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チャンピオン
ちょうど1年前のことだ。
私たち夫婦は徳島県に二泊三日の旅に出かけた。
徳島県に行くのは久しぶり。
1日目は鳴門のリゾートホテルで
イタリアンのディナーやら
部屋のジャグジーやらを満喫し、
2日目は大塚国際美術館を堪能した。
その夜は徳島市の焼き鳥屋さんで
阿波尾鶏の料理も楽しんだ。
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さて3日目、
眉山に登ろうということになり、
まずは阿波おどり会館に行くことにした。
阿波おどり会館から眉山へのロープウェイが出ているのだ。
少し寂れた街中を歩き、阿波おどり会館へ到着。
ちょうど阿波おどりの公演があるというので
参加した。
阿波おどりの昔の歴史、
最初の阿波おどりから現代の阿波おどりまで、
わかりやすく説明してくれて、とても楽しい。
![](https://assets.st-note.com/img/1720250672415-WKbNyFIexU.jpg?width=1200)
さて、公演も進み、観客も一緒に阿波おどりを
体験してみることになった。
演者が丁寧に教えてくれる。
そのうち、皆で踊りましょう!
(同じアホなら踊らにゃソンソン)ということになり、希望者はステージにも上がることができるとのこと。その中で上手な人が表彰されるという。
実は私、このことを知っていた。
そして表彰されるかも!と思って家で密かに練習をしていたのだ。
もうやめて長いけれど、私は日本舞踊の名取なのだ。ここで目立たなくてどこで目立つのか!と
スタッフに誘われるままに
スルスルと踊りながらステージに上がって行った。
ステージ上には日本人や台湾の方、東南アジアの方もいらっしゃったか、いずれも踊り上手と思われる10数名が阿波おどりを舞いながらぐるぐる回っている。
優秀者1名には白いレイ、
最優秀者1名には赤いレイがかけられるとのことで、
踊っている私もドキドキしながら、
しかしながら集中力を切らさずに
手先と足の角度、姿勢等、
丁寧さを心がけて舞い踊っていた。
しばらくして白いレイが他の方にかけられたのが見えた。残るは赤いレイ。
正直、他人の踊りを見る余裕がなかったので
私以上に上手い人がいるかどうかはわからない。
もしやダメか、と思ったその時、
私の首に赤いレイがかけられた。
私はチャンピオンになったのだ!!
(午前も午後も何回も公演があるうちの1回だけど)
チャンピオン!チャンピオンだ!
なんて光栄な響きなのだろう。
てかチャンピオンって生まれて初めてだよ!
早速、白いレイの方と私に
インタビューが行われた。
白いレイの方は神奈川県からお越しのようだ。
私が広島から来たと話すと
「広島にも阿波おどりサークルありますよ!」と
司会の方に言われ、つい入りたくなった。
表彰状と缶バッジを記念にいただき、
最後に踊りながら自席まで退場した。
観客に完璧な私の踊りをご覧いただきたかったのだが、表彰状を持っているので
美しい手先ができなかったのが
非常に残念であった。
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それから帰宅後、
しばらく阿波おどりにハマって
YouTubeで阿波おどりばかり見ていた。
阿波おどりは一矢乱れぬ動きと
フォーメーションが素晴らしく美しい。
一度本場で連に参加してみたいけど、
女踊りは若い娘さんばかりで、
おばさんがいないようなのが気になっている。
いただいた表彰状は、夫が名前を記入してくれて
額装して飾った。
だってチャンピオンだもの。
表彰状を貰うのは何十年ぶりだろうか。
今度はちゃんと衣装も着て、
真剣に習って踊ってみたいなと思う。
熱い夏の記憶である。
(了)