マガジンのカバー画像

嘘にまみれる毎日

490
毎日一つ嘘をつきます。誰も傷つけない嘘を。
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

【嘘】茄子ロケット

【嘘】茄子ロケット

茄子を詰めたロケット。
それを太陽へと打ち上げる。
これでよし。

大晦日は遅くまで起きている人が多い。
そのため、どうしても多少は夢の提供が混み合ってしまう。
対策として、幾分かの夢を似通ったものにする事で、ある程度の負荷を低減させている。
幸い、おめでたい夢として共通の認識が広まっているので、それに則っておけば不満や不信は出にくい。

ロケットに詰めた茄子は、初日の出の共に夢に現れるだろう。

もっとみる
【嘘】大きさ林檎と小さな喜び

【嘘】大きさ林檎と小さな喜び

家を出ると、また、玄関の目の前で巨大な林檎が回っていた。
今日のは、おおよそ2m前後の大きさだ。
芯を軸に横方向に高速回転し、ブウウンと低い音を上げている。
回っているのは良いことだ。

急いで家の中へ戻り、キッチンから果物ナイフを手に取り、林檎へと向かう。
高速で回転していることを利用すれば、皮を剥けるはずだ。

背伸びをして、果物ナイフをそっと林檎の上の方へ添える。
キュルキュルと細長く赤色の

もっとみる
【嘘】この時期の仕事

【嘘】この時期の仕事

今年のサンタクロースは、ソリの上から袋いっぱいに入れたビー玉を夜空へと撒く事で、まとめて子供の希望を配るそうだ。
望みの多様化に対しての対策らしいが、個人的にはとても嬉しい。
夜空にきらめくビー玉は、今から楽しみだ。

でもそうなると、去年夜空に撒いた色鉛筆を片付けておかないと。

天袋にしまった折り畳み式のソリの出番かな。

【嘘】朝の新聞紙

【嘘】朝の新聞紙

朝、起きたらゴミ出しに行く。
これはいつもの日常。
だいたいいつも寝ぼけ眼で、うつらうつらしながらゴミ捨て場まで、パンパンの袋を両手にふらふら歩いていく。

今日は資源ゴミの日。
プラゴミの袋を入れ、ふと足元を見る。
新聞紙の塊が四つ積まれて置かれている。

新聞なんてここ何年も読んでないな。
ちらっと見てみる。

なんだこの新聞。
一面に「もももももももももももももももも」と「も」という字で埋め

もっとみる
【嘘】朝ご飯の準備

【嘘】朝ご飯の準備

朝から食パンが空を飛んでいる。
今日は特に多い。くるくるくるくると、空を覆う勢いだ。

窓を開けて、布団叩きを長く長く伸ばしたら、ベランダから身を乗り出して食パンを落とす。

ぱんぱんぱん!

三つ取れた。
お、大麦粉入りか。いいね。

【嘘】雨の中の炭酸

【嘘】雨の中の炭酸

帰り道。
突然雨が降ってきた。傘なんて持ってきていない。
仕方がないのでしばらく雨宿り。やむまで待つことにする。

待つこと数十分。

雨は一向にやむ気配はない。
街灯やら車のライトやらが水たまりに反射して、夜の街はギラギラと光っている。
もう諦めて、濡れながら帰ることにする。
走ればなんとかなる距離だ。

雨はどんどん強くなる。
気付けばもう、これ以上濡れようがないほどびしょ濡れだ。
こうなった

もっとみる
【嘘】っぽかったから

【嘘】っぽかったから

飲み方の席「幼い頃、勘違いしていたこと」という話題で「土星の輪っかは、誰かが輪投げで投げた物だと思っていた」と話しをした。
友達からは「可愛い子供だったんだな」とケタケタ笑われたけど、帰り道、空からは「正解!」と声が聞こえた。

やった、当たった。

【嘘】握手

【嘘】握手

砂場。
山を作ったら、強く固めてからトンネルを掘る。
向こう側へ抜けたら、両方から手を入れる。
右手と左手を繋ぐ。
ぎゅっと繋ぐ。

そのまま手を上げる。
えいやぁ。
そうやって内側から山を崩す。

山はわさっと崩壊し、砂にまみれた自分の手が現れる。
両手で繋いでいたと思っていたのだけど、右手も左手も掴んでいたのは砂の塊だった。

その日から砂場が親友になった。