#4「フィーリン・グー」
これまでに大手から個人まで、60本以上の結婚相談所インタビュー記事を書いてきた。
仲人さんたちが共通して話すのは、「コスパ・タイパで結婚相談所を選ぶ人が増えてきている」ということ。特に女性は、「短期間で効率よく、自分に合った相手を見つけたい」と入会する人が主流だそう。
さらに印象的だったのは、条件からフィーリングに移行していく人が"続く結婚"に至っているという事実。
システムが充実している分、相手はいくらでもいる。すると「選ぶ」意識が強くなり、同時に相手から「選ばれている」ことを忘れてしまう。自分が選んだ相手から選ばれず、どうどう巡りを続ける。
そこで退会する人もいるけれど、最後に相手を見つける人は自然と「フィーリング」に目が向いていくらしい。
フィーリングって、なんぞや?
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数年前に90代で亡くなった母方の祖母は、家を出ていった祖父のことを愛し続けていたそうだ。祖父はすでに、別の女性と新たな家庭を築いていたにもかかわらず。
祖父が亡くなった知らせを受けるまで、「あの人は帰ってくる」と信じていたのだという。再婚話も全て断り、老人ホームに入るまで家も引っ越さず。
祖母の話をするとき、母は決まって「自分の父親やけど、あんな男、どこがいいんやって思う」とためいきをつく。
暴力に暴言、女遊びをした挙句、4人の子どもを追いて家を飛び出し、もうひとつの家庭を築いた祖父。男性としても、父親としても魅力的とはいえない。
祖母はもちろん、祖父が新たな家庭を築いていたことを知っていたそう。それでも帰ってくると信じて待ち続けるなんて、私にはできない。
条件・損得・善悪の枠をぶっ飛ばす、愛情の存在を思い知らされる。
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かくいう自分はどうか。
独身時代。自分のことは棚に上げ、結婚するならこんな人がいいなぁと細かく書き出した黒歴史がある。恥
まぁ、結婚となりゃ一大事やから、できる限り"理想に近い"相手がいいと思っていたのだ。
しかーし、不思議なもんで「出会いたい!」と思っているうちは出会えない。無意識のうちに、相手を採点していたのだろう。ほんま、だれさまやと思う。
夫とはなぜか、条件とかとっぱらい、ひとりの人間として話していた。ああ楽だ。楽しいな。話がつきない。
ジェットコースターというより、観覧車。考えていることがなんとなく分かるから、不安にはならない。あまりに穏やかすぎて、危うく、恋愛感情に気付かないところだった。
結婚10年目。
エンターテイメント感にはほど遠い、なんとも地味な愛情がここにある。
▼5月13日の午前7時ごろまで読めます!こちらもぜひ♪
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