久しぶりに見た韓国映画！
昨日シュリという韓国映画のDVDを久しぶりに見た。
昔買ったものだ。
今日はこの映画について主観的に語りたい。
もう四半世紀も前の映画だが、まだ見ていない人へのネタバレは避けられないのでそのつもりで読んで頂けると幸いだ。
韓国映画【シュリ】
日本で韓国映画の火付け役になったシュリという映画がある。
韓国ドラマの冬ソナによって第一韓流ブームが始まるよりも数年前に公開された映画だ。
私が最初に見た韓国のスパイアクション映画だ。
大胆なストーリーだった。
その後にJSA（映画）や愛の不時着（ドラマ）など北朝鮮を題材にしたコンテンツも作られたが、私が見た中では初めて北朝鮮を取り上げた作品だった。
ストーリーとキャスト
韓国に潜入した北朝鮮の女性工作員と韓国諜報部員の悲恋を描いたストーリーだ。
実際に大韓航空機が爆破されたテロ事件で拘束された金賢姫元工作員を彷彿とさせるほどリアリティがあった。
映画のオープニングでは銃の狙撃訓練など、北朝鮮の工作員の命を掛けた過酷な訓練の様子などが映し出された。
緊張感絶頂の中から始まるストーリーだ。
主演はハン・ソッキュという男優だ。
特別イケメンという訳でもなく、そうかといってカリスマ性を感じるような人ではない。
どこにでもいそうなおじさんだ。
シュリを見るまでに八月のクリスマスや接続というハン・ソッキュ主演の映画を見ていたから余計にそう思ったのかも知れない。
普段どこにでもいそうな男性で平凡な日常を演じるのがうまく、特別な存在ではなく自分にも置き換えやすい人物像が親しみ深い印象の人物だ。
北朝鮮の工作員というヒロイン役はキム・ユンジンというアメリカと韓国で活躍している女優だ。
あくまで私の主観だがハン・ソッキュと同じように特別美人という訳でもなくどこにでもいそうな女性だ。
いや、そういう女性を演じ切っているところが魅力的だ。
見どころ
オープニングで映し出されるのは北朝鮮の工作員の訓練だ。
いきなり目を背けたくなるようなシーンを見ることになるが迫真力は見事だ。
そのような真に迫るアクションから急に平和なラブストーリーに変わる。
韓国と北朝鮮の現実を見ているような錯覚に捕らわれるほどだ。
スパイ映画としても面白い。
007のようなヒーロー的スパイアクションとはまるで違う現実味があるストーリーだ。
主人公が特殊な能力を持ち合わせている訳でも特殊な武器を持って闘う訳でもない。
一番のアクションでも、戦争映画でよく見るヘリからロープを使って滑り降りる程度のシーンだ。
任務を受けた北朝鮮の工作員が、韓国の諜報部員に近付きスパイ活動をする。
スパイ映画ではアルアルの設定だが見どころは二人の感情だ。
この映画の見どころはヒロインの目から読み取れる感情だ。
見ている内にヒロインのイ・ミョンヒョンの目や表情が、誰でも恋に落ちるのではと思えるほど可愛く感じてくる。
韓国諜報部員と北朝鮮の工作員というとんでもない特殊な組み合わせと、どこにでもあり得る平凡な恋の見事なまでの別世界を同じ役柄で演じ切っているのが見ごたえがある。
ラストシーン
終盤にハン・ソッキュ演じるユ・ジュンウォンと北朝鮮のテロ犯イ・ミョンヒョン（キム・ユンジン）が銃を構えて向かい合うシーンがある。
バックに哀愁たっぷりの曲が流れ、イ・ミョンヒョンがユ・ジュンウォンに撃たれるシーンだ。
この時のイ・ミョンヒョンの目が頭に焼き付くほど印象的だ。
このシーンで、それまで北朝鮮のテロ犯だった工作員の目から、ユ・ジュンウォンを愛した目に変わっていく演技が素晴らしい。
その後、家の留守電に残されたイ・ミョンヒョンの涙声を聞くシーンで「ポゴシッポ」（会いたい）と言う台詞も心に刺さる。
済州新羅ホテルの海岸で流れるラストシーンのWhen I Dreamという曲がそれまでのシーンとは対照的な効果をもたらす。
北朝鮮の工作員が好きだったというその曲は柔らかくて温かい。
When I Dream（あなたを夢見て）はスコットランド人のキャロル・キッドというジャズシンガーが1992年に出した曲だ。
私もこの映画を見るまでは知らなかった曲だ。
スパイアクションだと思ってみていると、最後はラブストーリーで終わる韓国特有の映画だ。
最初に見たピョンジ（手紙）という韓国映画も主人公が死んでから泣かせて頂いたが、シュリも同じだ。
少し前にVIVANT（ヴィヴァン）というテレビドラマが流行ったが、シュリが25年前ではなく今公開されたとしても古さを感じない映画になっているはずだ。
パラサイトがカンヌ国際映画祭やアカデミー賞を受賞したが、韓国映画が世界的な力を付けたのはシュリからなのだろう。
国内だけでは興行収入が見込めないと映画やドラマ、KPOPなどの韓国文化を世界に売り出したのがその頃だ。
因みにシュリとは朝鮮半島に住む固有種の魚で、北朝鮮と韓国の国境付近を流れるイムジン河にも生息しているようだ。
まだ見たことがない人や韓国ドラマが諄いと感じて敬遠している人は、一度YouTubeで「シュリ」と検索してみてほしい。