いつか旅に出よう

いつか旅に出ようと思って

銀色の大きなプラスティックのキャリーケースに荷物は準備万端詰めてある

銀色のキャリーケースを6畳一間の畳の上で

机として使ったり猫の仮ベッドにしたりと

シミュレーションはバッチリ

多分飼い猫も楽しみにしているんじゃないかな

ドライブにも慣れてリードをつけてお散歩もできるようになった

けれども旅立ちの日はなかなか訪れない

夜はいつかの旅の計画を思いながらなかなか寝付けない

朝はなかなか起きられない

いつか旅の日に口ずさむ鼻歌を布団の中でもごもごと唱えている

クリスマスディナーの計画でもたてようか

ささやかなごちそうを作るからそれを前祝いに

きっと翌日には旅にでかけよう

猫に話しかけて料理レシピをパラパラめくりながら簡単に作ったうどんをお昼にすする

いつか旅に出ようと思って

猫にキャリーに入る練習をバッチリさせている

抱っこの方が好きみたいだから

なかなか入りはしないけど、置いていくよとといったら入ってくれる

だけど、猫のキャリーは肩掛け式で

大きな人間のキャリーバッグと組み合わせて歩くのには不向きだ

車の運転をしなくちゃならない

私はペーパードライバー

理想は冬に露店の林檎を買って

林檎をかじって冬の道を歩きたい

猫を背負って、大きな銀色のキャリーを引きずって

だけど、まだ猫を入れるリュックを買ってない

いつか旅に出ようと思って

昨日もワクワクして寝付けなかった

朝も寒くてなかなか起きれない

猫が早く早くと催促するけれど

また明日ねと二度寝する

いつか旅に出ようと思っている

猫と一緒にピクニックしながら

あの山の奥地に巣をつくりたいなと考えている

ここにも人は少ないけれど

誰もいない場所にいきたい

いつか旅に出ようと思っている

静かな人生の終焉おわりを迎えるつもり