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「経営人材・幹部人材が転職したあとに成功するための心構えは?」
【転職後成功する心構えについての3つの視点】
皆さんは今、転職をお考えですか。転職したらこんな仕事をしてみたいと期待する一方で、転職したあとに成功するかどうか、不安になる方も多いのではないでしょうか。昨今の在宅勤務の増加によって、自分と向き合う機会が増えており、転職について積極的に考えるようになったエグゼクティブの方も多いと思います。実際には入社後1年以内の転職が、依然として減らない現実がありますが、転職後数ヶ月でスムーズに新天地に馴染み、存分にその能力を発揮される方もいらっしゃいます。さてその違いとは、一体何なのでしょうか。転職希望者、エグゼクティブサーチ、受け入れ先企業の3つの視点から考えてみました。
【①転職希望者の視点:過去の知見や経験は活きるのか】
まずは転職希望者本人の視点から考えてみます。業界や業種、事業や商品、職務レイヤーが変わっても、前職と同じかそれ以上のパフォーマンスを発揮できるのかどうか…。転職後、自分の知見や経験が果たして活きるのだろうかと、不安になるかもしれません。多くの転職希望者が、やりがい、より良い環境、より良い待遇等を求めて転職をします。しかし、思うようなパフォーマンスが出せないと、転職後空回りしてしまうこともあるでしょう。
【②エグゼクディブサーチの視点:経営人材と幹部人材に必要な力を「見える化」する】
我々エグゼクディブサーチが新天地へのご支援をする際、転職希望者がどのスキルにどのぐらいの深みを持っているのか、数字や具体例などに落とし込み、企業人事や経営幹部の方に伝えています。転職希望者と受け入れ先企業の「できること、やりたいこと、期待されること」それら全てが重なる部分が、真の採用ニーズということになります。私はキャリアアドバイザーとして、転職希望者が「できること、やりたいこと、期待されること」全てが重なる部分を確認していきます。その重なりの部分を最大化し「見える化」することが、エグゼクディブサーチの役割です。
【③受け入れ先企業の視点:新任者の能力を最大限発揮してほしい】
無事に採用が決まると受け入れ先企業では新任者が、果たして期待している能力を発揮してくれるのだろうか、一緒に働く仲間と馴染んでくれるのだろうか、本当に前職のように活躍してくれるのだろうかと、期待と不安を持ちます。受け入れ先企業の方々は短期的に、採用した方が自社の求めることを遂行してくれることと、長期的に能力を最大限に発揮してくれることを期待しているのです。
【実際はどんな方が活躍しているのか】
自社に転職してきた経営人材、幹部人材のご活躍について、受け入れ先企業の方はどんなふうに受け止めているのでしょうか。私は独自にアンケートをとってみました。
<質問>
「皆さんの会社に転職して来られた幹部クラスの方(部長クラス以上の方)で、活躍している方はどんなタイプですか?」
<回答者>
52人(男性41人、女性11人、全て20代以上のビジネスパーソン)
<結果>
「優れたソフトスキルを持っている」60%
「優れたハードスキルを持っている」19%
「人間的な魅力を持っている」12%
「その他」10%
※ソフトスキルとはいわゆる「ヒューマンスキル」のこと
※ハードスキルとはここでは「具体的な仕事の能力」のこと (例えば経理、財務、マーケティングなどの専門知識のこと)
このアンケートの結果から、実際に転職後も活躍している幹部クラスの方は、主にソフトスキルつまり「ヒューマンスキル」が優れていると、受け入れ先企業の方から捉えられているようです。
【これらのことから分かる、転職後の成功を左右するものとは】
3つの視点とアンケート結果から、新天地でもハードスキル、ソフトスキルを同じように再現していくことが必要だということが分かります。多くの方が経営人材、幹部人材にはソフトスキルが重要だと捉えており、弊社が重要視している経営人材に必要な力も、まさにソフトスキルです。ソフトスキルが優れているかどうかが、転職後の成功を左右するようですが、本当にそれだけなのでしょうか。
【ハードスキル、ソフトスキルを繋ぐ「俯瞰する力」】
私は転職後の成功を左右する力とは、優れたハードスキルとソフトスキルを「繋ぎ、越える」スキル、つまり「俯瞰する力」なのではないかと考えています。この「俯瞰する力」が優れている方は、新天地において自分自身の行動や状態を把握し、自分の考えの矛盾に気づき、課題の解決方法を修正することができます。私は転職後も活躍をされている経営人材、幹部人材の方に共通する特徴として、「謙虚であること」「環境に馴染む柔軟性を持っていること」「新しくゼロベースで物事を考えられること」の3つを強く感じています。それがまさに自分自身を「俯瞰する力」なのかもしれません。
【転職後の自分自身を、3つの視点から俯瞰してみる】
転職後の新天地において自分自身を俯瞰することとはまさに、自分、エグゼクティブサーチ、受け入れ先企業の3つの視点から、自分自身を捉えられているかということです。自分が転職した理由、エグゼクディブサーチが自分を引き合わせた理由、受け入れ先企業が自分を受け入れてくれた理由を俯瞰するのです。
【未来への意志と希望を持って、自分自身を俯瞰する】
自分自身を俯瞰できる方は、例えば年下の経営者や経験の浅い幹部の方と仕事をすることになっても、謙虚でいられます。過去のやり方にとらわれず、新しいやり方と環境に合わせられる方は、早くスタートラインに立つことができます。そして環境が激変する時代においては、ゼロベースで未来の事業を構想する必要があります。経営人材・幹部人材が転職したあとに成功するための心構えとは、「未来への意志と希望を持って、自分自身を俯瞰すること」だと考えています。あなたにもできます。その豊富な知見と経験を、未来のために活かしてみませんか。