2023 旅日記 カンボジア編 2 後編
こんにちは。
このお話は、カンボジア滞在2日目の続編です。前編はこちらをどうぞ。
ずぶ濡れの服のままランチを食べたら、しばらくバスに揺られて、次は農場見学に行く。
実はすっかり書くのを忘れていたのだが、今回のカンボジアでは、観光の可能性について考察するのが目的なのである。
私たちは、お試しゲストとして、施設見学やホームステイを体験しに来たのだ。
次に着いた先は、見渡す限りのカシューナッツ農場。
農場の小屋以外、ほかはほとんど何も無い。
1本、最近舗装されたであろうこの道だけが真っ直ぐ伸びている。
雨上がりで天気もいい。
油断したらまた雨が降ってきそうだけど、今は青い空が見えているから大丈夫だろう。
この農場には、昔先生が植えたカシューナッツの木もあるみたい。
デンさんの案内を受けながら、水たまりだらけでぐちょっとした道を歩く。土が赤い。
犬たちも喜びながらあとをついてきた。
犬のうちの一匹は、アカドゥーと呼ばれていたが、他の犬の名前はわからなかった。
この農場ではニワトリを育てており、鶏肉を売るのではなく、その子供を売って農家の事業支援を行っているのだそうだ。
もちろん、カシューナッツも販売している。
農場を一通り見学し、次はいよいよ今回のホームステイ先、クイ族の村に向かう。
民族の村にホームステイって、人生でもなかなかできることじゃないよね。
どんな村なのかドキドキする。
移動するバスの中で、軽く滞在先の説明があった。
当初は、ゼミ生みんなで雑魚寝と聞いていたけれど、ありがたいことに男女のホームステイ先は別だったみたい。一安心。
今回の寝床は、高床式の家。
草で編んだカーペットに、毛布一枚、枕一個が用意されていた。
丁寧に蚊帳まで付いている。
荷物を置くと、子供たちの元へ案内します、と言われたので家を出た。
隣の家のおじいちゃんが、とっても嬉しそうにすごく話しかけてくれるけど、何を仰っているのか分からない。
クメール語はチョムリアップソーとオークンチュランしか知らないの。
でも、歓迎してくれてるのかな。
案内してもらったのは、クイの村の塾。
小学生くらいの子供たちが沢山集まっていた。
ゆりかです、と自己紹介する。
子供たちは、先生に教えられながら声を合わせて挨拶し、名前を呼んでくれた。
かなり嬉しい。なんだか少し照れる。
自己紹介が終わると、授業が始まった。
どうやらクメール語版アルファベットの練習らしい。
読み書きの基礎を習っている。
クメール語の文字はとても複雑。
文字の読み書きが出来て、言葉が話せることは当たり前なことではない。
こういう場所に来ると、私達はつい発展途上だなんて目で見てしまいがち。
だけれど、ここには教育の場があり、先生と生徒がいて、ちゃんと言葉を学んでいる。
その点、この子達は私達と何も変わらない。
授業が終わり夕食をいただくことに。
料理はどれも初めて見るものばかり。
まず魚...骨が結構多いけどいける。
美味しい。ご飯は雑穀米のような、ちょっと鮮やかなもの。
茹でたナスにほうれん草みたいな葉っぱ。
胡麻と魚の入ったペーストのようなものをつけて食べる。
汁物も美味しくいただく。
未知の味にかなり苦戦していた子もいたけれど、私の口には合うものだった。
おなかいっぱいになるまで食べることができて満足。
飛び回る虫もあんまり気にならない。
ハエ程度は止まっても無視。
だけど、たまに白いダニのようなものが腕を這う。
それだけはちょっとやで、すぐ叩き落とした。
帰りは、荷台に載せてってもらいホームステイ先まで送ってもらった。
さすが、クイの村の夜は真っ暗。
道がわかる気がしない。
星が見れたら最高に綺麗だっただろうに、あいにくの曇り空というか、雷空だった。
海外にいると、まるで長い夢を見ているかのような気持ちになる。
今目の前に広がる光景が、現実だと思えない。
私は本当にここにいるんだろうか。
ふとした瞬間にそんな哲学っぽくてロマンチストな自分らしい考えが頭をよぎる。
人生は、誰かの長い夢だったりして。
荷台に揺られてホームステイ先に戻ると、おばあちゃんが蚊帳を広げてくれていた。
言葉は分からないけれど、好意や優しさが伝わってきて嬉しい気持ちになる。
基本的な生活環境に対して不満は無いが、シャワーだけがどうしても入る気になれない雰囲気だったので、ボディーシートで体を拭き、ペットボトルの水で顔を洗った。
明日も移動が多い日になるだろうから、しっかり休もう。
念の為、回復体位を取って寝ることにした。
みんなの女子トークがだんだん遠くなっていく。
意識がこの村の静かな夜に溶け込んで行くような、穏やかで優しい眠りだった。
また明日、おやすみなさいクイの村。
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