横山未来子の歌集を読む~主に『とく来りませ』のテーマと文体について~
歌集『とく来りませ』は2021年(令和3年)4月3日発行。砂子屋書房の「令和三十六歌仙」シリーズの一冊である。横山未来子(1972年~)の第六歌集にあたる。
横山の第一歌集『樹下のひとりの眠りのために』(1998年)、第二歌集『水をひらく手』(2003年)は相聞歌の多い歌集であった。
初期から完成された文語によってうたわれる「君」への思いが瑞々しい。
第三歌集『花の線画』(2007年)、第四歌集『金の雨』(2012年)では、あらわな相聞歌は影を潜め、動植物への細やかな観