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とても短いお話

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超短編小説。気が向いたら書きます。
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#ネムキリスペクト

長い間、睡眠という深い沼に落ちる直前、瞼の裏に必ず、一つの扉が映っていました。
濃い藍色の扉は、細かな飾り付けが沢山施され、まるで美術品のような美しさでした。次第に私は、「触れたい」「開きたい」「向こうを見たい」と思うようになりました。その気持ちは日に日に強くなり、毎日の生活よりも、その扉の事ばかりを考えるようになっていきました。

しかし、扉が現れるのは、いつも、眠る直前。
そのまま意識を失って

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