コミックマーケットを語ってみると | コミケに集う人々
今年のコミケ開催から、四日間という今までよりも一日多い開催になるそうです。それによりコミケの一般参加も有料となるそうです。
そして昔からいつも運営やらサークルを悩ませていることがあります。それは「コミケ」に圧倒的に多いことですが「困った」人たちの存在です。
一言で言って迷惑な人たちなのですが、オリンピックのためにコミケの一般参加者も有料という話を調べると、「変な人がすくなくなる」からよいと言うような話が多くありました。
それほど一般参加者さえも迷惑していたということです。
もっともこの「変な人」たちは有料でもやってくると思いますが、「コミケ」ファンは概ね有料化を好意的にとられています。また、それくらい昔からずっと「変な人」に悩まされてもいました。
個人的にはこの有料化で一般参加者の数字がどう変化するかに興味があります。
この「変な人たち」が最初の頃には分からなかったのです。
同人に関係する人々があまりにも、コミケを美化するようなことばかりを話すので予備知識すらありませんでした。そしてこの「変な人」とも話しましたが、特にこれらの人たちは「コミケ」を神聖視しているようなところがありました。
それはまるで「コミケ」信仰のような感じでしたね。
具体的にみていくと、これは他の即売会では一度もなかったのですが、「コミケ」が開催される前になると突然、手紙が来て自分をコミケに連れて行ってほしいという依頼がけっこうな数で毎回やってきました。
文面から相手は我々がコミケ参加することが決まっていると思っており、そこにサークルメンバーとして参加させてほしいと言うのです。
正直、初めはなにを言っているのかまったく理解できず、サークルを間違えているのではないですかと返信したほどです。この時は同人誌の通販を行っていましたし、どこかのサークルと勘違いしているのか、それとも自分たちの同人誌を購入してくれた人かと調べたのですがもちろん違いました。
これが毎年、コミケ前になるとある程度の数が必ず来るのですからだいたい
分かってきました。
通販するために同人誌の紹介をしてくれる雑誌に見本を送って掲載していただくのですが、これらの雑誌だけではなく同人の話題を掲載する雑誌はだいたいがコミケ開催前になるとどのブースにどのサークルが参加しているのかという情報を掲載していました。
雑誌からも直接、コミケ参加されますかという問い合わせがありそれに答えた場合は掲載されるようになっています。我々は参加していませんからこれらには掲載されていません。おそらくですが、雑誌に掲載されている通販しているサークルへ片っ端からコミケ参加に連れて行ってくれと手紙を送っていたものと思われます。
それくらい同人は商業誌を含めて「コミケ」基準で動いているようなところがあって、「コミケ」に一般参加するのではなくサークル参加したいという人間の数はすごく多かったのです。
これらの人種はいわゆる「オタク」な人たちで、「変な人」でもあるわけです。この種の人たちは本当に、こういう突拍子もないというより常識のない行動を平気でやっていました。その非常識さにまったく自覚がないのも一つの特徴でしたね。
そういう人を幾人も知っています。
今はネットもあるのでこういう人たちがどういう行動をとっているかは詳しくは分かりませんが、こういう人がかなりの数がいたのです。
コミケ開催前になると、これらの依頼の手紙は必ず来ました。
同人サークルは誰もがコミケ参加するものと思っているかのようでした。コミケ参加の予定はなかったのに。
だいたいがあったこともなく、同人誌を購入してくれたとかの関係すらもないのに、サークル参加で連れて行くはずがないですよ。ただの「変な奴」を誰が信用するのかということです。
なによりもいちブースにサークルメンバー3名までという規定があって、それを上回る数のメンバーがいた場合は一般参加で後で入ってくるしかないのです。それをメンバーでも何でもない人間を連れて行くはずないだろうと「こいつバカなの」とメンバーと話していました。
もう一つ付け加えるならば、我々は被害にあわなかったのですが通販の場合、申し込んだのに同人誌が届かないという嘘の連絡があるそうです。
発送漏れがあったかも知れないと慌てて同人誌を送ってあげると何回も同じ人間から、別の同人誌でも届かないという連絡が来るそうです。おかしいと思って徹底的に調べると元々同人誌の申し込みをしておらずだまし取っていたことが分かるということが度々あるそうです。
我々のサークルは自分が発送ミスなどはないようにと、その点はしっかりと管理しておいてよかったと後で思いましたね。ただまだ作ってもいない次の作品を申し込んでくる人や、変な勧誘のような手紙はありましたが。
そしてもう一つ、たぶん同じような人種だと思うのですが、偽装サークル
の存在がありました。これは今なお、イベント運営側を悩ます大きな存在の一つなのですが、同人誌を全く作っていないのですがサークル登録して参加申し込みをしてくる偽装サークルが後を絶ちません。
「コミケ」参加は抽選ですので、これに通って参加する偽装サークルが
けっこういたのです。こういうサークルはもちろん持ち込める同人誌はありませんから、サークル参加で入場して姿を消します。
当然、その偽装サークルのブースには設営する人もおりませんから、後から
運営の人間がきてレッドカードのようなものを張っていきます。次から同じサークル名は受け付けないそうですが、同じ名前を使わないでしょうからいたちごっこです。
これはかなり悪質で、この偽装サークルのおかげで本当の同人サークルが
抽選でおとされ参加できないサークルも出てくるのです。そうまでしてなぜ「コミケ」に参加したいのかまったく理解できませんでした。
これらとは少し意味が違うのですが、委託サークルといって自分たちでは同人誌を作らずコミケ参加できない他のサークルの同人誌を受け付けて当日頒布するというサークルもけっこうありました。
これは信用問題にも関わってきますし、懇意にしているサークル同士はお互いの同人誌を委託し合って頒布するのはごく普通に行われていました。
コミケ参加できるけれど、コミケに新作が間に合わないとかのサークルは多くいましたから、そういうサークルはコミケ参加できない他のサークルの同人誌をもって参加するなどもありました。
さらにはすでに触れていますが、同人サークルでありながら自分たちでは作品制作せず同人作家に依頼して同人誌を完成させるという本末転倒なサークルはかなりの数に上りました。
こういう人たちは同人誌を制作したいのではなく、コミケ参加することだけが目的ですので「困った人たち」の仲間であると言っても良いと思います。
この人たちの存在で、普通の同人サークルがコミケ参加の抽選から漏れる
ということがあるからです。
ただ、これは何十年も経った最近に分かったことですが、人気同人誌を転売する目的でやってくる人間もいたらしくて、偽装サークルやサークル参加につれていってほしいと依頼してくる輩には転売屋のような存在もいたのでは
ないかと思われます。
サークル参加するこで一般参加者が入ってくる前に人気同人誌を購入することができますから。
サークル参加に連れて行ってくれと依頼してくる文面にも、ほしい同人誌の
購入などをお手伝いしますということが書かれていました。それから考えても、転売屋の存在はかなりの数があったものと思われます。
このようにサークル活動をしていると「コミケ」開催前にはコミケがらみ
の「変な人」たちが必ずわらわらと現れてきます。
「コミケ」が開催されるとさらにこの「変な人」の数が増してきます。
これも「コミケ」特有の現象で、他の同人イベントではきいたことがありません。
一番スタンダードな「変な人」は、自分は雑誌(ロリコン誌やアダルト雑誌)の編集者と名乗ってブースに現れる人たちです。中には名刺まで刷ってくる用意の良いものまでいたらしいです。
特に女性同人作家へ接近してくるものが多くて、ある意味のナンパでもあったらしいです。
ただ困ったことに「コミケ」では実際に雑誌の編集者がやってきて、同人作家の青田買いをやっていましたので偽物と本物の区別がつきにくいというの
がありました。偽装サークルまで作るような人が多いのですから、偽編集者になりすますくらいは何でもないのだと思います。
さらには人気作家の偽物が現れます。
これは「ライトノベル」などの作家仲間ではけっこう知られていて、自分の
偽物が「コミケ」に現れたと後書きに書いている人気作家の方もいました。
昔から有名漫画家などの偽物は現れていたらしいですし、それを笑いのネタにしている作家さんもいます。
世間でも時々偽物が現れることがあります。
以前、「元・ヴィレッジ・シンガーズの清水道夫」と名乗る偽物が現れました。「本物」と信じ込んだ地元商工会役員らの依頼により、長野県御代田町主催の「信州御代田龍神まつり」の前夜祭としておこなわれたカラオケ大会に、特別審査員枠で出演しています。
イベント中には「亜麻色の髪の乙女」の唄まで披露、その映像がニュース番組で度々報じられ、大きな話題となりました。
「佐村河内守」という聴覚障害者の作曲家として世間の注目を浴びて、後に作曲はゴーストライターがいて全て嘘であったとわかりつるし上げれた人がいましたよね。
ここまでコミケ会場では大事にはなっていませんが、我々が活動を始める前からこうした「なりすまし」や「虚言」を弄する輩は絶えずいたそうで、実際にいました。
もちろん我々も日常的に「嘘」をつきます。
ですがそれは勢いで話をもったり何かを断る時にはっきり言ってしまうと気まずいので用事があるからとかの便利な道具として「嘘」をつくわけです。
ですがこういう人たちは「嘘」ではなく、完全な「虚言」を話すので質その
ものが違います。これはかなり多くて、同人活動をやめてからも思わぬ所からこの「虚言」を吐いていた人物が現れたり、またはそれが発覚してトラブルになっていたりという話が飛び込んできて驚かされました。
長く尾を引くトラブルもかなりあり決して笑い事で済まされることではありません。この「虚言」に関しては後で分かり深刻なトラブルへと発展します。イベント会場ないでのトラブルとは質そのものが違います。
それもかなり数が多く、また深刻な問題でもある気がします。それほど根の深い話でした。
これが詐欺であるとかであるならばわりと早くこの「虚言」が分かるのですが、何かをだまし取ろうとかではないので分かりにくいという欠点があります。なかには「虚言」がバレて夜逃げのように姿を消した人物もいました。
ただ、今はどうなのかという気がします。
それは今のようにネット社会では絶えず「なりすまし」や「偽」の情報が駆け巡り信じられてしまっています。むしろ「偽情報」の方が圧倒的に多く、そんな中でこの「虚言者」たちはどういう行動をとるのかと興味もあります。
これに似たことは「コミケ」はじめ同人の世界では絶えずあり、それは
あくまでもインターネットのなかった時代です。
もしかすればこういう「噂」や「偽」情報は少しは少なくなっているかも
知れませんが、毎年「コミケ」が開催されるたびに同じ情報が出回っている
ところを見ると、ネットなどとは切り離された独自の社会のような気もします。
個人的には海外での「アニメ人気」も「コミケ」の情報や「オタク産業」
のあり得ない市場規模など、個人が流す虚言ではなく集団が流す虚偽情報
などがあまりに多すぎて個人と集団、どちらも影響しあっているように感じることがあります。
おそらくこういう「虚言」を吐く人間にとっては、「コミケ」という場所は
とても居心地の良い場所であり、かつまたイベントそのものがこういう人種と親和性がたかかったものと思われます。
それでないとこれらの「困った人たち」の数が多すぎるのです。
今思い出しても真実の情報であったことが一つもなかったくらいですから。
「コミケ」とはねつ造された共同幻想の上に成り立っている世界でもあったのです。
こういう「困った人」たちに共通するのは、本人たちには自覚がありませんが、一般参加者やサークル関係者、そして運営関係者からも全ての関係者から嫌われていたことです。
この独自の世界というのは、同人ファンというよりも、「コミケ」ファンというか、自分が活動していた時はある意味「コミケ」信仰のような心理構造が作られていました。
それというのも同人ファンの反応はいつも感情的な反応が返ってきたからです。例えば通販では良く、「コミケ」で探したけれどいなかったので通販で
手に入れようとしてくれた人が少なくありませんでした。
これは通販だけではなく、即売会などで知り合った人も含めて全ての人が
我々も「コミケ」に参加するつもりで申し込んでいたが抽選で落ちていたと
思っていたことです。
どのサークルも皆同じ考えで活動していると思い込んでいるというよりも
強い決めつけのようなものがあって、話が必ず食い違ってきます。
通販でも多くありましたので、「コミケ」参加は予定にありませんから「コミケ」で我々を探されてもおりません、コミケは重要とは思っていないので参加の意思もありませんと、こちらの事情も含めて詳しく説明し返事しました。
すると途端に、まるで「コミケ」そのものが攻撃されているかのような反発するような反応が返ってきたことがあり面食らったことがありました。
これが対面で話ですとここまで攻撃的ではないのですが、「コミケ」参加するつもりがないといっても、「本当は行きたいんでしょう」という感じの
反応が返ってきます。
同人作品を作っている限り、どこにいってもどんな活動をしていてもかならず「コミケ」が出てくるのです。
これには正直参ってしまいました。
どこまでいっても「コミケ」なのですから、コミケに呪われているような気がしたくらいです。
今もですが、「コミケ」は重要とは思っていません。
同人作家や同人サークルそれぞれに抱えている事情も違います。あくまでも作品制作が重要で、一つのイベントにこだわる必要はないと思います。
ですがこの「コミケ」に対する共同幻想はたいへん強固なものでした。
最後の最後になかば、記念というか周りの圧力もあって一度だけ冬コミ
に参加させてもらいました。
結局、「コミケ」参加しても何百回も聞かされた美化されたコミケの物語
は、やはり事実ではなく作られたものであることが確認できただけでした。