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メルカリで売った本と、息子の入院

メルカリで本を売った。
出品してすぐに買い手が決まり、明日にでも郵送手配をしようと思った矢先、息子が肺炎になり入院することになった。

一歳児の入院は親の付き添いが必須だ。すぐさますべての仕事を調整(という名の融通のお願い)し、病床に入った。睡眠不足の朦朧とした頭でふと、本を送っていないことに気づく。慌ててメルカリアプリより購入者へメッセージを送った。こういうとき私は、多少言い訳がましくとも正直に事情を伝えたい。事情を伝えた上で、お急ぎであればキャンセルして別の方から購入した方がいいかもしれないですと厚かましくも提案した。

すると先方からは、息子の体調を気遣う言葉と、急ぎではないので待ちますという返信をいただいた。

とても嬉しかった。ありがたかった。
誰でもいいはずなのだ。迷惑をかけたクライアントも、この方も。
私の仕事も、メルカリで出品した本も、どうしても私じゃないといけない理由などないはずだ。だけど待ってくれる。そのことが私はとても嬉しい。私の都合を待ってくれる人がこの世界に数人いるって、なんで心強いんだろう。育児によるイレギュラーの連続で弱っていた私は、そのことに大きく救われた。


退院後、すぐさま本を梱包し、待ってくれたお礼に手紙とポストカード3枚を同梱した。

本は無事届いたらしく、先日、受け取り通知とともに評価がされていた。評価は「よい」だった。そしてコメントには「大変な状況の中対応してくれてありがとうございます。お礼の手紙とポストカードまでいただき、とても嬉しい気持ちになりました」と書かれていた。この人、どんだけ性格いいんだろう。

なんだか泣きそうな気持ちになり、同時に、関わる人に負担をかけてしまいがちな子持ちフリーランスだけれど、感謝の気持ちを丁寧に表現することは、今の私に最大限できる「誠実な仕事」かもしれないと思った。

働いているとクライアントや読者から感謝の言葉をいただけることがあり、それがとても嬉しく、仕事のやりがいのひとつだ。感謝されるって、結構大きなエネルギーになることを私は知っている。

感謝だって、チリも積もれば大きな社会貢献だ。そうだ。そうしよう。感謝だけは子がいなかった時の倍、丁寧にしよう。そして感謝を受け止めてもらえたことに、ちゃんと感動しよう。

そんなことを思いながらメルカリの評価ページを閉じようとした時、「残念だった」評価がひとつあることに気づいた。おそるおそるクリックすると、コメントはなし。ただ残念評価が下されているのみだった。どうしてと気になり、履歴を確認する。即日発送して、梱包も完璧だったやつじゃん。なんでやねん。

最善を尽くしてもダメな時はある。結局のところ、やはり私は多くのいい人にあたっているだけなのだ。残念評価を下した人をそっとブロックし、新たに読み終えた本を出品した。

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