#1 カオサン通りの夜とホステル
2023 旅日記 タイ編
到着した677便。21:30。
ターンテーブルで荷物を受け取って、今日の宿に向かう。
チェックインは24:00まで。急がないと。
イミグレーションは混んでいて、時間がかかってしまった。
空港でタクシーを捕まえて、ギリギリで宿に駆け込んだ。
今日泊まるのはカオサン通りのホステル、"Nappark HOSTEL"
ここは宿泊客のほとんどが欧米人で、日本人や現地人らしい人もいなかった。
先輩や社長から、ホステルの治安や汚さについて散々脅されていたが、ここのホステルは見た感じキレイ。
今回予約した部屋は男女共同6人部屋。
二段ベッドが3つ置いてある。
今回は全員知り合いだから同じ部屋でも危なくない(と思う)けれど、知らない外国人と同室だったらかなり不安かもしれない。
ロッカーには鍵がない。
とりあえず、旅に南京錠は必須だと言うことを知った。
カーテンは光で透ける。
そもそも私が選んだベッドには、死角が無い。
着いて早速、トイレとシャワーを確認しに行った。
部屋を出て廊下を右、女子トイレとシャワー。
入って正面に洗面台があり、丁寧なことにドライヤーがついている。
右手にトイレが2つ。トイレの便器は大きすぎて、あんまり深く座るとおしりがハマりそう。四角い。紙は流せないけど、一応水洗らしかった。
左手にシャワーが2つ。なんというか、シャワーだけでなく全体的に床が汚い。
元々の床の模様なのか、汚れてるのか...。
あんまり素足で歩きたくない感じ。
思いっきり女子トイレとシャワーを覗きに来た先輩と社長。二人とも、嬉しそうに
「汚いね〜〜」
と喜んでいる。
支度を済ませたら、カオサン通りの賑やかな通りに出る。
ホテルの前は思っていたより静か。
細い道を縫って、大きい通りに出てみる。
通りを出た先で、私は人生で初めて心臓にひびく爆音の重低音を聞いた。
クラブらしい建物がたくさん並び、緑や紫のネオンが光る。
タイパンツやマッサージの店もちらほら。
小さな露店には、マリファナやサソリ、蜘蛛などといったあやしさ満点な代物が並ぶ。
壁にもたれてしゃがみこむ女性。失禁しているようだ。
ゴミ箱を抱える男性。誰かが背中をさすっている。
先輩が何か言うけど、爆音にかき消されて聞こえない。
しばらく歩いて、クラブらしい建物に入ってみた。
欧米人らしい人がかなり多い。
先輩はグイグイとステージに上がり、ハナちゃんと私を手招きした。
あんなにグイグイ行けるのがすごい。
ハナちゃんは、意外と恥ずかしがり屋。
私がぴょんぴょん飛び跳ねてると彼女も乗ってくるようになった。
初めての空間に、なんだか少し変な感じ。
性別の分からない細い人が、誰よりも体をくねらせて踊っている。
湿度がそんなに高くないせいか、それともこの場に夢中になっているせいか。
暑さはあまり気にならなかった。
しばらくすると、マイさんと先生がホステルに着くと連絡が来た。
ステージの上の先輩に手振りで合図する。
マイさんは、同じく先生のゼミのOGさん。
自立した雰囲気の素敵な女性。自分で事業を立ち上げ運営している、すごい人。
クラブを出て、みんなでビールを飲む。
chang beer。タイ語でchangは象という意味らしい。
ビールはあんまり飲めないけれど、汗をかいたあとはいつもよりずっと美味しく感じられた。
早くも酔った頭で空想にふける。
カオサン通り、なんて楽しいところだろう。
愉快で怖い。素敵な街。
ホステルに帰ると、入口の前で欧米人が揉めていた。
私は怖くて、そそくさと横をとおりすぎたが、正直何が起こっているのか少し気になる。
どうやら喧嘩らしい。
建物に入って、安全な場所から様子を眺めてみる。
ホステルのスタッフさんが、携帯で電話をかけた。
警察を呼ぶのかな?
不意に、大柄な男が宙を舞った。
信じられなくて、最初は服かと思ったが、確かに人が飛んでいた。
あーあ笑
という感じで笑いながら電話をかけるスタッフのお姉さん。
この時間は、止めに入れる男性のスタッフさんがいないのかな。
だけどこころなしか、お姉さんも面白がっているように見える。
目が合った。彼女は楽しそうに微笑んだ。
英語ができる先輩が、当事者たちに少し話を聞いたそうだ。
喧嘩の理由は、喧嘩したかったから。
思わぬ理由に、笑ってしまった。
これが、私のタイ最初の夜。
楽しくて未知で、恐ろしく賑やかなカオサンの夜を過ごし、様々な国籍の旅行者が集まるホステルで眠りにつく。
便利、清潔、安全とは言い難い。
だけどなぜか、ベッドに潜った私の心は不思議な期待感というか、何かの予感でいっぱいだった。
これからどうなるのかな、私のタイ視察。
おやすみなさい、旅人の集まる町通。
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