さあ、言葉の話をしよう
世の中に...
世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし
という在原業平の歌があります。
薄桃色の桜の花のほころびを待ちわびる、フワフワする気持ち
咲いたあとの花びらがいつ散ってしまうのかとヤキモキする気持ち
フワフワもヤキモキもワクワクもメソメソもユラユラも
いろんな心の揺らめきが言葉に乗って時空のトンネルを超えて押し寄せます。
世の中にたえて言葉のなかりせば
と考えると、切なくなって、あたまがクラクラします。
一生話さなくても困らないと思ってた幼少期
幼い頃、言葉は、それほど重要でも必要でもありませんでした。
一日中喋らなくても平気でしたし、
大人の質問には頷くか、首を振るかで、YESとNOのメッセージが送れましたし、
周りの大人をじっと観察してたら、相手の求めている事が何となくわかって… 否、わかったような気になって、
それなりに、お利口さんな役どころをやれていましたから。
今思えば、以心伝心という四字熟語を、120%のレベルで信じていたと思います。
もちろん、テレパシーが使えるわけでも、読心術が使えるわけでもなかったんですけどね。
何故か、「言わなくてもわかるでしょ?貴方がなに考えてるかも大体わかるし」って、
全くもって、おとなしいけど変な子だったと想像します。
でも、学校に行き出してからは、そんな子どもじゃいられないと肝に銘じました。
世の中は、以心伝心では動いていない。
身振りやジェスチャーだけでは答えられない質問・疑問は山ほどある。
何より、こちらから、言葉を出さないのは、伝えることを拒んでいるのだ。
人に対して失礼。
口があるのに、それを食べたり飲んだりすることだけに使うのは、もったいない。
口に対して失礼。
頭があるのに、言葉を使って考えないのは、脳みそに失礼。
言葉に出せないのは、流石にちょっとマズイぞ!
と気づきました。
それから、言葉の使い方、受け答えの仕方などを、まるで帰国子女のように、学習し始めて、少しずつ階段を登って、今に至ります。
今は、この世に言葉が溢れていて、本当に良かったと思います。
書き言葉も、話し言葉も、愛おしい。
そりゃ、言葉がトゲのように突き刺さり、抜いても、いつまでも、チクチクと痛むこともある。
逆に、一気にパワーを貰えて、パーッと視界が開けるような言葉もある。
どんな場合も、言葉を通して、心が動くその瞬間が、こうして生きていることの醍醐味。
だから、言葉が愛おしい。
言は事なり
言の葉、一枚一枚の葉っぱはそれだけでも十分美しいけれど、枝に沿い、木を育て、森をつくり、空気を清浄にする。雨粒をためる器になり、そよ風にさわさわと音を立てる。
「言葉」という語はもともと「言(こと)」と一語で言っていたそうです。古代より「言は事なり」とされ、「言」と同音の「事」と同じ意味を持つものとして扱われていたのだとか。言を発するとそのまま事が起こると信じられていたのです。
いつのまにか、言と事の概念が分けられてしまっているけれど、
言霊という日本語独特の考え方は、たぶん、その考え方からきているんですね。
そして、「ことば」は事(言)の端々、つまり、「言の端」という捉え方。「端」でなく「葉」という漢字があてられたことで、より一層、言葉というものが、映像として、自分の中に入ってきます。
日本の美意識を感じます。
よろずの言の葉
古今和歌集で紀貫之が序文のなかで詠んだ短歌。
やまとうたは ひとのこころを種として 万の言の葉とぞなれりける
高校生時代に、これを初めて読んだ時、「スゴイ」と思いました。人の心から芽を出す苗を、どっしりとした大きな木を、青々とした若葉を、紅葉し落ちていく葉を、脳内映像として、思い浮かべました。
「事」に良い悪いは無い。「言」にも良い悪いは無い。その事を起こす人のこころ、その言を話す人のこころが種になっているに過ぎないんだなーと思います。
こころの種に気を付けなくっちゃね!
そして、古代より宿すと言われる言葉の力を信じたい。
姉ブログのこちらでも、言葉があってよかったぁとしみじみ語ってます。よろしければ、併せて読んでみてください。
最後まで読んで頂きありがとうございます。
読んで下さったあなたに、言葉の力と光がとどきますように。
ではまた!
ここから先は追加&訂正記事です(2021.8.24)
久しぶりに読み返してみたら、
「言葉があって良かった」としみじみ語っているのは、
下記の記事でした。
「まぁ、別に訂正しなくても、どうでもいいか!」と思いつつも、
「いや、やっぱり、こういう所だよねー。気付いたら…気付いているのなら、出来ることから変えていこう。」と思い直す深夜。
小さなことからでいい、これまでのコンフォート・ゾーンを踏み出したい
「言は事なり」
わかっているようで、わかっていない、この仕組みを、ちゃんと経験したい
と自分の脳内に響かせて、今夜は寝ることにします。
ではまた!
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