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出産と育児のこと

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子育てについて、フリーランス目線で綴るマガジン
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#エッセイ

メルカリで売った本と、息子の入院

メルカリで本を売った。 出品してすぐに買い手が決まり、明日にでも郵送手配をしようと思った矢先、息子が肺炎になり入院することになった。 一歳児の入院は親の付き添いが必須だ。すぐさますべての仕事を調整(という名の融通のお願い)し、病床に入った。睡眠不足の朦朧とした頭でふと、本を送っていないことに気づく。慌ててメルカリアプリより購入者へメッセージを送った。こういうとき私は、多少言い訳がましくとも正直に事情を伝えたい。事情を伝えた上で、お急ぎであればキャンセルして別の方から購入した

高速道路の思い出

高速道路が嫌いだった。 もともと運転が嫌いだ。だけど公道ならまだ「こんなところにこんなお店できてたんだ」とか「あの小学生、制服おしやれだな」とか、少しは楽しみが見出せていた。 だけど高速は全然だめ。運転しかやることがなくて、ただただ運転をするためだけに自分が存在しているようで嫌なのだ。 だけど最近、高速があんまり嫌いではなくなった。なんなら少しだけ好き。高速道路に思い出ができたから。 高速道路に思い出ができたのは、ちょうど去年の今頃。妊娠後期だったわたしのお腹の中で、

パパの育児と理想の家族

産後4ヶ月あたりで若干、鬱っぽくなった。 一日中抱っこしてないと泣き続ける息子に悲しくなり、一日に数回、コントロール不可能な涙が出るようになったのだ。 一度、泣いているところを夫に目撃され、数時間休憩をもらったのだが、その数時間が逆にわたしを落ち込ませた。が、その数時間でみるみる落ち込みはピークを超え、超えた途端にだんだん腹が立ってきた。 親族が近くにおらず、少しずつではあるものの産後2ヶ月で仕事も復帰して、わたしはとてもがんばっているじゃないか。 なのになんで、どうして

みんなやってる凄いこと

子どもってやつは、なんと教わることの多い存在だろう。 母になり、2ヶ月と少し。物理的にはお世話をしているけれど、精神的にはめっちゃ育てられているなと思う。 なにより、出産という壮絶な経験をたくさんの女性たちが済ましてきたという事実に、いまさらながらビビる。少なくとも1世紀分くらいの期間内に日本の人口一億数千万人分、この国のどこかで妊娠と出産が行われてきたのだ。そして今この瞬間もきっとどこかで、新しい産声があがっていることにビビる。 「みんなやってること」妊娠出産を通して

沖縄で子を産む

おそらく来月末あたり、人生ではじめて子どもを産む。 予定日は6月2日らしいけれど、今年のおみくじに「待ち人、早く来る」と書いてあったので、5月末ごろに産まれるんじゃないかなぁと思っている。 ーなんて書きながら、あらためて自分の人生にびっくりする。まさか私が、沖縄で子どもを産むことになるとは。 私は香川県出身で、大阪と東京に住んだことがある。沖縄に住むことは沖縄に住む2週間前くらいに決めた。 住みはじめたころは「移住しよう」なんてまったく思っていなくて、むしろ1年くらい