自分のスタイルを自覚するために!
人はそれぞれ生まれ持った「乗り」を持っているのだろうが、自分の持っている乗りを自覚することはない。
しかもその乗りが自分のスタイルとして理想的なものであることは珍しいだろう。
理想的でないとしたら訓練などで身に付ける他ない。
今日はそんな自分のスタイルについて音楽を参考にして考えてみた。
意識して自分のグルーブを作る!
自分のグルーブ感、つまり私にしかないノリはどう作られていったのか考えた。
本当はドラムのリズム感についての話をしたいのだが、それでは読んでくれる人も限られそうだと思い話を広げることにした。
話者のスタイル
時代は段々と速いテンポを求めてきた。
漫才も我々の年代には追いつけないほど早口で演じられることが多い。
音楽も同じだ。
私がやっているドラムの場合は早めのテンポの方が簡単だ。
簡単という表現は適当でない気もするが「バラードをやるには10年早い」というフレーズがあるように遅いテンポを熟す方が難しい。
そのテンポよりも大切にしたいのがノリだ。
最初から最後まで同じテンポで演奏することをテンポキープというが、それは話術としても応用できるものだ。
政治家の話を聞いていても話の上手な人はテンポ維持ができている。
逆の場合は途中で話が止まってしまうなど聞きづらい。
漫才師がネタを同じテンポで披露できるようトレーニングするのと同じように、政治家も話しをする仕事ならトレーニングをするべきだろう。
しかしテンポキープは楽器の演奏スキルの中でも基礎と言われる部類だ。
その上にあるのがいわゆる「ノリ」だ。
その意味においては音楽も会話も同じことだ。
同じテンポでも、メリハリもなくただ機械的な話は聞いていても眠くなる。
仕事をしていたころ、研修の一環で多くの人の公演を聴いた経験がある。
その中でも印象に残っているのは話術にノリを持ったスタイルの持ち主だ。
中日、阪神、楽天の3球団で監督を勤めた星野仙一監督がその一人だ。
星野監督の話術スタイルは人を引き付けるノリの良さだった。
音楽のグルーブスタイル
グルーブとは音楽でいう乗りだ。
8ビートなら1小節を同じ音で均等に8つに区切るだけではなく、強弱や微妙なずれを意識することで作られる演奏スタイルだ。
このグルーブ(乗り)はトレーニングによって作られていくものだと思っていた。
ある意味個性と言えるものだが理屈だけで備わるものではない。
演奏家にとっては命と言えるものだ。
どれだけ間違いなく楽譜に忠実に楽器が弾けたとしても、グルーブがなければ人には伝わらない。
毎日トレーニングを重ね少しずつ身に着く個性的な感覚がグルーブだ。
生演奏を聴きに行って自然に体が揺れるのは、演奏者のグルーブが伝わった証しだ。
音は空気振動を伴うエネルギーだ。
音を聴くということは演奏者、または話者のエネルギーを受け取るということでもある。
同じアルトサックス奏者のデヴィッドサンボーンや渡辺貞夫、キャンディ・ダルファーの音楽を比べれば、聴き終わった後の疲労感に違いがあることが分かる。
これはグルーブというエネルギーの違いだ。
自分のスタイルが芽生える時
それが例えクラシック音楽であったとしても演奏者のグルーブは個性的だ。
例えば辻井伸行とフジコ・ヘミングのラ・カンパネラが違うようにだ。
勿論そのような大御所と同じようには行かないが、演奏者である以上人を引き付けるグルーブを身に着けたいのは私も同じだ。
そのようなグルーブ感はトレーニングだけで作られるものではなく、人前で演奏することで確立されていくということが段々と分かってきた。
心地いい緊張感や高揚感がグルーブにいい影響を与え、通常よりも強調されたエネルギーで表現されるからだ。
強調とは大きな音という意味ではなく繊細さが増すということだ。
そのような状況を積み重ねることによって自分のスタイルが確立されていくのだろう。
一度確立されたスタイルは誰にも真似できない個性だ。
そしてそのスタイルにも理想がある。
その理想のスタイルを毎日追って練習しているという訳だ。
そのスタイルを意識できるようになったのも進歩だ。
思うように演奏できないころはグルーブなど感じることもなく、ただ他の人に迷惑を掛けないように演奏するのがやっとだった。
最近やっとグルーブを感じながら演奏できるようになったと自覚できた。
楽器の練習を始めてから時間はかかったが、やっと音楽で表現する楽しさが分かるようになってきたのだ。
自分のスタイルを自覚する
私は営業で人生を送ったにしては話ベタだ。
乗りがいいほうでもない。
数人集まっても話を先導する方ではなく聞き役に回る方だ。
自分の意見を端的に伝える訳でもなく優柔不断に返事をするタイプだ。
敵を作りたくないという意識が強く、柔軟に対応するスタイルだ。
そんなスタイルが理想という訳ではない。
できれば明確に意見を伝え相手を説得できるのが理想のスタイルだ。
しかしそのような人間的スタイルをこれから確立するには年齢的にも遅すぎる。
先月プロの奏者とセッションをしたとき、「フレキシブルな演奏」と言って頂いた。
色んな意味に受け取れるが素直に誉めて頂いたんだと受けとめた。
音楽も人間的にもフレキシブルなスタイルを貫こうと思った次第だ。
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