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野間峻祥の打撃向上について

2013年以降、長らく広島の中堅手として君臨してきた丸佳浩のFA移籍により、ファン・首脳陣含め昨年飛躍を遂げた野間峻祥に対する期待値はかなり大きいのではないでしょうか。

昨年は初の規定打席に到達し、打率.286・OPS.736と打撃面で大きな向上を見せ、今年は丸の抜けた中堅手候補一番手として、虎視眈々とその座をうかがっています。

本noteでは、そんな野間の打撃向上の要因について、データから見える部分とフォームから見える部分から分析していきたいと思います。

目次
1.打者としての特徴
2.昨年の進化の要因~成績編~
3.昨年の進化の要因~フォーム編~
4.まとめ

1.打者としての特徴

まず、野間の打者としての特徴について、表①-1と表①-2にてまとめてみました。

表①-1については、青いセルはリーグ平均よりも低い数値で、赤いセルはリーグ平均よりも高い数値となっています。

BB%とK%は共に低く、かつSwing%は平均以上のため、どちらかと言うと積極的にバットを出していくタイプであることが分かります。

そして、ISOの低さから長打力はイマイチであることが分かりますが、GB%の高さとGBout%の低さから、俊足を生かしたゴロを打つ打撃スタイルであることも分かります。

表①-2は、各球種に対するPitchValueをまとめたものですが、ツーシーム系にこそ強いものの、フォーシームやカットボールといったスピードのあるボールはマイナスの数値となっており、あまり得意とは言えないようです。

その一方で、スライダーやカーブといった、オフスピードのボールにはプラスの数値であることから、ブレーキングボールヒッターの特徴を持つと言えるでしょう。

2.昨年の進化の要因~成績編~

①ゴロ性の打球の質向上

過去4年の野間のゴロ性の打球の結果をまとめたものが表②になります。

2017年からその傾向は見られていましたが、ゴロ性の打球の結果が明らかに良化していることが分かります。

考えられる要因としては、Hard%の向上という点から、野手の間を抜けるような速くて強い打球を飛ばすことができるようになったことと、Pull%の上昇という点から、より強い打球を飛ばしやすい引っ張りの方向に打球を飛ばせているという二点でしょう。

上記のように、グラウンドボールヒッターである野間にとっては、ゴロ性の打球の成績が自身の打撃成績に大きく影響してきますから、ゴロ性の打球の質の向上は間違いなく打撃成績の向上に大きく寄与していることでしょう。

②コンタクト力の向上

野間の武器の一つとして、俊足という点が挙げられますが、これまではリーグ平均レベルのコンタクト力しかなく、今一つ打撃成績にその俊足という点を反映できていませんでした。

それが昨年は86.2%(リーグ平均は79.1%)まで向上させ、打席内で粘れるようになり、自分の来てほしいボールまで逃げられるようになった点や、フェアグラウンドに打球を入れる確率が高まったことで、よりその俊足を生かすことのできるようになったという点は、打撃成績の向上に多少なりとも繋がっているのではないでしょうか。

③引っ張りの打球の質向上

過去4年の野間の引っ張りの打球の結果をまとめたものが表③になります。

引っ張るとなると、それだけ強い打球も飛びやすいため、打撃成績は向上するものですが、2017年までの野間に至っては、引っ張りの打球が弱々しく、あまり好結果に結びついていませんでした。

それが昨年は一変して、引っ張り打率は.300をオーバーし、Hard%も大幅な向上を見せていることから、それだけ強い打球を飛ばすことができるようになったことが分かります。

基本的に良い打者は皆、引っ張りの打球で強い打球を打てているので、野間もようやくその基本的な部分が身に付きつつあるのでしょう。

3.昨年の進化の要因~フォーム編~

メカニクスには明るくないので自分の分かる範囲ですが、ルーキー時の2015年と2018年の比較からフォームの変化点について見ていきたいと思います。

①グリップの位置を低くした

ルーキー時には、最初から高い位置にグリップを置いて始動していますが、昨年は最初は低い位置にグリップを置いておき、足を上げながらグリップの位置も上げていく形へと変化しています。

グリップの位置を上下に動かしながら、トップの位置へとバットを持っていくというところで、最初からトップに近い位置で置いておくというよりは、上下の動きを付けながらの方が、野間の中でタイミングを取りやすかったり、すんなりトップに入っていける感覚があったのかもしれません。

②足の上げ方をすり足に

ルーキー時はしっかり足を上げて打ちに行ってますが、昨年はすり足気味に足の上げ幅を変えています。

これにより、目線のブレが抑えられ、実際にデータにも表れている通り、コンタクト力の向上に繋がったのではないでしょうか。

③スイング軌道の変化

2015年はスイング軌道が遠回りの所謂ドアスイングになっており、インサイドの捌きに非常に苦労していました。

それが、昨年はスイング軌道がインサイドアウトの軌道を描いており、対応力のあるスイングへと変貌を遂げています。

そのため、ルーキー時には捌けなかったインサイドのボールも捌けるようになってきました。

データで楽しむプロ野球さんより、コース別打率のデータを引っ張ってきたものですが、ルーキー時よりインコースの打撃成績は向上しており、客観的なデータからもインサイドを捌けるようになっていることが分かります。

4.まとめ

昨年はフォーム改造が実り、コンタクト力の向上や力強い打球を打てるようになったのが、打撃向上の大きな要因であることが分かりました。

しかし、昨年レベルの打力であっても、上位打線を任せるには少し心許ないので、更なるレベルアップを目指して長打力アップにも取り組んでもらいたいです。

その長打力アップのためには、リーグ平均を大幅に上回るGB%を少しでもフライやライナー性の打球に変えていく必要があります。

今すぐに変えようとすると、昨年培った打撃が崩れてしまう恐れがありますから、長いスパンで見て、徐々にフライやライナー性の打球を狙う方向性へシフトしていってもらいたいものです。

#野球 #プロ野球 #広島 #カープ #野間峻祥 #打撃

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