5番にコンタクトヒッターを置くメリットとは?
今季ここまで猛威を奮っているセの広島打線とパの西武打線。
様々なタイプの打者をバランスよく配置し、打力×機動力のランアンドガンによって得点力を最大化させている点が非常に似ています。
それ以外にも似ている点はあり、5番打者に長打力のある選手というよりは、コンタクトヒッター寄りの選手を配置するケースが見られることです。
5番打者というと走者を返す役割を求められることから、長打力のある選手が入るケースが多いように思います。
西武ではおかわり君、広島ではバティスタ等長打力のある選手が配置されても全くおかしくはありませんが、それとはタイプの違う選手が配置されるケースが多く見られます。
西武で言うと森が主に5番に入りますが、他にも外崎や栗山が入るケースもあります。
広島では松山やバティスタが主に入りますが、少し前までは野間や安部が入るケースも多くありました。
ではなぜこのような選手を配置するのか。
広島が5番に野間や安部を入れる理由については、迎コーチが下記リンクにて理由を述べています。
「(4番と6番の)間に足のある選手を挟みたい。一、二塁ではなく、一、三塁の形を作ることができれば得点機が増える。5番に野間が入ることで足を使った攻撃ができる」
安部もおそらく同じ理屈で5番に入っていたのでしょう。
とにかくランアンドガンによる攻撃をどこからでも続けたいとの意図があることが汲み取れます。
守備側からしたら何でもできる一三塁の形が一番嫌ですから、一定の水準を超えた打力さえあれば5番に俊足の選手を配置するのは割と理にかなっているように思います。
それに加えて長距離型の打者が入ることの多い4番打者の後に、中距離型もしくは短距離型といった違うタイプの選手を置くことで、敵チームの対応を難しくする効果もあるのではないかと思っています。
同タイプの打者を並べると必然的にバッテリーも似たような攻め方になりがちでしょうが、打者のタイプが変わることで攻め方も一筋縄では行かなくなるのではないでしょうか。
加えてストレートに強い打者の後に変化球に強い打者を置いたり、ローボールヒッターの後にハイボールヒッターを置くなど打席によるジグザグではなく、打者タイプによるジグザグになってくると、敵チームの継投も難しくする効果がありそうです。
さらに4番が右打者なら5番は左打者にするなど打席によってジグザグにする方が、投手としては的の位置が変わり投げにくさも生まれより打者に有利な状況が作り出せるのかもしれません。(ジグザグの考え方は4番と5番に限らず全体的に言えることですが)
全体での得点創出を大きくするには、このようなところまで気を配って打順を考える必要があるのかもしれません。
最後に総合的にまとめると、それなりに足を使え水準以上の打力を持つコンタクトヒッターを配置することで、常に一三塁のシチュエーションを意識でき、4番打者とのタイプの違いから敵チームの攻め方を難しくする、といったメリットがありそうです。