠匿者(フリーダのこと)、そして必要かつ永遠のものには、まるで愛おしいモンスターのようです。女性として、すべての彼女たちのなかで私は、いつも彼を生まれたばかりの子どものように、私の腕の中で抱きしめていたいのです。

フリーダの肉声について真偽のほどは定かではありませんが、このテキストはフリーダにしか書けないものでしょう。自分のことを「古くからの隠匿者」と呼び、日記の中にも出てくる言葉です。


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