ワタリガニをいつ食べる？ 第四十九回「雨の日にしたいこと」
時雨月。秋の風を感じるようになりました。味噌汁が飲みたいです。毎日味噌汁で体を温めたい。けれども、塩分のとりすぎは体に良くないことはわかっています。そうは言っても、時雨がつかの間頬を濡らせば、いくら例年よりも、よほど暖かい秋とは言え、特別しょっぱい、海鮮の味噌汁が飲みたくなるのです。
私は山育ちなので、海産物に憧れがあります。外で何か食べると肉よりも魚、肉だとしてもさっぱりめの鶏肉が好きです。
そんな山あいのスーパーでも、割と見るカニがいます。ワタリガニです。
身はあまりないけれど、渡り蟹の出汁は美味しいです。ネットで調べたところ、熊本では天草の方でワタリガニを水揚げしたりするようです。オスのワタリガニは懐が美味しく、メスのワタリガニは11月の今が旬のようです。
庶民的なカニとはいえ、自分で料理するとちょっと面倒。寒い日に、海鮮丼屋さんに入るのも割といいですね。
九州には、エビが特産の海辺の地域が多いです。エビだけの刺身があればそれを注文するのですが、たいていは握りか天ぷらなんですよね。さらに九州の海鮮丼は南のほうに行くほど、寿司飯ではなく、温かい白ご飯が多い気がします。私は海鮮丼は冷えたご飯が好きです。ただ温かいご飯はやはり温かい味噌汁に合います。
家で味噌汁を作るんだったら、丼と同じ大きさのお椀で、大量にいちどに味噌汁を飲むことなんてありません。これも、外出先での贅沢の一つですね。値段じゃありません。雰囲気が味わえれば、私はそれでいいのです。
月に一度料理をせず、季節の物をどこかの飲食店で食べたいです。ワタリガニで十分満足。むしろ、ワタリガニの出汁がいい！
海鮮丼というより、風が冷たく身にしみてて、温かい味噌汁を飲みたくてお店に入った日でした。
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