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苦しい台所事情にどう立ち向かうべきか
開幕前、広島投手陣の前評判は決して高いものではありませんでしたが、ここまでリーグトップのチーム防御率3.44と前評判を覆す働きを見せ、大型連敗がありながらも優勝戦線に踏みとどまるチームを支えています。
そんな投手陣の中でも、特に不安視されていたリリーフ陣には中村恭平・レグナルト・菊池保則ら新戦力の台頭があったことで、充実の布陣を敷くことが出来ていました。
しかし、6月にはクローザーを務めていた中崎翔太が不調により二軍再調整となり、7月に入ると中村恭平・一岡竜司がそれぞれ故障とコンディション不良により離脱し、レグナルトも疲労や外国人枠の影響から二軍降格とメンバーに大きな変化がありました。
そして、先日セットアッパーやクローザーを務めていたフランスアまで二軍降格となるなど、接戦を勝ち切る体制が整わず、リリーフ陣は危機的状況にあると言っても過言ではないでしょう。
ここから更に激しくなる優勝争いに向けて、危機的状況にあるリリーフ陣をどのように運用すべきなのかについて、以下にて論じていきます。
※成績は8/13終了時点でのもの
1.現状整理
まず、8/13時点での一軍リリーフ陣について整理していきます。
一軍登録中のリリーフ陣の各々の役割をまとめたものが表①となります。
Aチームは勝ちパターンを担う投手を示し、B⁺チームはリード時の登板もあれば小差ビハインド時にも登板するような投手、Bチームはビハインド時もしくは大量リード時に登板する投手を示しています。
Aチームについては、一軍復帰後無失点投球を続け、かつフランスアの不振と豊富な経験を買われて、クローザーに復帰することになった中崎が再び戻ってきました。
また、16試合連続無失点を記録し、先週の阪神戦から勝ちパターンに組み込まれた菊池保則や、一軍復帰後はピンチの場面で登板し、相手打線の勢いを食い止める「ストッパー」的役割を果たしている中村恭平もAチームと考えても良いでしょう。
その下のB⁺チームについては、一時セットアッパーを務めながらも、直近では打ち込まれる機会の増えた今村猛、二軍降格前はセットアッパーとしてフランスアへと繋ぐ役割を担っていたレグナルトも、まだ状態は上がり切っていませんが、この立ち位置で調整していくことになりそうです。
加えて、ホールドシチュエーションの7回に登板することもあれば、ロングリリーフ的に起用されることもある遠藤淳志も、B⁺チームという立ち位置に入ってくると考えられます。
最後にBチームについては、接戦だと力を発揮できないものの、150㎞オーバーの速球で打者をねじ込む島内颯太郎と、過去数年先発ローテーションを務めてきた岡田明丈の両名が当てはまるのではないでしょうか。
一時離脱していた中崎・中村恭・レグナルトが一軍に帰ってきたため、名前を見ると枚数が揃ってきたようにも見えますが、実際はそれぞれの役割がまだ固まりきらず、中崎はクローザーを務め上げるには球威不足が否めず、レグナルトもまだまだボールが暴れており、要調整の段階であることから、非常に苦しいことには変わりないように感じます。
また、既存の菊池保・今村・遠藤あたりも、登板数が嵩んでおり、疲労の色が隠せなくなってきているという点が、さらにこの状況を深刻にしています。
2.どのように運用すべきか
現状を整理したところで、どのように運用して苦しい台所事情に立ち向かっていくべきなのでしょうか?
①一軍二軍を含めたリリーフローテーションの確立
新戦力の台頭で層の厚くなったリリーフ陣ですが、全体的に疲労の色が濃くなっているのが現状でしょう。
そんな中、リリーフ陣全体の働きを最大化するためには、一軍での起用のローテーションのみならず、層が厚くなったことを生かし、二軍も活用したローテーションを行う必要があるのではないでしょうか。
二軍を活用したローテーションついては、意図してではないでしょうが、7月に中村恭・一岡・レグナルトが二軍に降格し、8月にはフランスアが降格するなど、主要リリーフ陣を順番に一度二軍に落としてリフレッシュを図るような運用となっています。
これを意図的に行い、誰かしらが二軍で休養しながら、本当の勝負となってくる9月に備えるのが良いように思います。
もちろん、二軍のみならず一軍登録中のリリーフ陣にも、ローテーション制を敷くことで、疲労の分散を図る効果が期待できます。
勝ちパターンで投入できる投手は多いため、大雑把に役割は決めつつも、あまり役割に縛られ過ぎず、層の厚さを生かした柔軟な起用をすべきでしょう。
②クローザーは中崎
クローザー・中崎で開幕した今季でしたが、不調によりフランスアが代役を務めることになったものの、セーブ失敗を繰り返し、チーム総セーブ数が僅か14と12球団の中でも圧倒的に少なく、クローザーという面で今季は苦労しています。
そんな中、中崎が再びクローザーに就任することになりましたが、不安要素こそあるものの私はこれで良いと考えます。
クローザーという存在は、自分が何失点しても最終的にチームを勝たせれば良いという、点差にもよりますがある程度の失点を許容された、リリーフの中でも独特の存在です。
ただそれと引き換えに、チームの勝敗を背負うという重い十字架を背負わなくてはなりません。
ですから、他のリリーフのポジションとは違い、圧倒的な実力というよりも、メンタル面が非常に重要となってくるわけです。
という面から考えると、他に経験者がおらず、経験豊富な中崎にこの役を任せるのが現状だとベストなように感じます。
その他では、奪三振能力が高くフライボーラーと味方守備への依存度が低いレグナルトや、中村恭も当然候補となってくるでしょうが、レグナルトはまだ状態が上がっておらず、中村恭は打者を圧倒するボールを生かしたストッパー起用を行いたいことからも、やはり中崎しかいないでしょう。
ただ投じるボール自体は非常に心許ないのは事実ですし、アベレージで145㎞を計測し、スライダーももう少しスピードが出れば、安心してクローザーを任せられるのですが‥
③「ストッパー」中村恭の継続
現在一軍登録中のリリーフ陣の中で、最も信頼のおける存在を挙げるとすると、間違いなく中村恭の名前が最も多く挙がるのではないでしょうか。
一軍復帰後は、ピンチの場面で登板し相手打線を鎮める「ストッパー」の役割を果たしているとは前述の通りですが、今後もあえてセットアッパーやクローザーのような固定的な役割を与えず、柔軟な起用が出来る現状の立ち位置に置いておくべきだと考えます。
セットアッパーやクローザーを務められそうな投手は他にもいますが、ストッパーという立ち位置は誰にでもできるものではありません。
150㎞を超えるストレートと抜群のキレ味を誇るスラッターで、狙ったかのように三振を奪取することも出来れば、縦変化の強いスラッターでゴロを打たせることも出来るため、ピンチの場面に非常に適した投球が出来ます。
加えて、相手打線の勢いを食い止めることにより、よりチームの士気を上げるような効果が期待出来るため、精神的にもチームのプラスをもたらします。
シーズン終盤で一点の重みがより増していく中、重要性の高い場面に一番良い投手をあえて起用するような柔軟性も今後は必要でしょう。