3か月予報(9〜11月)
8月25日発表の3か月予報です。
10月は全国的に気温が高く、残暑が長引きそうです。
1.一般向け
残暑厳しい
向こう3か月の気温は沖縄・奄美で平年より高く
西〜北日本でほぼ平年並みの予想です。
ただ、10月は西〜北日本でも平年並みか高い予想です。
太平洋高気圧の東への後退が遅れるため
南からの暖かい空気が流れ込みやすいことが要因です。
まだまだ残暑が厳しい日が続くため
本格的な秋の訪れは遅く感じそうです。
天候は平年並み
向こう3か月の降水量は全国的にほぼ平年並みの予想です。
目立って大雨になりやすいということはなさそうです。
ただ、太平洋高気圧が例年より強いために
その周辺を回る湿った空気が
南西諸島や西日本太平洋側には入りやすく
降水量が多くなる可能性もあります。
さらに、10月までの台風シーズンは
フィリピン付近の対流活動が活発であるため
台風も発生しやすい環境が続きます。
影響を及ぼしうる台風がやってくることも十分に考えられるため
油断は出来ません
2.専門版
海洋
海面水温(3ヶ月)
SSTは太平洋中部〜東部で負偏差となっており
赤道域で特に顕著。
一方、太平洋西部付近は正偏差となっている。
最新のエルニーニョ監視速報では
秋にかけてはエルニーニョともラニーニャとも
ならない予測ではあるが
今期間はラニーニャ的なSST分布となる事がわかる。
上層
3か月平均では200hPa速度ポテンシャルはSST分布に対応して
赤道域太平洋西部で負偏差で対流活発
太平洋中部〜東部は正偏差で対流不活発となる予測。
また、対流活発域は
インド洋西部や東アジア付近にも広がり
アフリカ付近は不活発となっている。
200hPa速度ポテンシャル(3ヶ月)
これらが影響し、200hPa流線関数は
ユーラシア大陸中緯度帯は高気圧性循環偏差となり
波列が伝わり日本付近は弱いながらも低気圧性循環偏差で
やや偏西風は南偏傾向を示唆している。
200hPa流線関数(3ヶ月)
ただ、10月は日本付近にも高気圧性循環偏差が伸びており
偏西風の北偏を予測している。
200hPa流線関数(10月)
これは10月のフィリピン付近の対流活動が特に顕著なことや
太平洋東部の対流不活発域がより東に予測されていることが
関連している可能性がある。
中層
500hPa高度は3か月平均では中国東北区に負偏差の極大がみられ
その辺りを中心としてトラフが予測されている。
一方日付変更線付近には正偏差極大がみられ
日本付近は西南西流場となっている。
500hPa高度(3ヶ月)
下層
850hPa流線関数(3ヶ月)
フィリピン付近の対流活発により
赤道域太平洋西部は東風偏差が強く
その循環により850hPaの太平洋北部には明瞭な高気圧性循環偏差がみられる。
PJパターンの影響も加わっていると考えられる。
その高気圧性循環編の中心は20°Nと50°Nにあり
日本付近は相対的な低気圧性循環偏差となっている。
偏西風の蛇行と関連しているものと思われる。
月毎にみると
9月の沖縄の南で高気圧性循環偏差が明瞭
10月は日本の南東海上でそれが明瞭
11月は一転して日本付近は低気圧性循環偏差となっている。
850hPa流線関数(9月)
850hPa流線関数(10月、11月)
これにより南からの暖気の影響を受けやすいのは10月までといえそうだ。
これに対応して、海面気圧は
3か月平均では大陸と日本の東で正偏差
日本付近は北日本中心に負偏差となっており
北ほど気圧の谷の影響を受けやすい。
海面気圧(3ヶ月)
9月は沖縄の南で顕著な正偏差で
沖縄中心に暖気が入りやすく晴れやすいため高温傾向。
10月は西〜東日本に気圧の谷が予想されていて
秋雨前線の影響を受けるとみられる。
中上層の流れから高温傾向と読めるが
雨が多くなるために、やや高温傾向を割り引いていると考えられる。
11月はアリューシャン付近に明瞭な負偏差があり
アリューシャン低気圧が例年より強いことを示唆している。
前述の850hPaの低気圧性循環偏差がこれと関連している。
シベリア付近の高気圧も予測されており
冬型気圧配置になり、寒気を受ける時期があると思われる。
850hPa気温は華南〜西日本付近に負偏差がみられる。
冬型がもし長引けば低温側に寄ることも考えられる。
海面気圧(9月、10月、11月)
まとめ
9月は日本の南の亜熱帯高気圧が強く沖縄で高温。
10月は偏西風北編や
太平洋高気圧の東への後退の遅れに伴い高温傾向だが
秋雨前線の影響を受けるため、顕著な高温ではなさそう。
11月はアリューシャン低気圧が強く
寒気が流れ込む時期があるため低温側に寄る可能性もある。