後半戦の巻き返しに必要なこと
6/1時点で14もの貯金を作り、セリーグ内で独走態勢を築きつつあった広島ですが、交流戦に突入すると同時にその勢いに急ブレーキがかかり、5勝12敗1分の最下位に沈みました。
セリーグ内での対戦に戻った後も、月間20勝を挙げた5月の勢いは戻ることなく、交流戦明けから前半戦終了までの12試合において、11敗1分というまさかの結果に終わり、借金5の4位まで後退することとなりました。
三冠王すら射程圏であった鈴木誠也や、5月の快進撃を支えたバティスタの不振などの影響で得点力は大幅に低下し、前評判と打って変わって強みとなっていた投手陣も全体的に疲労の色が濃く、全くもって優位な展開に持ち込むことが出来ていません。
そんな中、後半戦に再び巻き返す体制を整えていくのはどのようにすべきなのか、以下にて検討していきます。
1.野手編
①打順の最適化
現状、打線が線として機能しておらず、11連敗中は12試合でわずか23得点(1試合平均1.9得点)という惨状です。
その原因としては、もちろん個々の選手がそれぞれ低調であることも挙げられますが、それとともに挙げられるのが打順が最適となっていないことではないでしょうか。
5月の快進撃の一つの要因としては、3番からバティスタ/鈴木/西川龍馬/會澤翼の並びが、相互に好循環を生んだことによる得点力向上があります。
好循環を具体的に述べると、前を俊足の打者が打ち、鈴木が後ろに控えるため、得意のストレートやゾーン内での勝負が増えたことが好成績へと繋がったバティスタに加えて、5番に入った左のコンタクトヒッター西川が、鈴木と勝負させざるを得ない状況を作り出し、最後に6番の會澤が掃除をするという形です。
その後、バティスタの打撃不振を受けて、交流戦中には解体されることとなりましたが、バティスタが二軍での調整を終え、一軍に合流する今こそ再びこの打順を組んで最適化を図る必要があるのではないでしょうか。
少なくとも今の得点力よりは、幾分かの向上が見込めます。
②野手運用の改善
広島の抱えるトッププロスペクトとして名前が挙がるのは、ルーキーながら既に一軍でのスタメン出場も果たした小園海斗の名前が第一でしょうが、もう1名坂倉将吾の名前も挙げられるでしょう。
トッププロスペクトであるため、当然首脳陣からの期待も大きく、OP戦では本職の捕手としてよりも、打撃を生かして左翼手として出場機会を多く得ていたことから、その期待値が窺えます。
今オフには、正捕手の會澤のFA移籍も噂される中、来季以降坂倉がその座を手中に収めるために、外野手として起用することで打席を多く与えつつ、適度に捕手としての経験も積ませながら、正捕手移行の下準備が行われるかと思いきや、シーズン開幕すると捕手としての起用は皆無で、代打要員としてベンチを温める試合が続いています。
磯村嘉孝の台頭もありましたが、次代の広島のコアとも成り得る坂倉がこのような扱いで良いのでしょうか。
また、田中広輔・菊池涼介で固定されている二遊間も、もっと流動性を持たせるべきではないでしょうか。
田中は成績不振でフルイニング出場記録が止まり、菊池は今オフのMLB移籍も視野に入れているなど、以前ほど絶対的に扱わなくてはならない存在ではないはずです。
二遊間候補の選手の乏しさという問題もありますが、三好匠や曽根海成らをもっと積極的に起用していくべきです。
今後を見据えて、坂倉や曽根、今季一軍の舞台に適応しつつある高橋大樹らを積極活用することが、将来にも繋がりますし、現在の主力メンバーへの刺激ともなるのではないでしょうか。
③ノビノビとプレーさせる
曽根や野間峻祥の打撃を見ていると感じるのが、小手先に走り過ぎているという点です。
過剰にセーフティーバントの構えをしてみたり、逆方向へのゴロを打ちに行っているような、とにかく転がして出塁を狙おうとする意識が透けて見えます。
目の前の結果を欲しがるのは分かりますが、それでは長期スパンでみた成功には成り得ません。
この両者は、確かに俊足も武器の一つですが、外野手の間を破って二塁打三塁打を量産できるくらいのポテンシャルは十分に秘めるだけに、見てて歯がゆくて仕方がありません。
この辺りは、首脳陣の選手を大きく育てようという意識と、失敗を許容するような度量が求められますし、今後世代交代が急速に進んで行くことが予想されるため、このような意識と度量が無ければまた暗黒へと真っ逆さまに落ちていく危険性すら感じます。
ですので、後半戦はとにかく各選手ノビノビプレーさせることを意識させてほしいです。
2.投手編
①クローザーの確立
中崎翔太の二軍落ち後、クローザーの座を受け継いだフランスアですが、既に4度のセーブ失敗を数えるなど、その適性は非常に疑わしいものとなっています。
クローザーが不安定だと、接戦を拾うことが出来なくなり、チームの戦いにも非常に大きな影響を及ぼします。
現状残っている駒を考えると、レグナルトくらいしか現実的な選択肢がないため、当面はレグナルトをクローザーに昇格させ、フランスアをセットアッパーに戻す対応を取るしかないでしょう。
今季ここまで数登板ながら、145㎞前後のストレートと縦スラで昨季以上のボールを投げ込みながら好投を続け、2年前にはクローザー経験のある今村猛という博打的な選択肢もありますが、それはおそらくもう少し時が経ってからの議論となるでしょう。
一岡竜司や中村恭平が一軍に戻ってくるまでは、リリーフ陣はとにかく我慢しなくてはなりません。
②先発陣の疲労の考慮
ここまで予想以上の健闘を見せている先発陣ですが、先発として複数年フルシーズンでの稼働経験を持つのは、大瀬良大地とジョンソンの2名のみです。
特にTJ手術明けで実質1年目のような床田寛樹や、アドゥワ誠ら若手投手には、夏の暑さも相まってここからは自分との戦いも始まっていきます。
ですので、優勝が遠のいたシーズンでかつ将来的なことを考えても、ここであまり無理をさせたくはないところです。
本来であれば、実績のある岡田明丈や薮田和樹が、夏場から一軍の戦力として働いてもらいたいところですが、そのような埋め合わせにはまるで期待できないのが現状です。
現実的な運用方法となると、二軍調整中の実績組の中でも、より早く戻ってこれそうな野村祐輔を一軍先発陣に加えることと、ここまで11試合のリリーフ登板で1.59という防御率をマークしている遠藤淳志を先発陣の中に組み込むことでしょうか。
この点に関しては、現状効果的な策はなく、後半戦巻き返しを図る上で不安要素となりかねないように感じます。
3.まとめ
・野手編
①打順の最適化
5月のバティスタ鈴木西川會澤の並びをもう一度形成させる
②野手運用の改善
トッププロスペクトである坂倉の起用や今後再編が必須な二遊間に三好や曽根の起用を進め、将来も見越した運用を
③ノビノビとプレーさせる
首脳陣は大きく育てる意識と失敗を許容できる度量を持って
・投手編
①クローザーの確立
現状はレグナルトを起用するくらいしか選択肢はないが、一岡や中村恭平復帰後にもう一度再編も
②先発陣の疲労の考慮
二軍に控える実績組が頼りなく、野村と遠藤を先発陣に加えるくらいしか策がないため、やり繰りが難しくネックとなりそう
以上が本noteのまとめとなります。
V9巨人以来となるリーグ4連覇は非常に厳しいものとなりましたが、来年も再来年もシーズンは続いていくため、「後半戦の巻き返し」との表題はつけましたが、後半戦は勝利のみを追求するのではなく、長期的なチーム作りという目線からも選手起用を行ってもらいたいところです。
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