改めて菊池の守備の凄さについて語ってみる
もう語るまでもないのかもしれませんが、本noteでは菊池涼介の守備とは何が凄いのかについて語っていきます。
2013年のレギュラー定着後、二塁手のシーズン捕殺記録の更新や日米野球・WBCでの好プレイの連発、5年連続ゴールデングラブ賞の獲得など、守備面に関する菊池の活躍については目を見張るものがあります。
取れそうにもない打球に追い付き、正確な送球できっちりアウトを獲得していく様は実に痛快です。
では具体的に菊池の守備のどこが凄いのかといったところにフィーチャーして見ていこうと思います。
まずは数字の面から見ていきましょう。
上記表は2014年以来の菊池の守備関連の指標をまとめたものです。
大雑把に2015年以前と2016年以降で傾向が大幅に変わっていることが分かります。
2015年以前はとにかく圧倒的な守備範囲で、二塁ベース付近から一二塁間の打球まで追い付いて、それを持ち前の強肩と圧倒的なボディーバランスを生かしてアウトを稼ぐというスタイルでした。
しかし2015年に両膝を痛めながら試合に出続けたことが影響したのか、RngRを見ると2016年以降は守備範囲は縮小傾向にあることが分かります。
しかしUZR自体は2016年には自己最高を記録するなど、数字は落ちていません。
そこには併殺奪取能力の上昇と、失策数の半減が挙げられます。
①併殺奪取能力の高さ
元々二塁手としてはもったいないくらいの強肩を持っていましたが、それが併殺奪取に生かされるようになったのが2016年以降ということなのでしょう。
併殺完成力を指す指標であるDPRは、2016年以降両リーグで浅村と1位2位を独占しており、その併殺奪取能力はNPBでも有数のものです。
田中とのコンビが2016年には3年目ともなり、連携面の高まりも一因だと思われます。
あと下記リンクのDELTA社によるコラムにあるように、ポジショニングを二塁寄りに変えていることも影響がありそうです。
②失策数の半減
出始めの頃は、アクロバティックな守備を見せる一方で正面の簡単な打球の処理を誤ったりと、ドーナツ型の守備なんて揶揄されていましたが、今や失策を犯せば驚愕の声が上がるくらいの存在になりました。
守備の確実性を高め、失策を減らしたのは素晴らしいことですが、これは守備範囲の縮小も少なからず影響しているように思います。
要するに守備範囲が狭まったことにより、そもそもの自身の関与する打球が減少したことで、失策も減少したのではという考え方です。
上記のような要素もありますが、守備の確実性の部分が向上したことは間違いないでしょう。
以前もリンクを貼りましたが、DELTA社のコラムにて菊池の守備範囲指標の数値の低下の原因について語られていますので、併せてご一読ください。
圧倒的守備範囲から併殺奪取力と確実性を高めるといった切り替えができる点から見ても、菊池は野球に関しては非常にクレバーな選手であることが分かります。
次に実際の守備動画から分かることについて見ていきます。
昨年のファインプレー集が上記リンクの動画となります。
様々なプレーがまとめられていますが、個人的に一番強みであると感じるのが圧倒的なボディーバランスです。
打球を捕球するまでも無駄なく素晴らしいのですが、捕ってからその体勢でよくその精度の送球ができるなと思わせるプレーが多いように思います。
そのようなプレーができるのは、練習の賜物であるとともに、持って生まれたボディーバランスの部分が大きいのではないでしょうか。
また無理にノーバウンドで投げようとせず、確実にアウトが取れそうな送球を選択できるのも強みです。
上記にても述べましたが、動きがアクロバティックなだけでなく、瞬時の的確な判断力も菊池の大きな武器と言えましょう。
様々なことを述べてきましたが、まとめますと、
①守備範囲がウリだったのが、近年は確実性と併殺奪取能力がウリとなっている。
②上記のようなウリをもたらすのは、強肩とボディーバランスと的確な判断力である。
といったところでしょうか。