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松山流出への備え

松山竜平は今季自身初の規定打席に到達し、打率.302で12本塁打74打点OPS.834と主軸打者として及第点の数字を残しました。

鈴木誠也故障後に代わりに4番に入り、9月月間MVPを獲得した昨年ほどのインパクトはありませんでしたが、安定感のある活躍でチームの3連覇に貢献しました。

ただその松山も、NPB屈指の実力者丸の陰に隠れがちながら、今季国内FA権を取得し、その去就は気になるところです。

今季の推定年俸は6500万円で、推定順で見るとギリギリBランク(元所属球団への補償が必要)にあたるため、実情がどうかは分かりませんが、仮にFA宣言をしても年齢的なネックもあり、引く手数多とはいかなそうです。

しかし松山が本当にFA宣言をして、他球団へ移籍してしまうことになると、広島としては中々痛いでしょう。

なぜかと言うと、一塁と左翼にここ数年で入ることの多かった、松山・新井・エルドレッドが1年で一気にチームから去ってしまうことになりかねないからです。

新井・エルドレッドは年齢的にある程度予測がつきますし、対策もきっちりできるでしょうが、松山まで抜けられると計算できる存在がいなくなり、広島としては苦しいでしょう。

今季は野間が左翼に定着したとは言え、来季以降も完全に信頼できるとは言い難いですし、一塁もメインポジションとするのはバティスタ・メヒアの右打ちの両外国人のみとなり、チーム編成的に野手は一人で行きたいでしょうから、バランスもあまり良いものにはなりません。

ただ、このような状況をある程度見越してか分かりませんが、広島としては今季からこの問題に対して対策を行っていたように思います。

①バティスタの一塁起用

元々2軍では一塁を守っていましたが、昨年の一軍デビュー後は外野での起用が続いていました。

それが今季からは1軍でも一塁で起用され始めましたが、これは長打が期待できるが、年齢的にもあまり先のない新井・エルドレッドの代わりを意図してのものではないかと考えます。

また元々一塁を守っていたこともあってか、一塁守備も外野の時よりは無難にこなせていたように見えます。

新井が引退し、エルドレッドも退団となれば、今季中盤以降のような松山との併用になるでしょうし、松山も退団となれば、一塁にメイン起用されることになるでしょう。

②安部、西川の一塁起用

安部に関しては2016年から既に一塁での起用が行われており、昨年から本格的にスタメンでの起用もされ始めました。

足がある左打者で打線を固めたい場合に、一塁でのスタメンで起用されているように思います。

安部の一塁起用のメリットとしては、不足している一塁を守れる左打者を増やせる点と守備面でも貢献できるという点でしょう。

打撃面の貢献度で言うと松山に劣るでしょうが、守備面では不慣れな部分も見え隠れしますが、レンジ等は優秀であり、昨季の打力が戻れば、総合的に見れば松山の穴も埋められるような存在ではないでしょうか。

西川に関しては、以前から練習で取り組んでいたようですが、今季の優勝決定後に一塁でされる場面が数試合ありました。

西川の場合は、単純に三塁守備(特にスローイング)に不安を抱えているためという所も大きいでしょうが、安部との併用が可能になることも要因として挙げられるように思います。

併用が可能になることで、左打者を並べたい場合においても、松山抜きでそれが可能になりますし、安部一塁・西川三塁よりも安部三塁・西川一塁の方が、西川にとってスローイングの要素が減ることで守備面を見てもプラスに働くように思います。

もう一点、この問題に向けて取り組んだ対策ではないでしょうが、野間の左翼定着もこの問題においては非常に大きな影響を及ぼしているように思います。

野間の左翼定着がなければ、一塁のみならず左翼も対策を行わなければならず、松山が抜けた場合に打撃面で相対的に大きなマイナスが生まれていたでしょう。

ただ野間の打力の向上により、打撃面では多少のマイナスはあるものの、守備走塁での貢献である程度の埋め合わせはできる体制が整ったように思います。

昨年までは、一塁と左翼は、新井・エルドレッド・松山を疲労度や相手投手との相性を考えたローテーション的起用を行い、打力の水準を維持するという方策を取っていました。

それが今季は新井・エルドレッドの出場機会減により、左翼に野間が入り、一塁は松山・バティスタで出場機会を分け合う体制へと変化しました。

松山が抜けた場合は、一塁に安部や西川が入り、その穴を埋めていくのでしょう。

このような起用法の変化が見られていることから、新井・エルドレッド・松山が抜けた場合に備えた対策が意図的が偶発的かは分かりませんが、行われていたのです。

以上より、たとえ松山が流出したとしても、丸をきっちり引き止めることができれば、それなりに埋め合わせができる体制は整っていると言えるように思います。

しかし毎年OPS.800越えを計算でき、左投手も苦にしない松山は打線の中でも貴重な存在ですので、来年も広島のユニフォームを着てプレーしてほしいものです。

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