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羽ばたき。

 寒波到来ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。私はゲレンデが呼んでいる気がしてついついスキーコーナーに足を運んでしまっています。

 最近、大学教員の公募情報もすっかり減ってしまいました。もうそろそろ年度が変わっていくタイミングなので、次年度の採用予定が一通り済んで、その次の年での採用が増えてきているような気がします。私の次年度の運命はどうなるか未だ定かではないですが、とにかく今の仕事を一旦整理をして次のステップに進もうと考えています。辞職の意向をトップに伝えようとタイミングを見計らっているのですが、なかなか忙しくてその機会を見出せずです。

 そんな悶々としている中、ルーティンの朝の散歩で鳩たちが羽ばたいて行くのを目撃しました。その羽ばたきを見て思わず笑ってしまった自分がいて、そんな自分が急に愛おしくなって今度は泣いてしまったので、一瞬やっぱり精神的にやばいのかなと思ったりもしてしまいました。しかし、そんなありふれた日常でも笑顔で眺めることができる自分を取り戻しつつあることについつい嬉しくなってしまいます。

 大学応募の方は相変わらずですが、たまたま前任校のメールアドレスが生きていたので久々に開いてみると私が去った後に色々な変化があったことを知りました。まずは学部を再編するという話ですが、これは私が在任中から議論されていた話題だったのですが、ようやく意見が集約され新しい学部の名称が決まったとありました。どんな名称になったのかなと垣間見てみるとなんとも言えないやや古めかしい名称に落ち着いたようなので、正直落胆と安堵の気持ちでいっぱいになってしまいました。この二、三日の間でも続々と大学の募集停止や再編、あるいは全入時代や公立化といった大きな変化の渦の中にある大学業界において、とある地方の弱小大学が尖ったことをやらずにしてどうやって生き残れるかと思いますが、その名称に落ち着いた背景を私はあまり共感したいとは思いませんでした。もちろんこれまでお世話になった前任校なのでとやかく言うつもりはありませんが、このメールの内容を見て「結局それなのね。」と思ってしまいました。

 もう1つあったメールの中で、教員の賞与を成果連動性にするとありました。これも正直「今更ですか。」と思ってしまいました。実は私は在任中にずっと教職員の相互評価による成果連動の導入をずっと提言していたのです。私がこの制度を導入することの意味は教職員の適度な緊張感の中で互いが成長する機会を創出し、それが学生の成長につながると考えており、相互評価を大学の発展に活かすポジティブなツールとして捉えていました。ところが、今回導入される成果連動性はかなり意味合いが違うと私は推測しています。簡単に言えば賞与を削減するためにあがりもしない成果と連動させることによって、その削減幅に正当性を持たせようとしているのではないかと想像しました。実際、私が在任中にも賞与の削減の話が何度も教授会で取り上げられましたが、教員の抵抗もあってもそれは一律微減で終わっていたので、私自身はそれほどダメージを受けることはありませんでした。ところが、直近の財務状況や入学者数の推移を考えると大幅な人件費削減に踏み切らなければならないということは明白であり、いよいよ人件費に手をつけなければならないところまで悪化しているのだろうと思います。前任校にはなんとかこの打開策で難局を乗り切ってほしいと思いますが、昨今の企業の危機管理能力の低さとつい重ね合わせて見てしまう自分がいるので、正直蚊帳の外に掘り出されてよかったのかなという安堵感を今更ながら感じてしまいました。

 前任校の先生方の中には、本当にお世話になった先生もいるのでその人たちを何とか応援したいという気持ちと何もできない自分の無力さに対する悔しさの気持ちがある一方、「だからお前たちは・・・。」というその良心を凌駕する悪魔のような囁きが心の中で響き渡る気持ちが沸々と湧いてくるので、頭が痛くなって思わず頭痛薬を飲んでしまうぐらいでした。

 ただ、前任校の記憶もそろそろ喪失させて次のステップを進もうと思います。私の野望と妄想は着実に結実しつつあるので、おそらくそう遠くない将来にみなさんにお披露目できる日がくるでしょう。大空に羽ばたくその日を夢見てそろそろ寝ようかと思います。

 これから大学教員になる人には、どんなに羽をもがれても不死鳥のように何度も羽ばたけるひとになってほしいと思います。そして、その羽ばたきで自分と自分が大切にしたい人を笑顔に変えていくことを願ってやみません。

(最近、ブルーロックにはまりすぎてエゴがむき出しになっている元准教授でした。才能の原石を磨きたい〜。)

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