「タナキクマル」解体に思うこと
広島の強さの象徴にもなっている「タナキクマル」という打順の並びですが、8月に入り菊池が8番に降格、田中が7番に降格するなど、2016年の「タナキクマル」確立後、故障等の理由以外では初めて本格的に手が加えられました。
確かに、今季は田中が1番打者としては十分な出塁率を確保しながらも、打率は.260前後とレギュラー定着後最低水準ですし、菊池も自己最低レベルの打率の推移となっています。
昨年、一昨年は通年で安定した成績を残していたため、特にいじる必要はありませんでしたが、上位打線でこの数字なら打順を落とすのも納得です。
現在田中の代わりに1番に入っている野間、西川等上位を打てるだけの選手が他にいますから当然と言えば当然でしょう。
この辺りも野手陣の層の厚さがなせる起用と言えます。
ただ、一つ言わせてもらうならば、少しこの形に固執する時間が長かったように思います。
自らが作り出した成果物であり、このチームの根幹であるとの思いが強かったのであろうと推測されますが。
確かにセンターラインを高いレベルで守れ、足もあり、一つ間違えば長打もある「タナキクマル」が、このチームの根幹であることには疑いようがありません。
ただ、そこに固執しすぎて打線が線とならなければそれはただのオナニーでしょう。
緒方監督は野手に対しては極力我慢するが、投手に対しては全く我慢できないように感じます。
もう少しこの辺のバランスが良くなればなあと個人的には感じますが。
このレベルの選手をずっと同じところに固定しておくのは、何も考えなくて良いので楽ではありますが、一方でいつも同じ景色なわけですから、マンネリ化も同時に進んでしまいます。
ですから、不調な時期などは打順を下げてやる、もしくはベンチに下げるなどして刺激を与えてやるのも良いのかなと感じます。
今までとは違う景色を見せることで、新たな気づきがあるかもしれませんし、打順を下げることにより上位打線にいた時は自分を律して出来なかった思い切った打撃ができるかもしれません。
それが本来の自分を取り戻させてくれるきっかけとなることもあり得るのです。
実際、菊池は一度8番に落ちた後、状態は底から脱しましたしね。
ここから感じることとしては、同じことをしていても結局マンネリ化して上手くいかなくなるし、常にアップデートしていかなければ連続して勝つことも成長することもない、ということです。
どれだけ勝ちが続いていようと、上手くいっていようと、アップデートを忘れた者に真の栄光は訪れません。