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幸せなら手を叩こう

いらっしゃいませ
本日はどのようなご用件でしょうか
あらあなた感じのいい方ね
本当に役所の人なの?
#ジブリで学ぶ自治体財政

縦割り、たらいまわし、四角四面な対応、居丈高な上から目線。
市民から見れば誠に不愉快な「お役所仕事」をやめさせるにはどうしたらいいのでしょうか。
これまで私は、どうして公務員がそのような理不尽な行動をとってしまうのかということについて紙面を割いてきましたが、じゃあどうすればいいのかということについては「各自で胸に手を当てて考えていただきたい」と突き放し「認識してほしい」「意識して心がけてほしい」と精神論に終始してきました。
今日こそは原因分析のその先にある、改善方策について私なりの考えを述べたいと思います。

公務員の仕事ぶりが「お役所仕事」になってしまう理由は様々ありますが、そのおかげで市民が不愉快になっていること、得られるはずの成果が得られていないことについて、当の私たち公務員はどれほど自覚できているのでしょうか。
気がついていて故意に改善しないとすれば、それはかなり悪質です。
気がついているんだけど諸般の事情でなかなか変えることができないということもあるでしょう。
実はほとんどの公務員は無自覚に、自らの仕事に忠実であろうとするが故に「お役所仕事」に陥ってしまっているのではないかと私は見ています。
自らの業務領域に忠実であろうとすれば縦割りになり、自らの責任範囲を超えることで業務の正確性を欠くことを恐れて、結果的にたらいまわしが起こる。
悪気はないはずですが、私たち公務員が当たり前だと思っている仕事のやり方が結果的に市民を不愉快にさせているのですから、そこに改善の余地はあるはずなのです。

公務員が「お役所仕事」をやめるにはその動機付けが必要です。
その行動変容の動機付けとして、“三つの「める」”を挙げたいと思います。
まず思いつくのは、最も簡単に始められること。
子どものしつけで、子どもがよいことをしたとき、できなかったことができるようになったときどうしますか?
そう、ひとつめの「める」は「誉める」です。
担当を越えて連携協力し、市民のお困りごとに真摯に向き合う、「お役所仕事」ではない仕事ぶりを見た時にはぜひそのことを拍手で称賛してほしいのです。
別に飛びぬけて素晴らしいチャレンジだけを称賛する必要はありません。
日常の何気ない仕事の一つひとつについて「お役所仕事」と呼ばれることのない仕事がきちんとできていたときに、感謝と称賛の気持ちを言語化する。
面と向かって言葉をかけてもらえれば一番ありがたいですが、気恥ずかしい場合は後から別の場所ででも構いません。
当の本人に伝わらなくても、誰かにそのことを言葉で伝えるだけでいいのです。
SNSでつぶやいても、家族や友達同士でそのことを共有してもいいと思います。

以前も書きましたが、私は実際に誉める言葉がその本人に伝わること、あるいは誉められることを目的にそれぞれの公務員が行動を起こすことを目的に「誉める」ことを推奨しているわけではありません。
私たちの仕事には成果が目立つ業務,わかりやすい業務とそうでない業務があり,目立つこと,わかりやすいことばかり評価されるのでは,組織全体のモチベーションが上がりません。
そこで大事なのは,普段から誉めあう気持ちを持って互いの業務内容やその進捗状況,おかれている環境を相互に理解すること。
表彰制度があってもなくても,互いに「すごいな」「がんばってるな」と思い,時にはその言葉を発し,励ましあう関係でいられる状態に職員を置くことが,職員表彰制度の究極の目的だと私は思っています。

自分の周りで起こったことはもちろん、報道やネットで見聞きした、他の自治体で行われているチャレンジや善行についても、遠くから拍手を送り、たたえる。
役所の中にいる我々公務員も、外にいてその仕事ぶりを見ている一般市民も、それぞれが見えているものから「お役所仕事」でないものを意識して拾い、それが良いことだということを言語化することで、その状態が当たり前になることを目指そうと社会全体が意識していくことにつながる。
一人ひとりの「誉める」言葉が積み重なり、「お役所仕事」ではないものが善行として歓迎される空気を醸し出していくことが、私たち公務員の当たり前を変え、「お役所仕事」ではないことを当たり前にしていく動機付けになるのだと思っています。

できていることを「誉める」のであれば、できていないことを「戒める」ことも必要だという意見もあると思いますが、「戒める」ことについては、私は少し否定的です。
それは、「戒める」言葉が「貶める」言葉として伝わり広がることで当事者が心を閉ざし、改善へと行動を変容させる動機付けにつながらないことが懸念されるからです。
公務員の「お役所仕事」は悪意を以て故意に行っているものではなく、多くの場合は無自覚で、ただ職務に忠実であろうとしているだけなので、いたずらに負の感情を抱かせるのは得策ではないと思っています。
もちろん、是正すべき具体的な行動があった場合にそれを「咎める」ことは必要ですが、そのタイミングと方法については次回以降、別の「める」でお話したいと思います。

というわけで「お役所仕事」をやめさせる“三つの「める」”、一つ目は「誉める」でした!
続きは次回以降に。To be continued!

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★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
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