バティスタとメヒアの今後
バティスタとメヒアの両名は、カープアカデミーを経て2016年に育成契約を結んだ後に2017年に支配下登録されるなど、全く同じような足跡をここまで歩いてきています。
バティスタは昨季二軍で48試合で21本塁打を放つなど、その圧倒的なパワーで早々に一軍定着を果たし、今季は一軍の舞台で25本塁打を放つなどチームの主力選手へと成長を遂げました。
一方のメヒアは昨季は二軍で首位打者、今季は三冠王と二軍では格の違いを見せつけていますが、一軍では出場機会も限られており、まだその力を発揮できていない状態です。
同じような足跡を歩いているようで、実際のところは少し差がついてしまっているのが現状ですが、両者は今後はどのようにチームにフィットしていくべきなのかについて考察してみます。
バティスタ
表①は昨季と今季の主要な成績をまとめたものですが、ここの数字を眺めていても分かるようにバティスタの魅力は何と言ってもその長打力です。
放った安打の半分近くが本塁打ですし、ISO(長打率-打率で純粋な長打力を示す)は山川や筒香と同レベルの.304を記録し、HR/FB(放ったフライ性質の打球の内ホームランになった打球の割合)は山川やバレンティンを上回る25.8%を記録するなど一流スラッガーの資質があることは明らかです。
もう少し打者としての性質を掘り下げてみると、待球型というよりは自分から積極的に仕掛けていくタイプで、圧倒的な長打力で相手からは警戒されそうな割には四球が取れないタイプです。
長打力の高さから分かるように、リーグでも有数のフライボールヒッター(FB%は59.8%)でかつプルヒッター(Pull%は46.7%)なため、前捌きの傾向が強く、どうしても三振が多くなり、コンタクト率も平均よりは低い数値になってしまっています。
また、このホームラン集を見ても分かるように、ストレートと落ちる系のボールを拾うことに長けており、PitchValueを見てもwFAは10.6でwCHは4.8でwSFは0.4とそれは数字で見ても明らかです。
コース的に見ても真ん中から外に対してのボールには滅法強く、またボールゾーンくらいの高めから、低めの変化球を拾う打撃を披露しており、上下の揺さぶりには非常に強い選手です。
そのため、スピードボールと落ちる系のボールを武器にする試合の終盤に出てくるような投手に対しても、その長打力を発揮してくれる貴重な存在です。
ただし、その分横の揺さぶりには強くないので、スライダー投手への対応は一つ課題でしょう。
打撃以外の部分だと、外野守備は昨季もかなり危なっかしい守備がありましたが正直プロレベルとは言い難いものがあります。(今季はUZRだけ見ると-4.4→0.9へと改善が見られるため、多少マシになったのかもしれません)
ただ、今季から一軍でも見られるようになった一塁守備は、守備範囲やボール捌きといった面を見ても非常に安定しており、新井の引退や松山の一塁守備よりも相対的に上手いことから、今後は一塁手としての起用がほとんどになってくるのではないでしょうか。
バティスタについて一言でまとめると、典型的なスラッガータイプの長距離打者で、上下の揺さぶりに強いのが特徴、かつ無難にこなす一塁守備も悪くないといったところでしょうか。
メヒア
メヒアは表②の数字を見ても分かるように、二軍では既に圧倒的な成績を残しており、上述の通り今季は三冠王に輝いています。
ただ、一軍には同ポジションにバティスタを含め多くの選手がしのぎを削っていることに加え、外国人枠の問題で、中々出番が巡ってこないというのが現状です。
そこには、メヒアの打者としての性質の問題があるのではないかと考えています。
一言で言うと、バティスタとは違ってメヒアはグラウンドボールヒッター寄りの中距離打者タイプであるということです。
おそらく純粋なパワーという面はバティスタと遜色ないはずですが、打球に角度を付けるのがあまり上手くないのかなという印象です。
今季一軍で放った3本塁打の中の内、1本目と3本目は角度のあまり付いていない、所謂弾丸ライナーの本塁打です。
二軍の成績を見ると、併殺打の数の多さも気になるところで、おそらくグラウンドボールヒッターなため、強い打球のゴロが増えて、その分併殺打も増えているのではないかと想定されます。
打者のタイプとしては、右のグラウンドボールヒッターかつ中距離打者タイプのDeNAの宮崎が非常に近いように感じますが、現在の広島の打者のタイプの編成として、中距離打者タイプの打者が多いという面からあまり優先して起用されないのではと考えます。
また、今季は改善傾向にあるように見えますが、単純にトップに入るまでの時間がかかり過ぎていることから、スピードボールへの対応もバティスタと比べるとイマイチな点もマイナスです。
こう見ると、バティスタと比較してあまりいい面がないように見えますが、打撃面以外の部分で強みを持っています。
それは三塁守備をこなせるという点です。
二軍では、一塁守備と三塁守備を半々くらいで守っており、三塁手としても期待されていることが窺えます。
プレー自体を見たことがないので何とも言えませんが、守備率だけ見ると.957と悪くない数字を残しており、それほど三塁守備が破綻しているようにも見えません。
ただ、一軍では三塁が手薄にも関わらず、ずっと一塁手として起用されているのは気になるところです。
バティスタと比較しても一塁守備は上手いとはお世辞にも言えませんので、差別化を図るとしたら、三塁をこなせるというところで出していくしかないような気がするのですが、この辺りの方向性は少し謎ですね。
最後にメヒアについて簡単にまとめると、ボールに角度があまりつかないタイプのグラウンドボールヒッターの中距離打者で、三塁手をこなせるという点がウリの選手であるといったところでしょうか。
上述のように、打者の性質としては、圧倒的な長打力を持つバティスタは是非とも打線に組み込みたい存在ですから、どちらかと言うと中距離打者のメヒアよりは優先される存在でしょう。
ただメヒアの強みとして、チームのウィークポイントである三塁を守れるという点がありますので、三塁の守備レベルを上げつつも、打撃面でも速球への対応力も上げて、一軍クラスのボールにもう少し慣れていけば、バティスタにも勝るとも劣らない貴重な存在になれるはずです。
メヒアが完全に常時一軍に定着するには、三塁守備という壁を乗り越えなければならないため、もう少し時間がかかりそうですが、新井以来中々三塁手のレギュラーを掴みとる選手が出てきていないという現状を打破してもらい、既に力を発揮しつつあるバティスタと共にチームの屋台骨を担う存在への成長を期待しています。