【推し and the City】いつの田中みな実が使ってたのかわからない美容グッズを使ってる
オタクは美容やファッションに興味がないと思われがちだけれど、そんなことはない。
いつ推しと目が合っても後悔しないように、別界隈から「〇〇のファンは綺麗な人が多い」と言ってもらえるように、何より推しに喜んでもらえるように、常に自分を美しく保っている必要がある。
特に30代は美容に投資しがちである。
推しメンカラーやガチ恋ファッションに身を包んだ時期もあったが、やはり年齢とともにだんだんと躊躇する気持ちも出てくるので、もう内側から若々しくなるしかない。
しかも結婚や子供という貯蓄する目的を差し当たって持ち合わせていないから、お金はまぁまぁ使い放題である。
それにしても、最近の美容は情報量が多すぎる。
白湯メイクやら純欲メイクやらちょっと何を言っているのかわからないワードも続々登場してくるし、美顔器もコロナ禍を機にぐんと自宅で日常使いしやすいものが増え、違うようで同じもの、同じようで違うものが世に溢れている。
美容医療もここ数年で大発展。ギリ出せなくもない値段につられて足を運んでしまえば一巻の終わりで、「5回以上通っていただけると効果を感じていただきやすいです」などと宗教のようなセリフを宣われながらいつの間にかコースに契約している自分がいる。
私も財布もてんてこ舞いである。
だが結局のところ、この広大なる美容の海でネットサーフィンして漂着するのはいつかの田中みな実である。
例えばファンデーションが切れたとき、『ファンデーション 30代 おすすめ』などとググってしまうとNaverまとめのジェネリックのような有象無象の記事が出てきてしまう。
そこで、『30代 おすすめ』を一言で代替してくれる魔法の言葉『田中みな実』を検索ワードに追加するわけである。
そうすればあとは比較的値段が手頃なものを選べば良いだけだ。
もちろん記事の日付が2020年であることくらいうっすら気づいてはいるのだが、かと言って推しの最新情報ほどには田中みな実の最新情報に興味がないので、「まぁ2023年も四捨五入したら2020年だから」などと意味不明な言い訳を自分にしながらサイトをポチる。
美容誌のランキングも安定だ。
だいたいの美容誌は半年ごとに上半期・下半期のベストコスメランキングを発表するので、ファンデーション部門の中からこれまた比較的値段が手頃なものを選べば良い。
何ともイージーである。
たぶん今のファンデーションを使い終わるであろう2年後も、またその時のランキング上位を買うのであろう。
まぁそんなこんなで、30代のオタクの洗面所はいつかの誰かがおすすめしていた美容グッズで溢れている。
“オタ活”という消費行動に“美容”という消費行動を上重ねして、今日も元気にお金はなくなっていく。