倉本はなぜ広島戦に強いのか?
プロとしてあるまじき守備、打撃も得点圏打率が高いくらいで他の能力に特筆すべきところもない。
コイツほんとにプロなのか?
と疑いたくなるようなプレーと数字をたたき出し続ける倉本という男。
ただ、この男は広島戦には異常な強さを見せています。
上記表①(赤塗りつぶし部が対広島)を見ると分かる通り、イメージだけでなく、数字として出しても毎年広島戦では相性の良さを見せています。
では、ここからが本題。
なぜ倉本が毎年広島戦に相性の良さを見せるのか。
広島投手陣は、右投手だらけかつスライダー系(スライダー+カットボール)のボールをメインピッチにする投手が多く、落ちる系のボールを武器にする投手は少ないです。
そのため、入ってくるボールに絞りやすく、打ちやすいという面があると考えられます。
以下にて検証していきたいと思います。
まず広島投手陣の主要メンバーの昨年度のスライダー、カットボールの投球割合ですが、上記表②を見ると明確にメインピッチがスライダー系と言えないのは、中田・一岡くらいでしょう。(今村もストレート、フォークで8割を超えるため、表②にて割合こそ高く出ているが、スライダーがメインピッチにしているとは言えないか。)
そして2015年以降の広島投手陣で1軍で機能した左投手は、ジョンソン、戸田くらいですから右投手だらけと形容しても問題ないでしょう。
以上から、広島投手陣は右投手だらけ、かつスライダー系をメインピッチとする投手が多いと言えるのではないでしょうか。
そして、次に倉本が得意としている投手はどんな投手なのかを見ていきます。
今回は広島が右投手だらけということで、右投手に絞って抽出してみました。
こう見ると、やはり広島の投手と相性がいいですね。
この投手たちの特徴は、スライダー・ツーシームなど横変化メインで勝負するという点ではないでしょうか。
実際にストレート以外で最も投球割合の多い球種を見ると、松岡以外はスライダー、カットボール、ツーシームという横変化系のボール(とりわけスライダー、カットボール)となっています。
以上の点から、倉本は横変化を武器とする投手に強いと言えるのではないでしょうか。
ここで一つ疑問が沸いてきます。
倉本自身は横変化系のボールに強いのだろうか?
それを示したのが上記の表④となります。(このデータは右左両投手を含んだデータです。)
ここから分かることとしては、横変化系に強いというよりは、カットボール・ツーシーム等の140キロ付近の高速変化のボールに強いということでしょうか。(昨年のNPB平均球速は、カットボールで136キロ、シュートで141キロとなっています)
どちらの通算打率も倉本の通算打率.261を超えるものとなっています。
倉本のスイングが135~140キロ辺りのボールに最適化されたスイングということなのかもしれません。
そう考えると、スライダー系がメインピッチで、かつ140キロ近いスラッターを投げる投手の多い広島投手陣に強いというのも頷けますね。
シュート系に比べカットボールに対する打率が高く出てるのも、球速帯が遅くなり、より135〜140キロという球速帯に近付くからではないかという仮説も立ちます。
以上にて、検証してきましたが、最終的な結論としては、
①広島投手陣が右投手だらけで、かつスライダー系をメインピッチとしているため、左打者の倉本からしたら絞りやすい投手が多い。
②横変化系のボールの投球割合が多い投手を得意としている。
③球種別に見ると、カットボール、ツーシームなど140キロ付近の横変化系の高速変化のボールへの打率が高く出ており、その辺りのスピードに最適化されたスイングになっているのでは?(実際、広島投手陣は140キロ近いスラッターを武器にする投手が多い)
この3点から、広島投手陣には丁度合ってしまうのではないでしょうか。
データ参照:データで楽しむプロ野球 http://baseballdata.jp/
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