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側用人の思い出

また全庁照会のとりまとめ?
企画調整部って言っても
毎日振り分けと取りまとめばかり
企画も調整もやってないじゃない
連絡報告部って名乗るべきよね
#ジブリで学ぶ自治体財政

昨日の投稿では,財政,企画,人事,秘書等の官房部門は,江戸時代の側用人さながらにトップの情報収集・伝達の補佐を担うことはもちろん,加えて組織内の目詰まりが起こらないよう潤滑油となって間に入り調整を行うこと,また職員同士,職場同士での対話が円滑に行われる仕組みや風土づくりまで視野に入れた「スーパー側用人」としての幅広い活動とそれにふさわしい能力が求められている,と書きました。

側用人の働きが首長の政治生命すら左右すると冗談めかしてここまで大上段に構えた私が抱え込んだのが「おまゆう」問題(笑)
私自身,係長時代の話ですが2002~06年度に財政課,07年度に企画調整部に,合計6年近く在籍していましたし,課長時代に至っては10~11年度に企画課長,12~16年度に財政調整課長として,課長だった6年間はすべて庁内調整の「側用人」の任に就いていたのです。
で,お前は理想の側用人として,あるいは上述の「スーパー側用人」として,きちんと仕事をしたのかできたのかという問いに答えなければなりません。
その答えは,2006年と2010年の二度にわたって現職の市長が新人の市長候補に競り負けてまさかの落選を喫したという結果がすべてを物語っていると私は思っています。

2006年11月の市長選はそれまで2期務めた自民党系の現職が3期目を目指し,これに政治経験のない民主党系の地元マスコミ出身者が挑むという構図で結果はまさかの現職落選。
現職落選の原因については,当時の政治情勢や現職が掲げていた政策への批判などもあり一概に言えませんが,政策の推進にあたる市役所組織が一枚岩になれていない,そのことを官房部門が問題視できていない,といった状況を感じ取っていたことを覚えています。
当時,私は財政調整課の係長として5年目を迎えていましたが,予算編成を巡る終わることのない庁内での闘争に辟易し,市役所をやめたいとまで思っていた時期でした。
毎年繰り返し繰り広げられている財政課と予算要求課との果てしない死闘。
「要るものは要る」と「ない袖は振れない」という決して交わることのない平行線の先にあるのは疲弊と不信。
強烈なストレスに体や心を崩す者も少なくはない。
この果てしない戦いの末に出来上がった「予算」は本当に市民に喜ばれるものになっているのか。この戦いにエネルギーを費やすことは本当に市民のためになっているのか。
そんな自問自答の中「もっと財政課が市民の目線に近い現場と同じ方向を向いて予算を編成することができないだろうか」そう考えた自分がたどり着いたのが「対話による相互理解と責任分担に基づく組織の自律経営」でした。
「財政課をぶっ潰す」と心に誓い,今も消えることのない怨念の炎を燃やしたのはこの頃です。

2010年11月の市長選挙はもっと鮮烈に覚えています。
4年前に現職を押さえて当選した前述の市長が2期目を目指すなか,自民党系の対抗馬として担ぎ上げられたのが地元民放の朝の番組で10年以上キャスターを務めていた髙島宗一郎現福岡市長です。
結果は皆さんご存じの通り,再び現職が落選し政治経験のない30代の若い市長が誕生したわけですが,その当時市役所の意思決定に関する総合調整を担当する企画課長だった私には忸怩たる思いがありました。
この時私は、現職が落選した原因を候補者そのものに求めるのではなく、現職の任期中に日々の行政運営を担当した我々職員一人一人の仕事ぶりが至らなかったということなのではないかと考えるようになりました。
そして,一職員としてそのことに気づけなかったこと,すなわち市民が市政運営に不満を感じていること,変化を求めていることに職員として無自覚であったことに大きなリスクを感じたのです。

側用人としての力不足だけが原因ではないかもしれませんが,現職の市長落選という辛酸を二度も舐めることとなった私は,市役所組織内での風通しや組織間の連携分担の基礎となる意思疎通の推進について,単なる職員の資質や組織風土の問題ではなく仕事のやり方,制度,仕組みとして構築し,その運用を通じて組織や職員が変わっていくことができないかと考えるようになりました。
そんなモヤモヤを抱えながら新しい市長の下で引き続き企画課長として総合調整を担当していたところに市長の大号令が下ります。
20年ぶりの新たな基本構想,基本計画の策定にあわせ,政策推進と財政健全化,そして組織風土や仕事のやり方などの行政改革を一体のものとして行うという一大方針が発せられ,2012年4月,私には財政調整課への5年ぶりの復帰が命じられ,完全公開の第三者委員会による「自律分権型行財政改革の推進」の大役を担うことになったのです。
その後財政調整課在籍中の4年間で成しえたことは私一人の力では到底できなかった大改革でした。
その経験と成果は今でも私の宝物であると同時に,その時に現市長のもとで関係所属が連携して敷いた市政運営のレールの上を福岡市役所が今も走っていることを,元・側用人の一人としてとても誇らしく思っています。

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