今日の倉庫ライフ
我が家には頻繁に出入りする倉庫がある。
その倉庫があるのは私が暮らしている納屋の建物の一角だ。
90年以上前に建てられた木造の納屋なのでお世辞にも綺麗とは言えないが、ここで過ごす時間はなぜか有意義だ。
倉庫で過ごす一日
この倉庫には我が家の歴史が詰まっている。
建てられた頃は、この8帖程度の場所で牛が飼育されていた。
田舎の納屋として建てられたので、その後は農業機械の置き場所になるなど活躍した。
倉庫で作る金柑の甘露煮
今日はここで金柑の甘露煮を作っている。
今年2回目の金柑甘露煮づくりだ。
庭にある木から金柑の実を収穫してへたを取り、果実に切り込みを入れるなどの下ごしらえをしてカセットコンロで煮込むから一日仕事だ。
金柑の量は1Kgと少し多いが、うまくできればご近所にもお裾分けをする。
いつも料理をする分けでない。
せっかく成っている実を無駄にしたくないだけのことだ。
鳥に食べられなければもう一度くらい収穫できそうだ。
朝食のあとにコーヒーと一緒にデザートとして楽しむことにしている。
このようなことも家のキッチンではなく倉庫でやることに楽しさを感じている。
ガレージライフと同じで、自分の世界感を作り出すことができるからなのだろう。
料理であれDIYであれここで作業をしていると、何かとアイデアが湧いてくる。
次はこの作業台にキャスターを付けて移動しやすくするのはどうだろうとか、金柑も違う加工ができないだろうかといった風にだ。
想像し考えるのは楽しい。
友人の来る土間倉庫
鍋で金柑を炊いていると、ガラガラっと引き違いのサッシを開けて自営業をしている友人が入って来た。
このような場所があると人も来やすいようだ。
私も友人の家に行って家の中に入ることはほとんどない。
ひょっとしたら無意識に家の中へ入らなくてもいい友人を選んで訪問しているのかも知れない。
今日来た友人も用があって来た訳ではない。
この近くへ来たついでに時間があったから寄っただけだ。
私のように定年退職した者にとってこのような訪問者は大歓迎だ。
友人は倉庫に置いている事務室にあるような古い椅子に腰かけて近況を話し出した。
私は手動のミルでコーヒー豆を挽きながら「それで?」と相槌を打つ。
最近はこのような他愛もない会話が宝物のように感じている。
友人は我が家に来ても妻と顔を合わすこともなく靴を履いたままこの倉庫で自由に話をして、まるで喫茶店にでも来たようにコーヒーを飲んで帰っていく。
そんな気安さからか度々寄ってくれる。
しかしそんな友人がまた来てくれることを私は心待ちしているのだ。
倉庫で楽しむDIY
倉庫では時間が流れるのもゆったりとしている。
もちろんDIYの趣味には持ってこいの場所だ。
ここで壁付けの小さな棚を作ったり、部屋の中で使うテーブルを作ったりすることもある。
最近の優れた道具は持っていないが、それなりに木工道具は揃っている。
ないものは道具であってもできる限り作ることにしている。
木工用のテーブルソーも親戚の大工さんから頂いた丸鋸を利用した手作りだ。
車中泊で使うベッド台や、車のリアに置く収納などを作ることもある。
おそらくこのような使い方をしていなければ、この倉庫はいらない物を溜め込むためだけの物置になっていたはずだ。
定年退職するまでは時間もなく手つかずの場所だった。
古い農業機械だけではなく、何が入っているかも分からないダンボール箱が何個も積んであった。
ここは片付けるのに最も苦労した場所だ。
しかし思い切って片付けたお蔭で、今は心も落ち着く居場所のひとつになった。
春になればエアコンなどないこの倉庫でも過ごしやすくなる。
次は、今度友人が来たらもう少しゆっくりくつろげるようなベンチでも作ろうと考えている。
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