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好きでやりたいことがある人生はバラ色なのか
自分探しが大流行である。
私らしい = 好きでやりたいことをして(稼いでいる)いる私
ということになるのだろう。
では、好きでやりたいこととは?
ここで止まってしまう人々がいる。
何がやりたいのかわからない。
こういう人が大勢いる。
本当にやりたいことが見つかる=本当の私 = 幸せ
こんな式が成り立つ。
※※※
少し前になるがメジャーリーグの大谷選手がMVPを獲って日本中が熱狂した。
野球を殆ど知らない私ももちろんその内の一人である。
大谷選手の前はイチロー選手だった。
何本ヒットを打つか、記録は達成できるのかワクワクしながら活躍を見守ったものだ。
しかし、やはり年齢とともに活躍の場は減り引退へと導かれていった。
もしも会社員ならそんなに早く第一線を退いたりしない。むしろ一番良い時だったりもする。
あれだけの才能があっても体は確実に衰えてくる。
スポーツ選手って残酷だなあと思った。
※※※
テレビで漫画家を目指す若者達の話を見た。
トキワ荘プロジェクトという。
漫画家を目指す若者達にシェアハウスを貸し出して、プロデビューのサポートを行う。
漫画家志望の若者達が切磋琢磨している様子をカメラが映し出す。
少年ジャンプに連載するのが夢。
描いた作品をお互いに批評したり、悩み相談をしたり。
仲間であり、ライバルでもある。
編集者さんからもアドバイスを貰うことができる。
アドバイスが気に入らなくて反発したり、悩んだり。
たくさんの壁を乗り越えて実際のデビューに繋げていくのだ。
とても印象に残った人がいる。
彼は18年前にこのトキワ荘プロジェクトの住人だった。
現在38歳。
トキワ荘を出てからもずっと漫画を描き続けている。
「描いてる時は異常にテンションが上がりますよね。漫画を描いてる時は自分に自信が持てます」
と言っていた。
多分、漫画を描くのが好きなのだと思う。
まだ彼の作品は単行本にはなっていないそうだ。
※※※
冒頭のテーマに戻る。
好きなこと、やりたいことがある人生はバラ色なのか?
「好きなことができていれば他人の評価は関係ない。」
「好きなことをやっていることそのものが幸せ。」
そういう考えもあるし、それも真実だと思う。
その人達の選択に対して私がとやかく言うことは何もないし、そんな立場でもない。
でも、好きなことをやり続けるというのは、私が思っている以上に大変なことなんだと思った。
まるで、解けない魔法のようだ。
やめられない苦しさとでも言おうか。
ずっと続けるか、どこかで区切りをつけるか。
長くやればやるほど、それは簡単ではなくなるのだろう。
漫画家に限らず、お笑い芸人や歌手などにも共通することだ。
もしかしたら10年後に売れるかもしれない。
ゴッホのようにずっと後で評価されるかもしれない。
そう思うと踏ん切りをつけるのが難しい。
スポーツ選手なら体力的な限界があるから引退がある。
それって残酷のように見えて、案外そうではないのかもしれない。
夢を追い続けられないという優しさもある。