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対話のない議会
その動議は議会の総意として決するに足るものですか
私たちはそれぞれ市民から選ばれています
それぞれが対話し議論することを市民から託されている以上
まずは私たちが議会人として互いに対話し議論しなければ
#ジブリで学ぶ自治体財政
福岡市役所を辞めて1か月が経ちました。
想定していた通りのこともあれば想定してなかったこともあり、この1か月はまさに試運転という感じでしたが、1月後半から全国の自治体等のオファーを受けての出前講座などを再開し、なんとなく軌道に乗り始めています。
このブログも再開しなければと思いつつ、なかなか書くモチベーションが上がらずついついお留守になっていましたことをお詫び申し上げます。
私が市役所を辞めてやりたかったことの一つに、役所の中と外の垣根を越えてつなぐ、というものがあります。
これまでも自治体の財政の仕組みなど、市民から見てわかりにくいこと(職員も十分理解していないのですが)についてゲーム等を通じてわかりやすく体感してもらい、役所の中で起こっていることに外側からどうかかわってもらうか、ということを考える場づくりをしてきましたが、その活動をさらに進化させていきたいと強く思っています。
そんな中、昨日は早稲田大学マニフェスト研究所の主催する地方議会議員向けのセミナーに登壇させていただき、当初予算審議が始まる前に知っておきたい予算審議のコツについてお話しさせていただきました。
コツといっても具体的なノウハウ伝授というわけではなく、そもそも予算とは何か、自治体の財政構造や財政状況、将来見通しをどうとらえればいいのか、といった私がいつも出張財政出前講座でお話ししている内容をざっくりと説明し、財政が厳しいとはどういう意味か、財政健全化とは何か、どうすれば実現できるのか、といった話をかいつまんでいたしました。
また、個別の施策事業の予算を審査するにあたって、財政課ではこういう着眼点で査定をしていましたよ、という話で事業構築を審査するにあたっての留意点なども語らせていただきました。
持ち時間を勘違いしていて100ページ以上のパワポ資料を用意していたのですが、休憩をはさんで90分で何とか収めることができました。
また、その後の質疑では終了時間まで30分程度、とにかくたくさん出てくる質問にお答えし、ハイスピードで説明してわかりにくかったところをフォローいたしました。
参加者の方にはご満足いただけたようですが、もう少し時間配分や参加者の関心事に寄せた話題提供などを心がけることができればよかったかなと反省しています。
再演の機会があれば改良したいと思います。
これまで出張財政出前講座は自治体職員が企画実施することが多く、その参加者も自治体職員がほとんどでしたが、参加者の多様性を確保し、現実の世界で行われている多様な意見を対話で共有するという体験のなかでの意思決定を体感してもらうべく、一般市民や議員など、職員以外の方々に門戸を開いていただくようお願いしてきたところです。
こういった動きを自発的に察知し、職員が企画した出前講座に地方議会議員の皆さんが任意に参加されるケースもありましたが、議員という立場の特性を踏まえ、議員ならではの視点で情報を共有し、行政と市民との協働の橋渡しをしていただくという意味では、もっと議員向けの講座を開催していく必要があると強く感じました。
私は行政と市民との対話を進めていくうえで職員、議員のそれぞれがとても重要な役割を果たすと以前書きました。
ここで私は「議員は市民のアバターである」という突飛な理屈を持ち出していますが、このアイデアについては当時いろんなところから反響をいただきました
また、公務員がどうして対話ができないといけないのか、という論を立てる上で、公務員は市民を代位して意見の異なる市民同士の対話を代理しているとも説きました。
公務員同士の対話、あるいは公務員組織と住民等の外側のセクターとの対話がうまくいかないことは結局、意見の異なる市民同士の対話ができていないこと。
それは対話の前提である、互いの意見、立場を市民それぞれが尊重し尊重され、誰もがそこにいてもよい、何を考えてもよい、という基本的な人権が尊重さえるという環境が整わないということになるので、市民同士の対話を代理でつかさどり公務員の対話力が非常に重要だ、という考えです。
このことは一般の行政職員はもちろんですが、首長や議員など、選挙で実際に選ばれる身分の方々にこそ知っておいていただき、自分が市民のアバターとして対話や議論を代位しているという自覚を持っていただくことがとても重要だと改めて感じました。
その前提として、市民の行政を読み解く力(リテラシー)の向上のためには自治体職員が「中の人」として外側に語ることも必要ですし、それを直接市民に届けることができないまでも、市民を代位している議員との間でしっかりと共有していくことがとても大事だと感じた次第です。
議員といえば、旧態依然としたお山の大将の集まりで、俺が俺がという権力欲から他の議員、首長へのさや当てでまっとうな議事運営をストップさせてしまうようなケースもまだまだ散見され、それが市職員の議員への萎縮や市民の議会に対する失望につながっている面もあります。
また、議員それぞれが市民から託された意見を述べ、議員同士が対話し議論する場面もなかなか見られません。
そういった悪弊を一掃するためにも、心ある議員の皆さんと一緒に、行政と市民の対話の橋渡し、つまりは市民同士の対話の実現に向けて尽力していきたいと思います。
昨日の出講がそのキックオフになれば幸いです。
★2018年12月『自治体の“台所”事情“財政が厳しい”ってどういうこと?』という本を書きました。
https://shop.gyosei.jp/products/detail/9885
★2021年6月『「対話」で変える公務員の仕事~自治体職員の「対話力」が未来を拓く』という本を書きました。
https://www.koshokuken.co.jp/publication/practical/20210330-567/
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