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ワーママ読書レビュー8月|こども、虐待、小説、ベストセラー

今月は自己啓発本よりも、興味のままに本を手に取り読んだ月でした。
結果心が動かされた本ばかりです。たまにはこういう読書の仕方もいいですね。

シーラという子--虐待されたある少女の物語 (トリイ・ヘイデン)

Voisyパーソナリティのワーママはるさんときらぼし学舎の植木希恵さんが心理学について語るラジオ、きえはる心理学ラジオで、
植木さんがカウンセラーを目指したきっかけとこの本を紹介していました。

心理学こども虐待、というキーワードが気になってすぐにアマゾンでポチしました。

お世辞にも清潔とはいえぬ姿に敵意むきだしの目。シーラは6歳にして傷害事件を起こし、トリイの特殊教室に送られてきた。決してしゃべろうとせず泣きもしない。ときに怒り狂い金切り声をあげ大暴れする。だが実は、ずばぬけた知能の持ち主で、心身に深い傷を負っていた…。暴力、貧困、虐待に蝕まれた少女が堅く閉ざした心をおそるおそる開き、一人の献身的な教師と深い信頼の絆で結ばれてゆく姿を描いた感動のノンフィクション。

どんどん先が読みたくなる本で、読書スピードの遅い&あまり自分の時間が取れない私ですら没頭して3日ほどで読めてしまいました。

徐々に距離を縮めていくトリイとシーラ、個性豊かなこどもたち、必ずしも味方ばかりではない周囲の大人、と興味深くてどんどん読めてしまいます。

ノンフィクションとありますが、次作でトリイが話しているように、この本は「上昇の物語」にするために不要な部分はカットしてあったようです。シーラがのちに「トリイはこんなに辛抱強くなかった。いつもぷりぷり怒っていた。」と言っていることからも、実際のトリイはもうちょっと人間臭かったのかもしれません。

それでも、トリイの辛抱強くこどもに寄り添うところや、その時に考えていることは、自分の子育てと重ね合わせて、考えさせられる部分が多くありました。

もしこの本を読まれるのなら、続きを読まれることを強くお勧めします。シーラのお話は次作まで読んで初めて完結するのだと思いました。
この本では、シーラの一連のストーリーは美談として締めくくられていますが、続きでは、現実はもっと複雑であったことが分かります。


タイガーと呼ばれた子(トリイ・ヘイデン)

7年ぶりに再会したシーラは、派手な髪のパンク少女だった。かつての楽しかった日々も二人の信頼関係も憶えていないという。少しでも打ち解けるよう、トリイはクリニックの手伝いを頼む。やがてシーラの口から、幼い頃からの性的虐待の事実が明るみに……。真の癒しを見出すまでのシーラとトリイの葛藤を描く。

「シーラという子」のその後のお話です。「シーラという子」を読み終えて、読んでいるときの余韻に浸りつつ、その後がとても気になってこちらもすぐポチしました。

どちらもノンフィクションではあると思うのですが、本書は「シーラという子」よりも、より現実味を帯びた内容になっています。前作のような上昇物語ではなくて、シーラがどういう風にトリイや自分自身のおかれた環境を受け止め、考えていたのかなど、苦悩が垣間見えてきます。
前作ではあまり詳細に触れられていなかった父親にももう少し深く書かれていて、シーラの抱えている問題がいかに根深く、表面的な対処だけではあまりにも不十分であったことが書かれています。
前作を読んで違和感を感じた部分が、紐解かれていくような感覚でした。

「こんなシーンで私はいったい何ができるだろう?」と考えたり、良いことだらけとは限らない現実に悲しくやるせない気持ちになるだけではなく、
シーラの気持ちを聞いて自分の子育てや長女(11歳)の心情を考えるきっかけにもなりました。


思いわずらうことなく愉しく生きよ(江國 香織)

犬山家の三姉妹、長女の麻子は結婚七年目。DVをめぐり複雑な夫婦関係にある。次女・治子は、仕事にも恋にも意志を貫く外資系企業のキャリア。余計な幻想を抱かない三女の育子は、友情と肉体が他者との接点。三人三様問題を抱えているものの、ともに育った家での時間と記憶は、彼女たちをのびやかにする―不穏な現実の底に湧きでるすこやかさの泉。

この本はご存じの方も多いかもしれませんね。ワーママはるさんvoisyの「ワーママは愉しく賢くしたたかに生きよ」の語源になっているそうです。

江國香織さんの本は、今年1月ごろに読んだ「きらきらひかる」が初めてで、こちらが4作品目。大人になってから小説を全く読んでいなかったのですが、江國香織さんの作品に魅了されて、少しずつ読むようになりました。

新しい作品を読むたびに「あぁ、これ江國さんの作品の中で一番好きだ」と思います。つまりどれも凄く好きだっていうことですね。
今回も例外なくそのパターンで、特にこの本は最後が好きでした。一番最後の一文が。

本を読み終えて気づいたんですが、この本は、ただ読んで気持ちが豊かになるだけじゃなく、内省のきっかけを与えてくれている気がするんです。
麻子・治子・育子はじめ、登場人物が口には出さないけれど考えている事がありますよね。あの描写を自分に取り入れてみるんです。そうすると、自分を少し客観的に見れる気がして…「あぁ私は責められてるように感じるから怒ってるんだな」とか「順番を間違えられただけでこんなに怒ってしまう自分が笑えてくる」とか。
うーん…伝える力がなさ過ぎてうまく表現できないですが、自分も登場人物のようになりきると、自分の気持ちに気づきやすくなったような気がするんです。

それから、一つ心に残ったのが、長女麻子の「人間はみんな病気なのだ。一人一人みんな」の言葉。
そう、すべてが普通の人なんて存在しなくて、みんな普通で幸せそうで、おかしな人なんていないように見えるけど、実はみんなどこか普通じゃないところを持ってるんだ。それが人間ってものなんだ。って、すごくしっくりきました。

私がちょっと変わっていることだって「普通」なのだし、そんなに気にすることないのかもな、と思えました。



LIFE SHIFT(ライフ・シフト)―100年時代の人生戦略(リンダ・グラットン , アンドリュー・スコット)

お金偏重の人生を、根底から変える。成長至上の次に来る、新しい生き方。 

読者が選ぶビジネス書グランプリ2017にて、総合グランプリ受賞!
ビジネス書大賞2017にて、準大賞受賞!
など、ビジネス書関連の賞を受賞している名著です。

この本の存在は知っていましたが、これまでは読みたいほど興味を持っていませんでした。それが、最近になって自分の人生のゴールとかキャリアにアンテナが立つようになって、読むに至りました。(正確にはAudibleで聴きました。)

大体ベストセラーの本は分かりやすく、過去を覆すような新事実を提示たり、心が大きく動く本だ、と個人的には思っています。この本もご多分に漏れず、自分の将来を強く意識させる本だと感じましたし、強く印象に残りました。
将来への漠然とした不安が少しずつ紐解かれ、具体的にどんなことが将来問題になってくるのか、そのガイドをしてくれているようです。

生まれた年代の違う3人の登場人物、ジミーとジェーンとジャックの人生を追いながら具体的に将来を見ていくわけですが、がみんな「J」から始まる名前でちょっと分りにくかったです。全然違う名前にしてほしかった。(苦笑)
Audibleだと戻るのが面倒なので、「あれ、これはどの世代の人だっけ~?」とぼんやり思いながら聞き流していました。
また、グラフを解説している個所も、実際に見ながら聞かないといまいちしっくりこないので(移動中にAudibleを聞いているのでではいちいちPDFを開くのが面倒)
本で読んだほうが理解が深まると思います。

ちなみに本書をマンガにしたものもあり復習がてらそちらも読みましたが、マンガ版ではキーワードの説明に留まる程度でまとめられていました。将来について漠然とした不安を解消したいと思っていたり、じっくり向き合いたいと思っている方は書籍のほうをお勧めします。

以上が、8月に読んだ本でした。「こども」と「人生のゴール」にアンテナが立っているこの頃です。

どなたかの参考になれば幸いです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました♪

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