見出し画像

我が家の庭の風景 part.130「カゲロウという名の」

 芸人さんに「極楽トンボ」というコンビがいる。極楽トンボはウスバカゲロウの別称だ。
 我が家の庭によくアリジゴクを見かける。父が作った小さな温室の地面が好きなようだ。獲物を捕まえるための落とし穴。雨に濡れない場所に作るのは本能に刻まれた行いなのだろうか。アリジゴクはウスバカゲロウの幼虫だ。カゲロウと名がついているがカゲロウ目の虫ではない。ただし幼虫は似ている。カゲロウは成虫になってからあまりに短い命を終える。ウスバカゲロウはもっとしっかりした見た目をしている。しかし、これはネット情報で私はウスバカゲロウの成虫を庭で見た覚えがない。

 ウスバカゲロウは夏から秋に活動する。そろそろ仕事終わりだ。夜に虫を捕らえて食べる。黒いトンボのような見た目に見えるが、トンボのようには飛ばないそうだ。
夜になって電灯のそばに立っていれば、ウスバカゲロウの成虫に出会えるだろうか。
しかし、田舎にはほとんど電灯がない。夜に入れる公園もない。夜にコンビニに行かずとも無料で公園のトイレを使えるのは都会の特権なのだ。

 話が逸れたが、アリジゴクがあるのだから庭に成虫もいるはずなのだ。夜になると飼い主のいない猫たちが窓を叩きに来る事がある。もしかしたら窓の灯りに集まっている虫に戯れているのかもしれない。窓を開けたら、猫も虫も招き入れてしまう。窓はぜったい開けられない。

 窓辺で虫を捕食するウスバカゲロウ。それに戯れる猫。肉食動物は薄闇の中で静かに生きている。

 今年の夏から猫の避妊去勢手術をしている。牝猫の避妊手術ばかりだが、牡猫に関われたらカゲロウと名付けたい。儚くない命でアリジゴクのように辛抱強く生きてほしい。

いいなと思ったら応援しよう!

猫様とごはん
よろしければサポートお願いします。いただいたものはクリエーター活動の費用にさせていただきます。