【詩】冬の雲
凍雲見上げ、私は一人。
木枯らし吹かれる野良が寝転ぶ。
振り返れば、向かい風。
寂しげな猫も触れさせない、荒れ果てた庭。
冬にもミントの香りする。
言葉より遥かに愛を思う。
例えば、明日に消えるとしても。
誓った昨日、風に流るる。
鱗にひび割れ、空に散る夢。
凍雲見上げ、流離う一人。
木枯らし吹かれる野良が逃げ去る。
振り返れば、向かい風。
悲しげな猫も目を合わせない、荒れ果てた今。
冬にもセージの香りする。
言葉より遥かに愛を思う。
例えば、明日に消えるとしても
思い出す昨日、雲に紛れる。
夢は重たく、暗雲に替わる。
凍雲見上げ、私は思う。
例えば、明日に消えるとしても。
言葉より遥かに愛を思う。
木枯らし吹かれる野良の吠え立つ。
前へ進め、北の追い風。
暗い昨日に、日のさす今。
凍つく夢の在処は、甲の傷。
隅に熾火あるだろう。
昨日の傷の熱く燃ゆる日。
言葉より遥かに愛を思う。
厚い雲を突く熱い拳よ。
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