万年初心者の夏のハーブ管理 第二十八回 「晴れの日は下手の横好き」
実家暮らしになり、家庭菜園やガーデニングに少しずつ精を出すようになって4年目。私の庭作業の技術の向上は亀の歩みです。調べたこともすぐに忘れてしまうので、今年もまた基本的なハーブの知識を忘れないよう、ここに覚書を作ることにしました。見返せばいいんですけど、どこにいつ何を書いたか忘れないくらいなら、どこに何を植えていつどんな世話をするかも忘れないんですよ。何もかもままならない性格です。
レモンバームの挿し芽を4月にもっと作るべきでした。6月は花が咲く前で葉っぱが小さくなってきて手遅れです。今年はレモンバームの花を咲かせたいと考えています。
ミント類はペパーミントがいち早く6月初旬に花穂をつけました。単にペパーミントが一番芽を摘まないので、放置された枝に花穂が順調についただけかもしれません。6月の初めには、夕立ちの来る日にも日中に気温が30度を超えることがありました。ミントの開花が早まっても不思議ではなかったです。
とはいえ、我が家の庭はこれからハーブの花盛りです。カモマイルとタイムの花が終わり、これからはミントの花の季節。アップルミントは株の数を減らそうと奮闘しています。とはいえ、花もみたいので、すべて抜いたりはしていません。そもそもすべて抜くのも大変なくらいの規模になりました。アップルミントは我が家の環境によく適したようです。5月には軒下や木陰のお気に入りの場所を占拠しました。
アップルミントはフレッシュでお湯を注ぐと、きれいなグリーンティーになります。カモマイルの花も緑っぽいですが、アップルミントの方がより鮮やかでたくさん生えて慣れてしまったのか、香りもカモマイルやペパーミントやモヒートミントに比べたら鋭さがなくて落ち着くような気がします。
今年はカモマイルにとって代わられましたが、昨年までは寝る前にアップルミントティーを飲んだりしていたのです。あまり好きではなかったカモマイルも苦節3年。やっと自宅で育てられるようになると、そのお茶の味にも愛着がわいてすっかり慣れてしまいました。こぼれ種で来年芽吹いてくれたら、カモマイル修行もやっと終わりを迎えそうです。
今年はなかなか、いえ、今年もあれこれとやりたかったハーブの利用が追い付きませんでした。特にミントは育ちやすく利用しやすいので、除虫剤以外にも使おうと思いつつ、梅雨前と梅雨の時期にばっさばっさとやっつけ仕事で剪定して、やっつけ仕事で引っこ抜いてそのままバシャバシャ乱暴に洗ってかごに適当にいれて、葉っぱが痛んできたら追われるように鍋に煮込んで野菜苗の葉水に使うことが続きました。ミントミストを葉っぱにかけると自分の腕や服にもかかって虫よけになり、いい感じ。すうっと香りだけでなく肌に清涼感が心地よく浸透していきます。
アップルミント好きなんですけど、ほかのハーブや花が育てられなくなるので、一画を除いて一掃しようとしています。アップルミントが好んで育つ場所はほかの植物も好きな場所なのです。
(よしよし、アップルミントがあんなに草丈を伸ばすってことはほかのちょっとした日陰を好む植物の育ちもよさそうだな)
アップルミントを目印に、抜いた場所を耕してほかの植物を植える算段をしています。
初心者が育てやすいハーブ
セージ
開花期 5月~7月 挿し木 5月~6月
密生を避け、風通しの良い場所で育て、梅雨期は葉が込み合ってきたら枝を切り取る。早春に剪定。花を楽しむ場合は前の年の枝は切らない。早春に元肥。
薬効:抗菌、消毒、抗炎症、消化促進、制汗など
タイム
開花期 5月~8月の終わり 株分け 春か秋(その他の季節も根付く)
日当たりの良い場所で、水の与えすぎに注意し、乾燥ぎみに育てると香りがよくなる。
過剰肥料は香りを弱くする。密生を避け、風通しをよくして管理。成分濃度が高いのは初夏。
私はグランドカバー計画が何度もとん挫して、結果かごで育てています。かえって管理も楽で料理にも利用しやすくて重宝しています。かごからはみ出たり蒸れそうになるとチョキンと切って、何らかの料理に使っています。
利用法:ホワイトリカーに2週間つけて冷暗所に置く。→チンキや薬用酒に。肉と野菜の臭み取りにも。胸肉にタイムとレモンを挟んだソテーがおすすめ。
レモンバーム
開花期 6月~8月 株分け 春か秋
早春に元肥。暑く強い日差しは葉を茶色く日焼けさせやすいため、盛夏は軒下や木漏れ日が当たるくらいの場所が適する。肥料や水分が足りないと小型化するが、肥料が多すぎると巨大化し、香りが弱まる。挿し木で香りがよい大きさに育てるとよい。
利用法:ドレッシングに混ぜたり、ソースの香りづけに。紫蘇のような使い方がおすすめ。
フェンネル/フィノッキオ/スティッキオ
開花期 7月~8月 利用部位:果実、茎、葉。
日当たりの良い場所で栽培。生育適温は10℃~28℃。冷涼な気候が適する。2年目の春先に急に生長するので、2年目に追肥が必要。
ミント
開花期 8月~9月 株分け 3月~4月(初夏も可能)
別名を「ハッカ」ともいい、多くは全草に清涼感の香りを有するハーブ。
日陰で育つ。
薬効:消化促進、頭痛や二日酔いの緩和。防虫、抗菌。
挿し芽の方法
香りのよい株を選んで挿し芽する。種子で育てることもできるが、期待したような香りのよいミントが得られない場合が多いので、気に入った香りのものを挿し芽で育てるのがおすすめ。
茎の先端を10cm~15cmの長さに伐り、トップの葉を2~3枚残し、水挿しにする。容器に牛乳パックでなくコップを利用する場合は、アルミホイルで包む。水を清潔に保ち、根が小指の爪の3分の1ほど出たら、植え替える(根が伸びすぎても問題ない)。※葉を落とさず、直接土に挿しても、たいていは育つ。
ミントミストの作り方
沸騰した湯に葉っぱをこれでもかと入れ、10分煮出し、そのまま冷ます。冷えたらスプレーボトルに入れてミストに。→香りを楽しむほか、夏の植物の葉水に。防虫効果も期待できる。肌につけて、熱中症対策や虫よけに。作ったら1日2日で早めに使い切って、夏場は特に腐らせないようにする。
ミントポプリ
香りの分かる袋にいれて(乾燥した葉だとより香りが強くなり、長持ちする)、口をリボンなどでしばる。そのままお茶にできる袋だとなお便利。部屋の中の芳香剤に。車の中におくと眠気覚ましになり、お茶にして飲んでも車中では眠気覚ましに、食事中は消化促進、寝る前は寝つきがよくなる。
その他の利用法
①一握り程度の葉を入浴剤として利用(多すぎるとぬるぬるしたり、葉の汁の色が浴槽に残り掃除が大変)すると肩こり、頭痛、眠気覚ましになる。浴槽を汚したくない場合は洗面器に浮かべてフットバスにするのもおすすめ。全身浴と効能は変わらない。
②一日量10gを400mlの水で煎じ(フレッシュミントにお湯を注いでお茶に)、2回に分けて服用すると、消化促進、駆風の効果がある。
③300gの乾燥させた葉と氷砂糖100gをホワイトリカー1lに漬け、1か月程度おいて漉すと淡黄色でさわやかな香りの薬用酒になり、健胃整腸、鎮静に効果あり。
※異なる品種を近くに(とくにペパーミント)を植えると、ミント類は交雑して雑種ができて香りが変わるので注意が必要。
おすそ分けにおすすめの我が家のハーブリスト
土にポット植えしなくても、切り苗や引き抜いてそのまま渡せるハーブはお裾分けに便利ですね。
ローズマリーは我が家ではなかなか冬越しできません。しかし、野菜や果物などのお礼に渡す分には、切り苗で十分な気がしませんか。上手に育てられる人は挿し木されるでしょう。自信がない人はそのまま飾るか、料理に使ってもらったらいいと思います。繁殖させ過ぎに注意が必要なので、なんて言って渡せば良いかまだ実行できていませんが、もしかしたら他人の手作りが苦手な人もハーブの切り苗そのままなら、気持ちよく受け取ってくださるのではないかと最近考えているのです。
上記は、ある程度水分があれば根付きの良いハーブばかりです。ミント類は挿し芽向きですが、育てたい人には根っこ付きが良いか聞いて渡すのが無難でしょうか。でも、植物に興味がある方は基本的なハーブはおうちで育てている気もしますよね。ハーブもお菓子もいらない人には、いただきものの自家製の野菜や花のお礼はどうしたら良いでしょうか。
利用方法:お茶、カクテル、フットバス、お菓子など。魚やお肉料理にはクリーピングタイムがおすすめです。臭みが取れ、オーブンでも焼けこげにくいです。タイムはローズマリーなどと同様茎や葉は硬いので、気になる方は消臭としてのみお使いください。ホワイトリカーなどのお酒にタイムを加えると数日で甘い風味のお酒が楽しめます。ミントには防虫効果が期待できます(なめくじには効果なし)。煮込んで葉水としてお使いください。