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広島リリーフ陣の運用を考えてみる
4月中旬以降、驚異的な勢いで勝利を重ねて、ついには巨人をかわして首位へと躍り出た広島ですが、そのチーム状況を細かく見ると、課題もまだ散見されます。
とりわけリリーフ陣には、相変わらずの投手運用やクローザー・中崎翔太の状態など、課題が多くあるのではないでしょうか?
今のところまだボロは出ていませんが、今後疲労の色が顕著に見え始める夏場に近付くにつれ、その影響が表出してしまう恐れがあります。
どうやっても多少の影響は出るでしょうが、それを最小限に抑えつつ、かつ今季だけでなく来期以降の戦力維持にも目を向けた運用や編成を行うべきではないかと考えます。
といった点から、現状の広島リリーフ陣の運用や編成を振り返り、今後どのような方策を取るべきなのかについて考察していきたいと思います。
1.現状のリリーフ陣運用
1-1編成面
まず、現状のリリーフ陣編成について確認していきます。
Aチーム:一岡竜司、G・フランスア、中崎翔太
Bチーム:K・レグナルト、九里亜蓮、菊池保則、中村恭平、山口翔
二軍待機:矢崎拓也、藤井皓哉、今村猛、中田廉、島内颯太郎、J・ヘルウェグ、飯田哲也、永川勝浩
現在一軍登録投手13名中上記の8名がリリーフ投手として起用されています。
その中でも勝ちパターンで起用される投手をAチームとし、それ以外の投手をBチームとしたのが上記となります。
昨季からAチームの面々に変化はないものの、Bチームには未だ自責点は0点の快速左腕レグナルトや、今季躍進を遂げつつある中村恭平といった今までの広島にはいなかったようなパワー型左腕が並んでいます。
また、リリーフに入るとその力を存分に発揮する九里亜蓮や、楽天より移籍してきた何でも屋の菊池保則といった右腕も並ぶなど、陣容が大きく様変わりするとともに、Aチームとも遜色のない投手も増えました。
その余波を受けてか、昨年であれば一軍で登板を重ねていたであろう、今村猛や中田廉といった実績組で状態の上がっていない投手たちを、二軍でじっくり調整させることができるという好循環も生まれています。
上記から分かる通り、ここまでのリリーフ陣トータルの防御率は、昨年の3.87から一転してリーグトップの2.96を記録しており、その充実ぶりが窺えます。
そんな中でも問題点は存在しており、今季から一軍出場登録人数が29名に増えたにもかかわらず、一軍登録投手の人数は13名となっており、野手の方は捕手4人体制や一週間で一度も試合への出番がない選手も出てくるなど、投手と野手の登録人数のバランスが明らかにいびつな形となっています。
GWの12連戦中に、フランスアと中崎の4連投という禁じ手を打たざるを得ない状況に陥っていましたが、接戦続きという側面はありつつも、このようなバランスの不均衡もその原因の一つでしょうし、来週から再び6連戦が始まるタイミングで投手14名の布陣としたいところです。
1-2運用
では、実際に運用面はどうなっているのでしょうか?
ここでは、最も投手のやりくりが要求される終盤の7~9回までを例に取り、点差に応じてどのような投手を起用しているかを探ることで、運用面を明らかにしていきます。
リードor同点時の点差イニング別登板投手をまとめたものが表①となります。
基本的には、上記のAチームに入っている一岡・フランスア・中崎の3名が起用されていることがパッと見ても分かるでしょう。
数値にて表すと、全52ケース中46ケースはAチームの3名の中から登板を行っており、実に88%がこの3名の起用で占められています。
中でも4点差以上の記録的にはホールドやセーブの付かない場面でも多く起用されており、4点差以上の全22ケース中18ケースもこの3投手の起用となっています。
投手コーチが変わったところで、昨年までも多く散見された上記のような運用は解決されておらず、各人まだそれほど登板数は嵩んでいないものの、夏場以降に向けて疲労を極力抑えるような配慮は特段なされていないように見えます。
一方、ビハインドのシチュエーションを同様にして確認したのが表②です。
こちらには当然ではありますが、Aチームの面々の名前はほとんどなく、わずかにある登板も開幕当初の負けが込んでいた時期に、登板間隔を考慮しての調整登板や、シーズン初登板の試運転がてらに登板していたものなので、実質はほぼAチームの面々の登板はないと言っても良いでしょう。
浅い点差、もしくは早い回には、Bチームの中でも無失点投球を続け序列の高いレグナルトが登板し、よりチームに勝利のチャンスを残すような働きを果たしていますが、それ以外は特に決まりきった起用はなく、Bチームの中でも序列の低い投手にイニングを食わせるような起用となっています。
以上より、今の広島のリリーフ投手運用の特徴としては、リードor同点時とビハインド時で起用する投手を大別していることが分かります。
ですので、出番がある程度分かりやすいため、登板の準備はしやすいというメリットが存在しますが、一方で柔軟性がないため、偏った起用や酷使が生まれやすいといった問題点も抱えています。
このような運用方式を敷いている以上、ある程度柔軟性が欠けてしまうのは仕方ないかもしれませんが、今季のリリーフ陣の充実ぶりを見るに、力のある投手が然るべき場面で起用されないという、現状にそぐわない運用方式になってしまっているのではと感じます。
2.今後の運用について考える
上記より、私の考える今後のリリーフ陣の運用としては、AチームとBチームの2チームだけでなく、その中間としてB+というチームを設けることです。
この構想自体は全く真新しいことでもなく、至極当然のことですが、B+チームを設けることで運用は劇的に改善するのではと感じます。
具体的に説明すると、B+チームとは1点もしくは2点ビハインド時、もしくは4点から5点リード時に主に登板し、Aチームの投手に疲労が見られたり連投続きの場合は、そこの位置に入るようなイメージです。
現状の編成の中で、ここに入る投手として考えられるのが、レグナルトや九里亜蓮や中村恭平となるでしょう。
この三者は、いずれも奪三振能力が高く打者をねじ伏せるような投球が期待できるため、ビハインド時はチームに勢いをもたらすような投球が期待でき、リード時は勢いをせき止めるような投球が期待できます。
このような起用により柔軟性を与えることで、より現状の充実したリリーフ陣を活かすことが出来るでしょうし、疲労も分散され、夏場の勝負時に充実した状態で臨め、かつ使える駒数が増えるために長期的な優位性を確保できる可能性も高まります。
また、クローザー・中崎の状態も今後を考えていく上で一つ問題となるでしょう。
以前noteにて述べたように、球速の深刻な低下が見られ、クローザーを任せる投手としては非常に厳しいレベルまで落ち込んでいると指摘しましたが、火曜日の中日戦で見られたように、今後も綱渡り的な投球が続くことになるでしょうし、いつ決壊してもおかしくないでしょう。
となると、代替クローザーを考えておかなければなりませんが、個人的には一岡が最も適任ではないかと思っています。
フライボールピッチャーで、味方の守備の影響を受けにくい投手であり、今季こそスプリットがイマイチ(空振り率が2018年21.8%→2019年12.2%)で奪三振数は伸びていないものの、元来は奪三振能力も高く、制球力も及第点以上のものはあるため、投手としての実力値としては非常に適していると言えましょう。
中崎については、ここまでの数シーズンの疲労の影響が大きいように思いますので、二軍でリフレッシュさせて、先発に転向させるのも面白いかもしれません。
3.まとめ
現状の運用
①使える投手の枚数が増え、防御率の面からもその充実ぶりが窺える
②登録人数の少なさから、疲労を分散するような体制が整っているとは言い難い
③リードor同点時とビハインド時で使う投手が大別されるため、極端な起用や酷使が生じやすい
今後の運用
①投手の登録人数を1名増やす
②AチームとBチームの中間のチームを設けて、Aチームの疲労分散を図る
③代替クローザーとして一岡の起用も視野
以上が本noteのまとめとなります。
実際に私の考える運用が実施されるかはかなり怪しいですが、リリーフ投手は消耗品という側面が大きく、それ故に長期的に優位性を維持するのが難しいポジションとなるため、現状持つ優位性の維持のためには何かしらの運用改善は必須であるように感じます。
過去の歴史を振り返っても、多くのリリーフ投手を酷使により潰してきた広島ですが、いい加減どこかしらで手を打たなければならないのではないでしょうか。