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雨上がりに居酒屋を求めてさまよう

いつも飲む街とは反対を目指したのです。そちらの方向は、別にこれという用もないからあまり行くこともないのですが、その中でも特に印象の薄い駅で降りて周辺を探ってみようと思いました。何年か前にもこの辺りを散策したことがあります。その時は別の意味で、つまり本当に街をさ迷う感じで降りてみたのです。その時に、駅周辺にパラパラと居酒屋があることを認識しておりました。こんなと寂しいころで商売になるのかなと不思議な感じでした。

その不思議な感じが糸を引いてこのようなことになっています。東武東上線沿線です。池袋方面から来た人はここで乗り換えます。後は物好きな人は想像してください。

ついさっきまで雨が降って急に寒くなりました。そんな日の夕暮れにわざわざ居酒屋だけを目当てに出ていく私の物好きにも程がありますが、最近の楽しみと言えば絵を描く以外にはもうこんなことしかありません。

実は数日前にこの周辺を探っておりました。居酒屋雰囲気を一度確かめて置こうと思ったのです。なんという小心でしょうか。これは今に始まったことでもないのでしょうがありません。すんなり入れればの考えでした。駅から降りて少し歩いてみようと思いました。まだ少々時間があります。ブラブラ行くと荒川に向かう橋が架かっていました。見える川は荒川にそそぐ小さな支流で名前すら知れません。

歩くと言っても夕方であり、周辺は畑と農家ばかりで、民家やアパートがその間に点在する光景です。特に目ぼしく興味を惹くものも見当たりません。

しばらく行くと川べりに降りて行けそうな階段を見つけました。まだ足元は見えるしで、降りてみようと思いましたが、いきなり--マムシに注意--の札がぶら下がっています。こんなところで噛まれたら余程運がないのだと決心して降りて行きました。

荒川の本流です。ああ、陽が沈んで行きます。手前の無粋なコンクリートやロープがなかったら、或いはアマゾンだと言っても誤魔化せるかも知れません。アマゾンにもきっと似たようなところはあるでしょう。昔川口探検隊でジャングルと称して撮影していた場所が実はテレビ局の裏山だったというのは笑い話として伝わっていますが、あの当時からメディアはカルトっぽくて笑えました。

ぼんやり夕暮れを眺めていたら反対側の鉄橋を電車が渡っておりました。実はこの川原で、今年も水死事故がありました。もう何度も起きている有名なところです。
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ここまでが、先日訪れた時のことです。駅周辺に戻ってみたら、どうやら目当ての店は休んでいるようでした。他に一軒興味をそそる店があったのですがちょっと考えて決心がつかず、遂に諦めて戻ったのです。

しかし一度そんなことがあると諦めてしまうのも悔しい。何だか頭に残る。それで後日の出直しでございました。今回は駅を降りた時に既に真っ暗で雨は止んでおりました。左に白い枠のドアの民家が見えますが、ここはコーヒーショップのようです。基本テイクアウトのようですが、中で飲めるなら一度立ち寄ってみたくもあります。店じまいが早いのですね。

そもそもの目当ての居酒屋は駅のすぐ横なのですが、実は以前にちょっとばかり気になった別の店に行ってみたいと思っていました。

道路沿いに一応は店もあります。しかし街の印象はありません。点在する建物と車のライトに照らされて、すぐそばを車が通るとライトがまぶしくて足元は何も見えません。動かずにやり過ごしてから歩くのです。居酒屋が、こんなところで商売になっている不思議を以前から解いてみたいと思っていたのです。

恐るおそる暖簾を潜ってみると意外にも先客が居て、これがまったく初めて入ったのにその遠慮も全く要らないような店でいきなりワッハッハで話が弾みました。常連と思しき夫婦が後から入ってくるしで、思いの外商売にはなっているようでした。実はこういう店は他にもあります。以前ベンチゴロの記事に書いたところもそうです。どういうものなんでしょうね。

考えれば、周辺は他にあまり店もない感じだし、地元の人が飲もうと思ったらちょっとしたたまり場になって居るのかも知れません。私を含めて客も店の女将も年配で、若い人が立ち寄る雰囲気はあまりないように思えましたが案外そうでもないかも知れません。

隣り合わせた先客は不思議な女性で、霊感があるそうです。見えると言うのです。ちょっと私も霊視してもらいましたが、大丈夫と言うことでした。私は個人的に少々不思議な体験をしているのでその手の話にはつい乗ってしまうところがあります。街中の職業霊能者でもやってもらうと多分五千円以上はかかるのでこれは有難いことです。インチキと言っては申し訳ない人も居られるでしょうが、怪しげと言い始めたら皆怪しげなのでその意味では同じです。

この手の話は機会があったらと言うことで又にしますが、怪しげななかにも不思議が混じっているのも事実ですね。

そんなことでそれなりの時間費やして、しかし思いの外飲み食いしたのか会計の時にちょっとギョッとしました。居酒屋で見知らぬ人と知り合って話が興じるとついついこれがあります。用心用心。隣りのお方の言うことには、僅かずつでもマメに通ってやる。これが良いのよ--と言うことでした。一度に使う金二千円以下だとか。俗に言う地元飲みです。健康の面からもこれが良いことは言うまでもありませんが、私にはまだそれができないのです。

その件については別の話があります。いずれまたね。

さ迷ってまで飲みたい人に完敗!

いや違う、こっちです。乾杯!

変換って油断ならないですよね。長い文章はしんどいです。
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ところでキャッチの絵は随分昔に描いた墨汁画です。水墨画と言ってもよろしいでしょうかね。

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