2021年の私が出会ったエゴと嫉妬と下心
みなさんはSNSを活用してますか?恐らくTwitterやFacebookなど、読む専門の「ROM専」として利用している人が多いのではないでしょうか。リアルタイムで情報収集をするのに、SNSは便利ですよね。実は私は、割と発信する方の人で、LinkedInでのフォロワー数は2021年12月時点で15000人を超えています。Twitterなどのインフルエンサーと比べれば大した数ではないのですが、それなりに私のことを知ってくださる人が増えました。そして会社員として発信する私には劇的な変化が起きたと同時に、難しさも感じています。今日は一介の会社員がSNSでフォロワーが増えた結果何が起こったのかについて、書いてみようと思います。
【SNSを毎日投稿していて気が付いたこと】
私の投稿場所はリンクトインですが、毎日投稿することが義務であっては、続きません。自分が興味が持てる話題、話しやすい話題を取り上げることがコツです。私の場合は、自分自身が女性のキャリア構築において大きな課題を抱えており、自然と話題が「女性とキャリア」に絞られていきました。毎日の日課として気の赴くままに投稿していたのですが、それは自分の興味がどこにあるのかということに、自分自身が気づいていく過程でもありました。投稿の内容が洗練されていき、伝えたいことが明確になっていくと、自然と同じ興味を持っている人を惹きつけていきます。自分の投稿にエッジが立ち、それに反応してくれる人が「あぁ、鈴木祐美子はこういう考えを持っている人なんだ」と認知してくれるようになると、結果的にブランディングになっていくのです。
【自分のエッジが立ってくる】
一般人でもエッジは立つのです。私はものすごい実績を持っているわけではありません。何十万人、何百万人とフォロワーを増やすことには興味がありませんでした。金額を投入してフォロワーを増やしたわけでもなく、オーガニックに増えていきましたが、それなりに自分の意見を届けられる人が増えたことは、素直に嬉しいことです。SNSがご縁となり、私には勿体無いくらいのさまざまな貴重な機会を頂きました。ただ伝えたいことがあるだけだったのですが、自然と自分のエッジが立っていきました。
【2021年の出来事と出会い】
その結果、2021年の私に起こった出来事はこんな感じでした。本当に出来過ぎなぐらいありがたいことで、全てはリンクトインでの毎日の発信継続が与えてくれたものでした。
2月:タナベ経営さんでのセミナー「女性が直面する壁と必要な支援」登壇
3月:国際女性デーでのグローバルプロモーション動画への出演、東洋経済オンラインさんでリンクトインタイアップ記事リリース
6月:ShareWisさん企画 Twitterシャープ公式アカウント「中の人」山本隆博さんとのオンライン対談
7月:株式会社WARCへ転職
8月:BBC放送さんからの取材・TV放映 「大勢が元主婦で非正規雇用……日本の『ウーマノミクス』はどこへ?」
9月:オープンDXさんのオンラインイベント「子育て、出産って女子だけの問題?〜生き方の多様化〜」登壇
10月:株式会社みらいきってさん「主婦のキャリアを考える冊子を全国に配布したい!」クラウドファンディング、アンバサダー就任
11月:リンクトインラーニング「仕事でブランクのある女性が就職を成功させる」コースのローンチ
11月:日経xwomanさんからの取材記事掲載
「自律的キャリア」を行く 元専業主婦を自己ブランド化したキャリアコンサルタント
一介の主婦である私が、毎日リンクトインに投稿し、エッジが立ったことにより、このように自分にはもったいないくらいのご依頼をいただきました。本当に感謝しかありません。こうしてご依頼の内容を振り返ってみると、私に対するイメージと期待がどこにあったのかということがよくわかります。これらのイベントや取材で出会った方々は本当に素敵な人ばかりでした。私は自分の経験・体験からぶつかったこと、感じたこと、とった行動を発信し続けた結果、同じ想いを持って活動している方達とつながることができました。これは最初から私が期待していたことではなく、意外な結果だったのですが、SNSで自分の想いを乗せて発信し続けることの意義はここにあったのだと思いました。
【「個」が立つことで生じた妬み】
どのユーザーに影響力を持ってもらいたいか?それは倫理によるところが大きいです。SNSは社会の縮図であり、さまざまな使用目的の人がいます。私が過去2年間で経験してきたのは、日本ではまだ未熟なSNSが大きくなっていく段階で、人がどのように繋がりを作っていくのかという過程でした。フォロワーが増えていくにつれて取材の依頼なども増え、プレッシャーも感じていましたが、会社員としての葛藤に陥ることになりました。どういうことかというと、会社の求めるブランディングと「個」が合わなくなっていきました。「個」が立ち過ぎると、会社にとって「個」が邪魔になってくるということが起こってしまいました。
私の影響力が妬みを買い、今年ある会社を辞める決断をしました。それなりに立場のある人が、私のような普通の人間に嫉妬することに、とてもショックを覚えました。
そして発展途上のSNSゆえに投稿ノウハウやアルゴリズムのハックなどが流行り始めました。そこで起こっていたのは集団で相互扶助する動きや、人気のコントロールです。少なくとも私はそう感じています。人気を利用する、人気を上げるにはどんなハックがあるのかという、目先の結果にこだわる人が増えたと思います。SNSが大きくなる過程では仕方のないことかもしれませんが、また従来と同じようなSNSがまた一つ出来上がっていくのだなと、少し寂しくなりました。
【会社員が発信する難しさ】
目の前のハックに躍起になっているユーザーによって、繋がり申請が一時的に膨れ上がり、アルゴリズムによって私のSNSのタイムラインは読みたくもない投稿で溢れかえりました。そして入手したい情報が手に入らなくなる事象が起きました。こうして目先の結果を求めるユーザーたちによる不毛な競争が始まったような気がします。私の考え方がピュアすぎるのかもしれませんが、そこで生まれる妬みとエゴを目の当たりにし、社会とはこうして食い合って、潰しあっていくのだと感じました。会社の経営者も、個人事業主で頑張っている方も決して日々を乗り切るのは楽なことではないのだなと思います。
「個」の時代が来たと言われるようになりました。それは厳しい世界です。会社員であることは、個性を押し殺すからこそ生き残れる、そういう側面があります。会社員も個人事業主もいるSNSの世界では「個」を際立たせれば利用される、ということもあるのです。それを私は経験しました。発展途上のリンクトインというSNSで、当時私は先頭を走り続けていたことに間違いはありませんでした。私は会社員として発信することの難しさを経験しました。
【妬みを超えたその先に見たいもの】
会社員としてSNSで発信する難しさを超えたら、何か違う景色が見えるのだろうか。SNSの影響力の先にあるものは何か、そこを見に行きたいと思っています。会社員として「個」が立ちすぎてしまったらどうすれば良いのか、個人の影響力を会社員として活かすことはできないのだろうか、そんなことをいつも考えています。同調圧力の強い日本だから、SNSがもっと自由な言論空間であったら良いのにと思います。
「いいね」をもらうための文章は浅はかだと思っています。いただいたフォロワーさんの力を自分のエゴのためには使わない、私はそう決めています。会社員として投稿する難しさの先にある、新しい景色を見てみたいと思っています。SNSは社会的意義のある場であってほしいです。下心とエゴの蔓延する世界とは距離を置きたいなと思っています。そして人を妬んでる暇があるなら、もっと自分の行動を見つめ直してほしいと思います。
「自分の影響力を高めたい」ではなく、「影響力が高くなった先に誰を助けたいか?何を実現したいのか?」であって欲しいと願っています。影響力を高めることだけが目的になった人は手段と目的を間違えています。その先に助けたい人がいる。実現したい未来が本当は存在しているはずなのです。
【それでも日本では必要だ】
会社員が「個」のエッジを立てながら、日本という同調圧力の強い国で生きていくのは簡単なことではありません。大人しく周りに合わせていた方が、評価されるし、安心します。本当の自分を隠すことと引き換えに得られるメリットがたくさんあるからです。それでも時代は「個」で生きていく時代に向かっているとしたら、私たちは「自分とは何者か」に向き合わなければいけません。SNSがセーフティネットとなり自由な言論空間としての場を提供するのだとしたら、それはプラットフォーマーの倫理に寄るところが大きいです。そしてプラットフォーマーは営利企業であるというところがさらに難しいところです。営利を求めれば数の理論になります。つまりインフルエンサーのエゴを受け入れてしまうということが起こりかねません。だからどのインフルエンサーを受け入れるのかは、その後のSNSの将来を左右するでしょう。下心とエゴが蔓延する従来のSNSと同じ道をたどってしまったら残念です。私はSNSが日本を変えるのではないかという一縷の希望を持っています。
2021年の私の「心に残ったことや出会い」は人の下心とエゴ、そして嫉妬です。やっぱりか…という思いもあります。まさか自分に降りかかってくるとは思いませんでした。でもフォローしてくださる皆様のおかげもあり、女性のキャリア構築における問題は、重大な社会問題だと認識してくれるようになりました。SNSでの発信を通して私自身が実験台となり、さまざまな向かい風を受け、傷つきながら見えてきた一筋の光です。
私はエゴにはなりたくない。私のフォロワーさんの想いを自分のエゴには使わない。そう決めています。その先にもっと素敵な未来が待っていると信じて、自分らしい発信を続け、受け入れられない価値観にはしっかりとNOを表明できる人でありたいです。健全なSNSがこの先も続いて欲しいなと思います。